I. 法人の基本および組織・業務
II. 目標評価
目標計画)(評価)(その他重要事項
III.人事制度
IV. 財務・会計



国立大学法人化の1つのありうる枠組


平成13年5月21日
国立大学協会・設置形態検討特別委員会
専門委員会連絡会議



I. 法人の基本および組織・業務

1) 法人化の意義:国立大学の自主性と自己責任を拡大し、個性化を進め、国立大学の学術研究と高等教育等における質の向上を図るために法人化を行うものとする。
2) 法人の単位:1大学1法人とし、1法人が複数大学を有する方式や大学組織と法人組織の分離の方向はとらない。
3) 名称:総称は国立大学法人とし、各大学は国立大学法人○○大学と称する。
4) 法人化の方法:移行時点の国立大学(大学院大学・短期大学を含む)を「国立大学法人法」(代替案;「国立大学法」または「国立大学法人特例法」)によって直接に法人化する。
5) 設置者:国を法人としての各大学の設置者とする。(代替案;国を各国立大学法人の設立者とし、各国立大学法人を各大学の設置者とする。)
6) 法人の目的:国立大学法人は、広く、学術・文化の向上と国民の福祉に貢献することを目的とする。また、各国立大学法人は、その個性に応じて、高度の学術研究、大学院教育、国の科学技術・人材養成計画の達成、個人の能力に応じた均等な学部教育機会の提供、地域の教育・学術文化・産業・医療への貢献を行うことを目的とする。
7) 法人の義務:国立大学法人は学術研究と高等教育およびこれに直接付帯した業務を行う。国立大学法人は、直接に収益を目的とする事業は行わない。また、各国立大学法人は、その個性に応じて、分野や大学院・学部の別に応じた教育研究の業務を行う。
8) 業務の組織:国立大学法人の教育研究の基本組織を、研究科(教育部等の相当組織を含む)、学部(学群等相当組織を含む)、研究所等とし、直接の付帯業務を行う組織を付属病院、付属学校等とする。
9) 法人の基本規則:各国立大学法人は、法人の「基本規則」を定め、文部科学大臣に届け出るとともに、これを登記する。法人の「基本規則」には、法人名、所在地、法人の目的、教育研究の業務・組織、役員(付:役員選考基準)等を記載するものとする。
10) アカウンタビリティ:国立大学法人は、一定様式により毎年、業務と経理を国民に対して公開しなければならない。
11) 法人の長:法人の長を学長とする。法人の長(学長)を、法人の業務を掌り(最終意思決定を含む)職員を統督する、法人の責任者であり、代表者とする。
12) 学長の選考:学長の選考は、各国立大学法人の評議会が行う。評議会による学長の選考に当たっては、外部者の意見を反映させる。(
13) 役員:法人の役員を、法人の長(学長)と監事の他、法人の長(学長)が指名し評議会が承認する副学長(「教授である学長補佐職」若干名)等とする。法人の長は、役員に副学長以外の、例えば事務職員のトップ、学外からの適任者などを加えることができる。また常勤の役員の他に、非常勤の役員を置くことができる。
14) 監事:役員のうち監事は、法人の業務の監査に当たる。監事は複数とし、文部科学大臣が任命する。そのうち1名は大学について高い識見を有する学外者のうちから文部科学大臣が指名する。
15) 運営組織:国立大学法人の管理運営の組織として、役員組織(役員会)、評議会運営諮問会議、教授会を置く。また、必要に応じて部局長会議を置くことが出来る。(
16) 法人化に伴う権限・責任:法人化に伴う大学の権限と責任の拡大(予算・定員の学内配分、給与水準決定、事務職員人事等)は、基本的には役員組織(役員会)で担うものとする。
17) 役員組織:役員組織(役員会)を、法人の長(学長)および、副学長その他法人の長(学長)が指名する役員(監事を除く)によって構成し、学長が統括する法人の執行機関とする。役員組織は法人の業務について企案し執行にあたるが、運営の基本にかかわる重要事項については、評議会に提案し、評議会の議を経るものとする。
18) 役員の分担:役員組織(役員会)を構成する副学長らの役員は、例えば、総務企画、学務、研究、財務、労務等の任務を分担して担当し、法人の長(学長)を助けこれと連帯して責任を負う。役員は担当事務を指揮する。役員の分担と事務組織については法人において定める。
19) 運営諮問会議:運営諮問会議は学長が指名する学外の有識者によって構成し、大学運営の重要事項について学長の諮問に応じて助言・勧告する。(
20) 諮問事項:運営諮問会議の諮問事項は、大学の基本計画に関する事項、評価に関する事項、学長の選考基準・方法に関する事項、給与水準に関する事項、組織の改編に関する事項、その他大学の運営に関する重要事項とする。(
21) 評議会:評議会を法人の審議機関とする。評議会の主宰者及び議長を法人の長である学長とする。
22) 評議会の構成:評議会を、学長、副学長、学長が指名する教員、部局選出の教授(部局長等)によって構成する。(
23) 評議会の審議事項:評議会の審議事項を、①学長の選考、解任請求、教員の懲戒、教員人事の基本方針、②法人の予算および決算、③教育研究等の運営の基本方針、④学生の身分、⑤法人の目標評価方針、その他法人の運営に関する重要事項とする。役員組織は、これらの事項に関し必要に応じて議案を提出する。(
24) 部局長と教授会:学部・研究科・研究所等の教育研究の基本となる組織に部局長と教授会を置く。部局長は、部局の意思を決定し業務を掌るとともに、教授会を主宰しその議長となる。教授会を、大学の基本方針に基づいて、教育課程の編成、学生の入退学・学位等在籍、その他部局の人事・予算等、当該部局の教育研究の重要事項について審議する審議機関とする。
25) 部局人事:研究科長・学部長・研究所長等の部局長の選考は、当該教授会の議に基づき、法人の長(学長)が行う。教授・助教授・講師・助手等の教員の任用・昇進にかかる選考は、評議会の議によって学長が定める全学的な基準・方針により、教授会の議に基づき、法人の長(学長)が行う。
26) 職員人事:学長・監事を除く法人の職員(教員及び教員以外の職員)の任免は、法人の長(学長)が行う。
27) 中期計画と予算措置:中長期的な学生数・教員数の増減および設備の改廃をともなう研究教育組織の新設・改組・廃止等については、文部科学大臣が各法人(大学)が申請する中期目標・中期計画を審査し認可するところにより、予算措置を行うものとする。
28) 基本組織等の改廃:このうち法人(大学)の新設・廃止は、法律に定める。研究科・学部・研究所・付属病院等の新設・改廃は、政令または文部科学省令に定める。
29) 下部組織の改廃:研究科・学部・研究所等に属する専攻・学科・研究部門・講座等については、中長期的な学生数・教員数に変化がない限り、各大学において再編改組を行うことができる。しかし、この再編改組については、中期的な目標・計画に掲げ事後評価を受けなければならない。
30) 高等教育・学術政策協議の場:高等教育、学術についての中長期的な政策と大学のあり方について検討する場を設ける。
31) 大学共同利用機関:大学共同利用機関の運営組織で、機関の長の選考方法や評議員会、運営協議員会等、大学と異なる点は「国立大学法人法」(代替案;「国立大学法」または「国立大学法人特例法」)に特別の条項を設けて扱う。


(注)
  学外有識者の運営参画は、制度や人選次第では、①アカウンタビリティ、②運営上の専門的能力・知識の導入、③社会の要請の取り入れ、④学内諸利害調整上の社会的中立的観点の導入、といった点で有意義である。そこで役員に外部から適任者を任用できるようにすること(項目13−主に上記②の意義)に加えて、外部有識者の運営への参画を一層拡大する方法として、次の3案を基本形として検討する。いずれとするかによって、学長の選考に外部の意見を入れる方法や評議会等の審議事項などに影響がありうる。

第1案: 運営諮問会議を改組し、学内者を加えた経営諮問委員会を設ける案
委員は学内者と学外者によって構成。学長は入らない。
委員は学長が委嘱。
経営財務に関して学長が諮問。とくにそのうち一定の重要事項については、評議会付議に先だって諮問が必要。
(論点:運営諮問会議の強化になるか、学長が入らないで学長は委員会具申を責任をもって評議会に提案できるか、委員会の意義は何か)

第2案: 評議会に外部の有識者を入れる案
評議会を、学内の教員と一定数の外部の有識者によって構成。
外部の有識者は学長が指名。
審議事項は、経営財務を含む運営上の重要事項。
(論点:自律性の究極の基礎が崩れないか、学長選考が教育研究の観点に立てるか、逆に外部の数をあまりに制限すると参画にどんな意義があるか)

第3案: 運営諮問会議を改組し、学長らを加えた新しい機能の運営諮問会議を設ける案
学長が指名する学外の有識者と学長ら役員によって構成。
学長の諮問に応じて、学長に助言・勧告あるいは意見を具申。
経営財務事項その他について学長が諮問。
(論点:諮問する者が会議に入るのは形式的にどうか、諮問に限定できず実質的に協議機関化するのではないか、名称は諮問会議ではなく審議会でもよいのではないか)


II. 目標評価

 (目標計画)
1) 大学の理念等:各大学は長期的な視野に立った目標(理念・目標)を策定し、公表する。
2) 大学の重点目標:大学はそれを踏まえ、中期目標・中期計画の期間を越えて特に重点的に取り組む事柄について、中期目標で言及する。
3) 中期目標・中期計画の策定:中期目標は大学が申請し、文部科学大臣が認可する。(代替案:中期目標は、大学の申請を踏まえて、文部科学大臣が定める。)大学は中期目標を実現する具体的計画を中期計画として作成し、文部科学大臣に申請する。文部科学大臣は、これを審査し認可する。
4) 目標・計画の期間:中期目標・中期計画は大学が掲げる理念・目標に沿って、4年から6年の期間で作成する。
5) 設定目標の内容:中期目標は、各大学における教育研究の高度化、活性化に資するとともに、社会からの要請にも適切に対応した内容とする。
6) 目標の全学性・計画の部局性:中期目標には、原則として全学的な内容を記載し、各部局ごとの内容は中期計画の中で記載する。
7) 日標・計画の記載方針:中期目標は、主として大きな方向性を示す内容とし、中期計画には、予算の根拠として必要な事項や法令に定める事項の他、大学の社会に対する意思表示として、中期目標を実現するための数値目標や目標時期を含む具体的な内容を記載する。
8) 目標の共通性・個性:中期目標は、全大学に共通する内容を基本としつつ、各大学ごとの特色を踏まえ、一層の個性化を促進するよう工夫する。
9) 目標・計画の記載事項:目標・計画における記載項目は、新規事業分・教育研究や管理運営等について改革・改善を図るべき項目の外、大学の業務運営の根幹として継続的に維持すべき事項、競争的経費の項目等、重要な事項とする。
10) 運営等の改善に関する事項:教育研究以外の財務内容や業務運営等の改善に関する事項の記載等に際しては、教育研究活動の質の維持及び向上に支障が生じないよう特段の配慮をすることとする。
11) 基盤的教育研究経費:予算(人件費、物件費等)、収支計画及び資金化計画等は一括して記載する。
12) 中期目標・中期計画の見直し:大学の教育研究が非定量的かつ常に変化していく性格を有しているものであるところから、中期日標・中期計画の内容は、必要に応じて期間中にも弾力的に見直すことができるものとする。

(評価)
13) 文部科学省・大学評価委員会:大学における教育研究の特性を踏まえ、文部科学省に置く評価委員会(大学評価委員会)は、大学評価に相応しい組織とする。
14) 大学評価委員会の評価原則・構成:大学評価委員会は、評価の項目、基準、方法、プロセスなどについて、公正で透明な評価の実施に努めることとする。大学評価委員会の委員となる有識者には、大学における教育研究等について専門的知見を有する国立大学等の者を選任することができる。
15) 大学評価委員会の事後評価:大学評価委員会の行う事後評価は、大学あるいは部局レベルでの中期目標の達成度、重要事項の履行水準及び財務等の義務の適正な執行等について、種々の評価軸から多面的に行われなければならない。
16) 異議申し立て:大学評価委員会は最終の評価結果を決定する前に、その案を大学に示して異議などの申し立てを聞き、必要に応じ修正する過程を経なければならない。
17) 第三者評価の尊重:大学評価委員会は教育研究に係る事項については、大学評価・学位授与機構、その他の機関の行う評価結果を尊重する。
18) 自己点検評価の尊重:大学評価・学位授与機構、その他の機関の行う評価においては、大学の個性や、大学の教育研究活動の多様性・長期性に配慮するために、各大学が実施する自己点検・評価などを尊重する。
19) 大学の自己点検評価:大学は運営諮問会議等の外部評価を活用して厳正な自己点検に努める。
20) 評価結果の予算配分への反映:評価結果は、大学の活性化に資するような方法で、次期中期目標・中期計画において運営費交付金(政策的経費)の配分に反映させる。
21) 反映方法の検討:評価結果の予算配分への適正な反映の方法と手続きについては、さらに検討する。

(その他重要事項)
22) 基盤的教育研究経費の算定:基盤的教育研究経費は外形標準的に定めることとするが、外形が何かについては慎重な検討を要する。
23) 評価負担:評価が大学の加重な負担とならない制度についてはさらに検討を加える。
24) 一層の検討:教育研究の自由を生かし、大学を活性化する評価制度について求められる要件について、さらに検討を加える。


III.人事制度

1) 人事制度の基本:人事制度は、大学の自主性・自律性を尊重するとともに、厳しい自己規律と社会に対するアカウンタビリティを有するものでなければならない。
2) 職員人事の基本:人事制度は、教育研究等に従事する人的資源の潜在的な能力が発揮されるように、多様性と柔軟性を有し、かつ国際的競争に対応しうるものでなければならない。
3) 職員の身分:大学の教職員の身分については、国家公務員型を基本としつつ、非公務員型の可能性を含め、今後の人事制度の設計の過程で最終的な結論を出す。
4) 教員に係る特例の考え方:教員人事に関しては、大学の自主性・自律性を尊重し、教育公務員特例法の精神、考え方を取り入れた制度とし、大学の内部規則で定める余地をできるかぎり設ける。
5) 法人の長:法人の長を学長とする。法人の長(学長)を、業務を掌り(最終意思決定を含む)職員を統督する、法人の責任者であり、代表者とする。(再)
6) 学長の選考:学長の選考は、各国立大学法人の評議会が行う。評議会による学長の選考に当たっては、外部者の意見を反映させる。(再)
7) 学長の任命:学長は、評議会での選考を経た後に、文部科学大臣が任命する。
8) 学長の任期:学長の任期については、各大学が定める。再任の可否についても同様とする。
9) 学長の解任:法人の長としての学長が適切でないとされる場合には、一定の要件の下で、任命権者は、評議会の審査等の手続きを経た上で、解任することができる。
10) 役員:法人の役員を、法人の長(学長)と監事の他、法人の長(学長)が指名し評議会が承認する副学長(「教授である学長補佐職」−若干名)等とする。法人の長は、役員に副学長以外の、例えば事務職員のトップ、学外からの適任者などを加えることができる。また常勤の役員の他に、非常勤の役員を置くことができる。(再)
11) 役員の任免:学長・監事を除く役員の任免は学長が行う。任免の手続は、各大学で定める。
12) 役員の任期:学長・監事を除く役人の任期は、学長の任期にしたがう。
13) 監事:役員のうち監事は、法人の業務の監査に当たる。監事は複数とし、文部科学大臣が任命する。そのうち1名は大学について高い見識を有する学外者のうちから文部科学大臣が指名する。(再)
14) 教授人事:研究科長・学部長・研究所長等の部局長の選考は、当該教授会の議に基づき、法人の長(学長)が行う。教授・助教授・講師・助手等の任用・昇進にかかる選考は、評議会の議によって学長が定める全学的な基準・方針により、教授会の議に基づき、法人の長(学長)が行う。(再)教員の任免に関しては、教育公務員特例法の精神と考え方を取り入れ、かつ、大学全体の人事方針の下で、専門性を有する部局の考えが尊重されるような制度とする。
15) 教員の任期制・公募制:内外の優れた研究者の採用が可能になるよう、教員の職務内容(教育、研究、大学の管理運営等)に適切に対応した弾力的で透明性の高い制度とし、教員人事の流動性を高めるために、任期制及び公募制を積極的に導入する。
16) 教員以外の職員の任免等:事務職員など教員以外の法人の職員の任免は、法人の長(学長)が行う。(再)専門性に基づく職種・待遇を可能にするために、選考採用の範囲を広げるとともに、人事交流を推進する。
17) 移行措置:現在、大学間等を移動している一部の事務職員については、当分の間、人事交流の推進を図る仕組を検討する。
18) 給与体系:教職員の潜在的な能力が発揮されるように、成果・業績を反映した給与体系とする。そのために、職務の性質及び個人の成果・業績を評価するための制度を設ける。
19) 給与基準:具体的な給与基準は各大学において決定する。(その場合、各大学における給与決定に資するような給与モデルの作成を検討する。)
20) 任期制教職員給与等:任期制ポストヘの異動を促進するような給与体系を設けるとともに、競争的研究費のオーバーヘッドの一定割合を、任期付教職員の人件費等に充当できる制度とする。
21) 服務・勤務時間等:教員の服務、勤務時間等は各大学において決定する。この場合、勤務時間管理の在り方を弾力的なものとするとともに、各大学において多様な勤務形態を認めることが可能となるような制度とする。
22) 教員の兼業兼職:厳しい自己規律の下に、本務に支障のないかぎりにおいて、教員の社会的貢献のための活動を広く認め、そのために兼業兼職に関する規制を緩和する(その場合、各大学における基本的考え方が異ならないようにガイドラインの作成を検討する。)
23) 人事管理:大学が教育研究を担う特殊性を有する組織であることを踏まえ、人員(人件費)の管理に関しては、短期的な視点でなく、中長期的計画に沿って行う。
24) 学内配置調整システム:学内における中長期的な人事計画の策定と組織別の教職員の配置等(人件費管理を含む)の調整を行う仕組を設ける。


IV. 財務・会計

1) 国立大学法人の財政基盤:大学法人の教育研究活動の高度化を促進するため、科学研究費をはじめとした競争的研究資金の拡充を図ると同時に、基盤的な教育研究活動を維持するため、国は中長期的に安定した財政基盤を形成する。
2) 使途・運用の裁量性:教育研究活動の自主性を維持するため、財政資金の使途について国立大学法人の裁量権を確保する。
3) 大学財務の原則:国立大学法人の財務については、教育研究活動の自主性を維持し、納税者たる国民の信託に応えられる内部統制制度を確立し、透明性の確保と説明責任が果たせる会計制度の構築を図る。
4) 法人の収入構造:国立大学法人の教育研究活動は、出資、運営費交付金、施設費等の国からの財政資金、授業料や病院収入をはじめとした自己収入等を基礎として形成する。
5) 運営費交付金:国は、透明性を確保しつつ中期計画等を基礎として運営費交付金を各国立大学法人に措置する。
6) 運営費交付金の構成:運営費交付金は、政策的運営費交付金と外形標準的に決まる基盤的運営費交付金によって構成する。なお、災害等臨時的支出については別途措置する。
7) 基盤的運営費交付金の算定要素:基盤的運営費交付金の算定に当たっては、収入・支出両面において各国立大学法人の業務内容、財務構造、規模等の違いが反映される算定方式、算定要素を導入する。
8) 土地建物等:国は各国立大学が現在使用している土地建物を、各国立大学法人に現物出資または無償使用させる。
9) 施設費:国は、施設の維持管理・更新等を図るため計画等に基づいて施設費を各国立大学法人に措置する。
10) 国立大学法人共同機関:今後の施設整備や法人の運営を円滑かつ着実に進めるため、財政融資資金等からの借入を行う共同機関の設置を検討する。
11) 財務制度原則:教職員数等に関する国立大学法人の自主性を確保し、成果・業績を反映したインセンティブを持つ人事給与体系を実現する財務制度を検討する。
12) 外部資金:寄付金をはじめとした外部調達資金等自らの努力により獲得した資金については、積立を含め管理運用等に関する自主性が確保できるようにする。
13) 地方公共団体の寄付:地方公共団体から各国立大学法人への寄付を可能にする。
14) 寄付金等の税制:寄付金等の税制について優遇措置を維持拡充する。
15) 特別会計借入債務返済:国立学校特別会計が抱える財政融資資金からの借入債務返済については、借入を行った附属病院を有する各国立大学法人が使途特定自己収入によって計画的に共同機関等を通じて返済する。その際、研究活動等に支障をもたらさないよう臨床部門を含めた人的、財務的措置が図られる仕組みとする。
16) 国立大学法人の出資:国立大学法人は、TLO等に出資を行うことができるようにする。
17) 会計基準:国立大学法人の教育研究機能の特殊性を踏まえると共に、各法人ごとの運営形態や業務内容の違いを踏まえ弾力的な取り扱いができるように会計基準を設定する。