労働基準法等に基づく就業規則等についての協議報告2
発行日 2004.1.26
連絡先 熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
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就業規則について本格的な議論が始まりました

 熊本が今年最強の寒波に襲われた22日,労働者代表(過半数組合または過半数代表者)と用者側との第2回目の協議が行われました。このニュースは労働者代表の認める範囲内で協議の内容を全教職員にお知らせするために発行しています。組合の主張を伝えるためのものではありませんのでご留意ください。

1.試用期間について
(1)人事交流で採用される附属学校教員には試用期間をつけないことを確認した。雇用規則第9 条3 項のままでは「第1 項本文の規定」の意味の取り方によっては逆に一年の試用期間をつけるという意味になりかねないとの指摘があり,修正の必要があることを確認した
(2)任期制教員,外国人教員など,期間を定めて雇用される職員への試用期間適用について疑義が出された。検討して後日回答することになった。
(3)試用期間も雇用期間に含まれることを確認した。就業規則・委任規則のどこかに文言を入れたほうが良いのではないかとの意見が出された。

2.法令等との関係について
(1)労働協約が就業規則に優先することを確認した。
(2)その他の関係法令について具体的に示したほうが良いとの意見が出された。

3.職種・職名の区分について
(1)雇用規則別表について,教授,助教授等は職名に分類すべきとの意見が出された。
(2)附属学校の副校長(教頭)という扱いについて,実質的には県との関係で副校長以外に教頭がいる。教頭を副校長とは別に位置づけて欲しいとの要望が出された。

4.配置換え等について
(1) 教員の配置換えについて,教育研究評議会・教授会で扱うとの規定がないとの指摘があった。雇用規則は教育公務員特例規定にそってまとめたが,そこに配置換えについての規定がなかったとの説明がなされた。
(2)本人の意向聴取を入れるべきとの意見が出された。
(3)配置換えと出向を一つにくくっているが,法的性格が異なるので分けて整理すべきとの意見が出された。

5.休職について
(1)起訴による休職について,在宅起訴,略式起訴などの場合もあり,また争っている場合もある。一律に休職にするのはおかしいとの意見が出された。これについて「休職とすることができる」という規定なので柔軟に対応できるのではないかとの見解が示された。ただ,この規定のままでは機械的に適用される心配があるので「職務の正常な遂行に支障をきたす場合」としたらどうかとの提案があった。
(2)教員の休職について教育研究評議会・教授会の議を経てとするべきとの意見が出された。雇用規則第12 条に休職期間が3 年を超える場合にその規定があることが説明された。

6.再雇用について
(1)高年齢者雇用安定法の改正案が提出されようとしている状況を踏まえ,積極的に再雇用するように規定を改めるべきとの意見が出された。
(2)再雇用について,1 年ごとの契約であるが65 歳までは更新しえることを確認した。

7.退職・解雇について
(1)使用者側から,当然解雇の規定は削除し第23 条の項目は第24 条の項目に移すとの説明があった。
(2)禁固以上の刑を受けた場合の解雇は普通解雇ではなく懲戒解雇として扱うべきとの意見が出された。
(3)第19 条1 項には「本人から退職の願い出があり,学長が承認した場合」とあるが願い出は届け出に,承認は受理に変えるべきとの意見が出された。
(4)第25 条の解雇制限の規定の中で「産前産後の(中略)休業する期間」となっているが,休業は無給の場合に使われる用語との指摘があった。文言を変える必要があることを確認した。

8.服務について
(1)第31 条誠実義務の後に「職員は相互に協力しあい大学の社会的使命を果たさなければならない」との規定を入れたらどうかとの提案があった。
(2)職務専念義務免除の扱いについて,多様な場合があり「その他」の項目を入れてはどうかとの意見が出された。これに対して,職務専念義務免除の扱いは社会的批判もあって年々厳しくなっており,国家公務員での規定にとどめるのが妥当との見解が示された。
(3)職務専念義務について「職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い」という規定は実態に合わないとの意見が出された。

9.勤務時間・休日について
(1)勤務時間についての第38 条の規定は原則であり,各職場ごとにどう定めるかは今後個別に協議していきたいとの説明があった。
(2)休日についての「その他学長の指定した日」は,特定の日を考えているのではなく,何があるか分からないので規定しておいたとの説明があった。
(3)ここに定めた勤務時間外に実験中の事故が起きた場合の扱いについて質問があった。正規の実験が延びたのであれば労災が適用されるだろうが,大学で判断できることではないので断言できないとの回答だった。
(4)労働時間の管理法について質問が出された。今のところ現状の方式を考えているが,検討中であるとの回答があった。

10.懲戒について
(1)処分の内容について停職の次が懲戒解雇では違いが大きすぎる。諭旨解雇の規定,退職金の減額支給の規定などを整備し,柔軟な対応ができるようにしておいたほうが良いのではないかとの意見が出された。これについて,国家公務員法での扱いにそってまとめたものとの説明がなされた。

11.その他
(1)県には自家用車を公用車とみなして,県内などの出張に自家用車を使うことを認めているがそのような規定ができないかとの要望があった。事故が起きた場合の労災適用の問題もあるが,検討してみるとの回答があった。

次回(1月29日)は臨時職員就業規則を扱います。

 さる12 月25 日の評議会において就業規則とその委任規則の素案が紹介され,これをもに労働者代表(過半数組合または過半数代表者)との協議を進めることが了承されました。これを受けて,1 月16 日に今後の協議のための打合せが行われました。この協議はあくまで各事業場の労働者の代表として行ったものですが,そこでの協議の状況については労働者代表の認める範囲内で組合から全教職員にお知らせしていきたいと思います。

 就業規則等の作成作業は熊本大学にとって初めての経験です。組合としてはこの作業において懸案事項の解決を図ることを放棄するものではありませんが,労働者代表を支援するという立場からは,まずは現在の労働条件の改悪を許さないこと,そして労働法の観点からみて問題のある規定を許さないことが緊急の課題だと考えています。このような立場にご理解をお願いするとともに,皆さんのご意見を組合または労働者代表にお伝えするようお願いします。
 なお席上,組合との協議は別途行うとの考えが使用者側から示されました。その席では,組合の要求事項を明確に示し,使用者側の考えを質したいと思っています。

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