労働基準法等に基づく就業規則等についての協議報告4
発行日 2004.2.9
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職員雇用規則、出向規則、再雇用規則、勤務時間等規則について協議しました

 前回の協議報告で勤務時間が延びることを紹介しましたが,何故こういうことになるの疑問の声が寄せられました。これは現在の勤務時間(始業時刻から終業時刻まで)には休憩時間は30 分しか含まれていないためです。労基法では6 時間以上の労働については45 分以上の休憩時間をとることを定めておりこのままでは違法です。昼休みは1 時間あるではないかといぶかしく感じる方もあるかもしれません。それは休憩時間の前後に15 分ずつの休息時間があるからです。休息時間は労働時間に含まれますが,仕事をしなくても良い時間とされています。ただし,勤務場所を離れることはできず,命じられればすぐに仕事に入らなくてはならないとされています。
 今回の就業規則(案)ではこの休息時間を休憩時間に変更し,それによって減少した労働時間を就業時間を30 分遅らせることによって補ったのです。この件についての組合としての意見は赤煉瓦でお知らせします。このニュースは組合の意見を紹介する場ではないので事実のみに止めます。
 さて,第4 回の協議(2 月6 日)は委任規則について職員雇用規則から順に扱いました。

1.議論に入る前に万羽黒髪事業場代表から,他大学では過半数代表者の選出も就業規則作りの作業も大幅に遅れている。熊大で比較的早い対応がなされたのは事務局のヒットであるとの見解が示された。

2.配置換え,出向等について
(1)配置換えについて細かな規定がないが理由は何かとの質問があった。特に規定するまでもない,教特法でも配置換えについては規定がないとの回答だった。これに対して,配置換えについても権利濫用法理が適用される場合があり,そのような事態を避けるためにも規定しておいたほうが良いとの意見が出された。
(2)内示の時期について,配置換え,人事交流,出向などの場合は余裕を持って内示を行う。住居移転が必要な場合は3 週間から1 ヶ月前に行っている。住居移転の伴わない場合は1 週間前だが,それが出向なら最低でも2 週間前に内示を行う,などの説明があった。
(3)出向には本人同意を取っている。配置換えでも住居移転が必要な場合は本人同意をとるとの説明があった。
(4)出向規則第3 条に「労働条件が出向によって不利益にならないように」との規定があるが,附属学校教員は県から大学に移ると賃金も含めて労働条件が低下するとの指摘があった。

3.教員の任期について
(1)外国人教員の任用等に関する特別措置法は適用されなくなることを確認した。これに伴って外国人教員の任期をどう扱うのか質問が出された。各学部の意向を聞きながら評議会で判断することになろうとの見解が示された。
(2)教員の任期をつける場合,雇用規則第8 条(大学教員の任期制法に基づく雇用)ではなく雇用規則第7 条(労基法による有期雇用)が適用される場合があり得るのかとの質問が出された。法科大学院の実務家教員,附属学校の産休育休の代替教員が対象になるとの見解が示された。これについて,労働者側から大学教員に任期をつける場合は基本的に第8 条に基づいて雇用すべきとの意見が示された。
(3)附属の代替教員の場合,第7 条だと任期が3 年以内になるが3 年以上必要な場合があり得る。どう対応するかとの質問について,契約の更新で対応するとの見解が示された。

4.附属学校教員の試用期間について
(1)職員雇用規則第9 条2 項の,「前項本文にかかわらず」という表現は本文に但書きを含めて読んでしまうと,人事交流の場合でも試用期間を付すことになる。表現の工夫ができないかとの意見について,規則の表現上はまったく問題がないとの回答だった。これについて就業規則は職員に周知しなくてはならないものなので,普通の人が読んでも誤解がないようにすべきだとの意見が出された。
(2)副校長(教頭)についても試用期間を1 年とすることに疑問が出された。これについては,教特法の解釈を再度調べてみるとの回答があった。

5.解雇・降任について
(1)降任と解雇は職員に与える影響がまったく異なっており,雇用規則で同じ条文にまとめて規定するのは乱暴との指摘がなされた。
(2)第13 条第1 項は職員に非がある場合の解雇だが,使用者にも解雇を回避する責任がある。訓練や配置換えによって解雇を回避する努力を行うことを明記すべきだとの意見が出された。第14 条で「配置換え,降任その他の措置を考慮する」としているとの回答だった。
(3)第13 条第2 項はいわゆる整理解雇である。これについては判例で4 つの要件が必要とされているが,この規定には人選の公平性しか定められていない。修正すべきだとの意見が出された。

6.再雇用について
 65歳までの再雇用については,現在義務規定にするため高年齢者雇用安定法の改正作業が進められている。再雇用規則では「選考により」採用するとなっているが,希望があれば基本的に再雇用すべきであるとの意見が出された。この意見に対して,再雇用しなければならないとすると人件費など様々な問題が生じる。法改正が行われれば考えなければならないがとの見解が示された。

7.変形労働時間制の勤務時間割り振りについて
 前の案では4週間に8日の休日を置くことになっていたが,今回の案では4日以上に変更された。理由は何かとの質問に対して,8日では割振りが困難な場合があるためであり,基本的に8日おくとの考えには変わりはないとの回答だった。労働者側から,看護婦の勤務時間の割り振りは現場で行っており,この規定のままだと8日の休日の原則が崩されてしまう。4週間に8日の休日を置くとし,「それが困難な場合には少なくとも4日以上の休日を置く」との規定にすべきだとの意見が出された。

8.休日振替について
(1)現行の前4週後8週の範囲で代休をとるというのは,ここにいう休日振替ではなく代休である。就業規則に代休の規定がないが代休をどう扱うのかとの質問が出された。労基法で定められており代休を取ることは可能との考えが示された。これについて代休取得の手続き,代休を取得する期間などを就業規則に定めておく必要があるとの意見が出された。
(2)休日の振替はどの期間内に行うかについて質問が出たが回答はなかった。
(3)附属学校では「1 週40 時間を越えることがないよう」ではうまく振替日を取れないとの意見が出た。年間変形労働時間制で対応することになるとの見解が示された。
(4)通知が「前週まで」では土曜に働かせる場合は前日で良いことになるとの指摘があった。基本的には1 週間前に通知するが,緊急に必要な場合もあるとの見解が示された。労働者側からはそれが真意であれば,「1 週間前までに通知し,それが困難な場合は前日まで」と定めたらどうかとの提案があった。

9.職務専念義務免除について
 免除の申請手続きについて,総合的な健康診査(人間ドック)は不要ではないかとの意見について,一般病院で行う場合も対象になるので申請は必要とのことだった。なお,学内で行う健康診断は職務専念義務免除ではなく職務命令で行ってもらっているとのことだった。

10.その他
(1)シフト勤務での勤務時間の割り振りなどが議論になったが,別表はまだ調整中のものであり,現場の意見を聞いて検討するとのことだった。
(2)夏季休暇のとり方について,取得期間の柔軟化,分散取得の要望が出た。

 次回は給与規則から順に扱うことになりました。これに関連して,労働者側から給与規則には労基法違反の項目が3点あるので,次回までに検討してくるよう依頼がなされました。

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