学長交渉 本交渉報告



日時: 2002年6月4日(火)15:10〜16:55
場所: 熊本大学事務局中会議室
出席者: (当局) 長木事務局長、糸永総務部長、熊谷人事課長、大塚人事課長補佐、石坂専門員、黒木職員係長、本田専門職員、磯田専門職員、永田任用係長、宮田給与第一係長、中村給与第二係長、荒川福祉係長、吉野能率係長、濱田職員係員
(組合) 市川副執行委員長、木村書記長、斎藤書記次長、池田執行委員、奈須執行委員、野崎執行委員、井上書記局員、村里定員外部会員、西村技術職員部会員、舘石事務職員部会員、濱田教官部会員、井原教官部会員、徳永書記、野田書記

(当局) (組合) それぞれ自己紹介。
(当局) 4時40分まで1時間30分でお願いしたい。まず、局長から回答の後、質問や意見に答えたい。

(局長からの回答)
1. 看護婦増員については、懇談での話と変わらないが、労働条件が過重になっているなら、解きほぐす術をお互い考える必要がある。文部科学省が病院の重要な役割を鑑みて、厳しい財政、定員事情の中、看護師の配置を考えている。充分・不充分の議論はあるが国も大学当局も努力している。切迫流産が生じているということだが、改善できる方向を見出していかないといけない。病院当局と話し合いながら解決策を見出していく努力をしていく。病院の看護師はじめ職員の勤務条件が改善されていけばと思っている。病院長から話を聞いた上で対策を講じればと思う。お互い努力しましょう。
2. 再任用制度について、公的年金の支給年齢が引き上げられるという事でスタートした。定員の枠を使いながら任用するという仕組。この枠の確保が大きな課題であり、第10次定削の中で、対応を的確にしていかないといけない。辞めていく人の数、定削の数に余剰があり、希望する人がいれば再任用できる。定削にどう対応するかが厳しくて、再任用まで期待に添うことができない。現行の任用制度での運用は厳しい状況にある。
3. 事務職員の待遇改善については、職務の性質、責任の度合いを配慮し考えている。リーダー的存在として昇格していただき、ふさわしい知識、能力、人格という観点で適材適所に人員配置している。この人ならということで適材適所に配置するよう人事課にも話している。女子職員にもそういう意識で頑張って欲しい。
4. 事務電算化・一元化については、定員削減は事務職員にかかってくる。これまで教官は定削の対象としてこなかったが、事務系だけでは定削に対処できなくなってきた。合理化・アウトソーシングしなさいという政府の考えの下、定削を進めてきたが、大学の業務は縮小されていない。事務量は増えてきている。事務官の負担量は増えているが人は減っている。人が減れば従来のサービスを保持するのは難しい。役割分担を見直し、あるべきより良い姿を模索していく、事務機構も集約化し効率的な事務処理体制を構築していかねばならない。一元化・集約化していかねばならない。大掛かりな一元化から3年が経過している。各部局から集約の仕方、合理化のやり方について改善すべき点、ご意見をいただいている。それを踏まえできうる限り事務処理機構を構築していくということで見直しをしている。昨年10〜11月に各部局を廻って、貴重な意見を聞いてきた。集約し対応できるところから検討着手している。効率的な事務処理の構築をエンドレスな課題として考えていく必要がある。時代とともに求められる内容が変わる。ユーザーが使いやすいシステムを考えていくべきだ。
5. 定員削減について、背景は説明した。教官まで定削が及ぶ今日、一般の勤務として頑張っていかないと対応できない。異動になった人が不利にならないようにやっていかなければいけない。研修のチャンスも活用し協力してやっていきたい。
6. 定員外職員の定員化については、熊大だけでできる事ではなく、きわめて難しい問題と認識している。業務の内容、形態は見直していかざるを得ない。
7. 学年暦変更に伴う勤務条件の改善については、できるだけ経費の確保に努め、クーラー設置に努力している。昨年度も多くの施設に設置したが、今年度も残りの施設に設置するための工事に着手している。財政を越えてやることはできないが、計画的にやることと思っている。
8. 技術職員の地位確立については、具体的な数は担当から伝える。少しでも勤務条件が良くなるように事務局挙げて確保に努力しているし、つとめていくべきだろうと思っている。

1. 看護婦増員及び待遇改善について
(1) 充実した2対1体制を確立するために看護補助者を1フロアーに複数配置すること。
(2) 増員によって充実した看護体制を実現して労働条件を改善すること。

(組合) 4月9日に人事課長から、病院からの回答として会計検査院・切迫流産等については回答を頂いているが、病棟婦についてはどうなっているか。
(当局) 従来の回答と変わっていない。2:1体制を維持するための看護婦増員に、人件費を拠出しなければならず病棟婦を削減した。そうしないと看護婦の増員が図れない。病棟婦の数を元に戻すと経費が捻出できない。
(組合) 病棟婦の問題については赤煉瓦№4041を見てください。2:1になる前に組合は病棟婦を減らすなと言っていたが、昨年度の交渉では、病院当局から看護婦の業務は増えないという回答だった。アンケートでも配膳業務が増えている。リスクの高い時間帯が配膳の時間になっている。看護婦の業務が煩雑になっていて、医療事故が起こりそうな状況にある。
(組合) 2:1になるために、定員外が増員になった分、文部科学省から予算が来ているのではないか。
(当局) 校費を看護婦の採用に使っていいというふうに振り替えただけ。定員外を雇うための別途予算は来ていないと聞いている。別枠で予算がきていれば病棟婦を減らすことはしない。
(当局) 定員外を雇うための別途予算は来ていないというのは間違いで、全部がそういうわけではなく、昨年度分については別途きていた。
(当局) 要求した23人の分についてはきている。夜間看護加算のための増員もしている。
(当局) 13年度は30人増員したが、7名分足りなかったので、病棟婦を減らした。そこのところは病院に聞いて欲しい。
(組合) ということは、病棟婦を減らさなくても良かったのではないか。
(当局) そういうことはできない。
(組合) 定員外看護婦23名の増員要求に際しては、人事課を通すのでは?
(当局) 定員外なので人事課を通らない。仮に相談を受けても、こちらに資料がないので相談にならない。採用が認められたら任用行為が行われるので人事課もわかる。
(組合) 増員されても勤務条件がよくなっていないということは承知しているか。
(当局) 4週8休が守られなかった時のように、人事院規則に触れるとか違反する場合は人事課として指導する。
(組合) 病院長交渉で具体的な回答がない。超勤が増えてもなぜ増えたかわからないという回答で解決策が示されない。
(当局) 超勤については看護婦だけの問題ではない。
(組合) 超勤の原因に対する対応策がとられていない。命を預かる仕事で間違いが許されない職場なので対応して欲しい。
(当局) 財政的しばりの中でやっている。増員については機会あるごとに声を出しなんとかしてもらっている。事務系も定削が進み大変だが、看護婦には優先的に対処している。
(組合) 看護婦を増やし病棟婦を減らしたのは熊大だけ。なぜそういう策が採られたのか疑問だ。
(当局) 病院の方できっちり説明してもらわないとこちらでは答えられない。
(組合) 切迫流産の件に関しては、人事院規則に抵触する可能性がある。
(当局) 妊婦の業務軽減については指導している。流産は業務の過重によるものだけとは限らない。申し出があれば病院側は業務軽減を認めると言っている。申し出をしても病院側が対応しないということであれば指導できる。
(組合) 現在のような勤務体制では申し出もできない。夜勤が4週で11〜12回になっていた。対応策をとっていないので連続3人も切迫流産になった。
(当局) 看護婦には申し出をする権利がある。病院は対応を検討するといっている。病院にも聞いたが必ずしも勤務の過重だけが原因とは考えていない。病院は承知している、遠慮しないで欲しい。仲間内の負担が増えるから言えないというところまで我々は責任は取れない。
(組合) 夜勤回数が多いということを人事課も指摘している。
(当局) 病院のほうに実態を話せば病院も対応すると思う。人事課が指導するということではない。対応しないという部分についていってくるのであれば人事課としても対応しやすい。
(組合) ICUが10月から3床増えると聞いている。看護婦が3人増えるが、6・6体制でも夜勤回数は増える。
(当局) 人事課が言うから病院が対応するというのではなくて、そこは病院に言ってみてはどうか。ちゃんと対応するでしょう。
(組合) 人事課からちゃんと対応するように指導できないか。
(当局) 2・8(ニッパチ)体制の平均を超えている。どうしたら改善できるのか。婦長にも頑張ってもらわないといけない。
(組合) 交渉後でいいが、看護婦の暫定定数を聞きたい。

2. 再任用制度について
 定年退職者の再任用制度を熊本大学としてどのように運用していくのか、来年度の予定と今後の方針について見解を示すこと。再任用制度の主な目的は、公的年金支給開始年齢が引き上げられる中で、国家公務員の高齢期(60歳台前半)の雇用を拡大することであるが、円滑に実施するためにどのような方策を考えているのか示すこと。

(組合) 予備交渉では枠1名なので新規採用に回したい、実施要綱ができていないと聞いていた。組合は枠外運用を要求しているが、大学としては枠外運用を要求しているのか。
(当局) 本省から全大学に退職予定者の意向調査をするように言われている。人事院規則はあるが実際の運用は難しいと考えている。個々の大学が言っていくようなものではない。14年度は設定できなかったが、15年度は退職者の数が定削数を上回れば枠ができる。全職種に希望を聞いている。技術職員は7人中4人が希望(内パート1)、事務職員12人中2名が希望。14年度は設定しなかったが61歳で満額年金が受給できるし、15年度も同様に61歳で受給できる。14年度は職場の活性化を考えないといけないので新規採用した。パートタイムの設定は難しい問題もあり、15年に設定するとなればフルタイムが考えられる。(後日、数字の訂正があり訂正後の数字を記しています。)
(組合) 別枠で働きかけるのと同時に要綱をきちんと作成するべきではないか。
(当局) 選考基準などきっちりとした要綱を作る。現在実施している意向調査の結果を受けて検討、着手する。
(組合) 行二は不補充と考えているようだが、東大、北教大で再任用されている。文科省にきちんと要求していくべきではないか。
(当局) 熊大は行二職員の希望がない。選考基準を満たしていれば要求はしていく。行二は不補充なので文科省と任用協議が必要。

3. 事務職員の待遇改善について
(1) 昇格、特別昇格、昇任、研修における男女間格差をなくすこと。昨年の交渉で、女性の上位ポストについては、「改善していく」ということであったが、その後どのように改善されたのか、具体的に示すこと。

(組合) 汎用システムがきちんとすれば男女別の統計がだせるということだった。汎用システムはすでに導入されているようだが。
(当局) システムのトラブルが多くまだ把握できない。
(当局) 女性だからといって差別的なことはしていない。42歳以上の構成男女比は男性が圧倒的に多い。42歳以降の構成比は半々。したがってポストに差があるようだとおかしいといってよい。おかしいと言われれば何らかの是正を求める。
(組合) 長年にわたって組合は要求してきた。実態が把握できなければ男女参画社会への対応も改善もできない。
(当局) 人事課も必要になれば男女別の資料を作る。情報公開法により行政文書であれば開示は可能だが、個人が特定できるような情報については断ることもある。

4. 事務電算化及び事務機構一元化について
(1) 事務電算化について、昨年度の交渉において、「利用者側の声をフィードバックする必要がある」という点で組合と同じ認識を示したが、その実施体制を、この一年でどのように整備したのか明らかにすること。この間の総括(問題点とその対応策)を示すこと。
(2) 事務機構が一元化されて3年目に入ったが、その後、見直しは適切に行われているのか、見解を示すこと。事務職員、とくに学部の事務職員からの要望や意見をどのように反映させているのか、その方法と内容を具体的に示すこと。

(当局) 事務電算化とは具体的に何を指しているのか。
(組合) 学務情報システム、物品請求システムのことだ。具体的にはSOSEKIのことだ。導入に伴い学部事務が削減されている。
(当局) ユーザーにとって使い勝手の悪いシステムを作ってもしょうがない。ユーザーの声をシステム改善に生かしていくよう実施している。お金がかかる場合は事務局に予算の措置をお願いしている。物品請求システムは研究室から直接請求が入ってくる。検討後一括して調達する。人が少なくなってきて、多くの大学で同じような状況になっている。
(組合) コンピューターによる一元化は労働力の軽減、省力化につながるのか。省力化はどの程度行われているのか。かえって過重労働になってきているのではないか。
(当局) 年度末に仕事が偏らないように、先生方の協力をお願いしたい。最大限残業しながらがんばっていただいている。
(当局) 情報処理センター、図書館、事務局、病院にサーバーがある。大学全体のシステムを検討するため専任職員を配置するプロジェクトを法人化の向けて立ち上げる準備をしている。
(当局) システム作りの一元化が必要。職員の養成も必要。他大学で起こっている入試ミスなども専門外の職員がシステムをつくったためにおこったという見方もある。
(組合) 時代の趨勢でそうならざるを得ないかもしれないが、過重労働について考慮して欲しい。個人情報の取扱、サポートを通して管理監督責任を認識してやって欲しい。

5. 定員削減問題について
(1) 第10次定員削減に伴い、教室系事務職員の配置換えが決定されたが、異動になる職員が、職務内容及び待遇において不利益をこうむらないようにすること。他の事務職員、定員外職員、及び教員にこの異動のしわ寄せが生じないよう適切に対処すること。

(組合) 局長の話から、ストレスがかからないように配慮して欲しい。
(当局) まったくストレスがないというわけにはいかないが、そうですね。

6. 定員外職員の定員化及び待遇改善について
(1) 賃金の切り下げ、解雇を行わないこと。特に教室系事務職員の再配置に伴う定員外職員に労働強化、賃金の切り下げ、解雇を行わないこと。

(組合) 定員外の雇用の保障についてだが、法人化に向け中期目標・計画を策定する時、定員外の雇用を守っていくという考えはあるか。定員外の定員化についてはどう考えているか。岡山大では日々雇を辞めさせるということで問題が持ち上がっている。
(当局) 岡山大のことは知らないが、大変難しい課題だ。一概には申し上げる状況にない。必要だからお願いしているかどうかだ。必要ないものは雇えない。定員内にという話も難しい。
(組合) 最低限、本人の意思に反して一方的に解雇しないと約束して欲しい。
(当局) 制度が変わり、法人と契約を結ぶことになる。定員か否かの区別自体も意味を持たなくなり、必ずしも保障する必要がなくなるかもしれない。見えない状況の中で約束したり言質を取られたりすることは避けたい。
(当局) 身分の不安定な職員を抱えているのでこういう問題が出てくる。その時の状況の中で判断しなければならない。
(組合) 雇い止めの心配をしている、新しい人を増やせということではない。待遇切り下げはないと言ってもらいたい。当局としても、その方向で努力をするという回答をもらいたい。
(当局) ・・・。
(組合) 当局と健全な関係を作って行きたい。
(当局) 問題は認識している。大きな課題としか言えない。

7. 勤務条件の改善について
(1) 平成14年度より新学年暦が教養教育や多くの学部で実施されようとしているが、クーラーがついていない教室で7月の暑い時期に講義や試験を行うことになれば、教員の勤務条件は極端に悪化することになる。春休み中のクーラーの設置など大至急対策を講じること。また、今回の学年暦の変更に伴う経費の増加によって、学部に負担をかけないこと。

(組合) クーラーが入り、電気代は大丈夫か。シミュレーションはしているのか。
(当局) 契約室の方でしているはず。契約室の方でランニングコストのアップを心配しているが、各学部で負担することになるので各部署で努力して欲しい。
(組合) 現実問題として、大教センターで予算不足の問題が生じている。小テストの印刷さえできない。
(組合) 九電と契約が成立したようだが、九大では入札を行い、電気代がかなり安くなったと聞いている。
(当局) 経理部で検討しているようだが、今のやり方のほうが得であると聞いている。使用料が増えれば学部に負担をお願いしたり、設置については文部科学省にお願いしたりしてどうにかする。

8. 技術職員の地位確立と待遇改善について
(1) 技術専門官および6級定数の大幅拡大について
  技術専門官の定数増と団塊の世代の待遇改善策として、6級定数の大幅拡大に向けて文部科学省、人事院に働きかけること。

(組合) 1998年にシステムが変わり一定の改善はあった。技術専門官選定基準が決まり、内容的には実状にフィットしているかどうかという問題はあるが、技術専門官がまだまだ少ない。文部科学省・人事院に働きかけて欲しい。
(当局)選考基準があり、最低基準に達したら本省に上げている。人事課としてやれることは一生懸命やっている。
(組合) 現在技術部は5系あり、技術専門官は3人。同じ仕事をしているのに技術専門職員と技術専門官の違いがあり、気持ちの問題も生じる。さらに努力をお願いしたい。
(当局) 人事院の協議を要するものは全国の大学を対象に数がくる。熊大の中では、バランスがとれていないという事もあるが、全国的に熊大が劣っているということはないと確信している。個別に折衝している。
(組合) 6級も増加しているし、努力には感謝している。しかし、団塊の世代がたくさんいるので、若年層までの拡大もよろしくお願いしたい。
 
(組合) 学長交渉がここまで遅くなったことについてビラを書かせてもらった。人事課のせいでなければなぜこんなに遅れたのか。
(当局) まず、新年度にかかってしまった事と病院の事項が入っているので病院長交渉の後でないとできない。病院長交渉が遅かった。法人化の動きの中で学長、局長の時間がなかなか折り合わない。人事課サイドの折り合いがつかなかった。
(組合) 日程だけ先に決める事はできないのか。
(当局) 学長・局長の日程に飛び込みが多い。先に日程を決めて、約束を破るという形になるといけないと思う。交渉事項の整理をしてもらえば応じやすくなる。
(組合) 組合としても交渉事項の整理をしている。急な日程の設定で、こちら側も学長交渉に出られなくなった執行委員がいる。それでもこれ以上遅くなるよりはという判断で、打診された日時にあわせた。配慮して欲しい。
(当局) 理解はしている。お互い、年度内開催を目指して努力したい。




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