No.6
1999.7.29

熊本大学教職員組合

Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:k-kumiai@mb.infobears.ne.jp




組織運営体制の改革にあたり、
民主的な学内審議を求める
−7月22日代議員大会で特別決議採択−

学校教育法等の一部改正に伴う組織運営体制の改革にあたり、
民主的な学内審議を求める特別決議

 さる5月21日、「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立した。この法改正は、昨年10月の大学審議会答申をふまえ、大学の「組織運営体制の整備」を名目として、外部有識者が助言・勧告を行う「運営諮問会議」の設置を国立大学に義務づけるとともに、学長・学部長のリーダーシップを強化するため、執行機関=学長・学部長と審議機関=評議会・教授会の権限を明確に区分するために行われたものである。これは大学の自治を根本的に脅かすものであり、それゆえ、全国の大学関係者から法案の撤回、もしくは徹底した慎重審議を求める声があがっている。熊本大学でも、廃案・慎重審議を求める署名に数多くの教職員が賛同し、とくに黒髪北地区の3学部では教授会構成員の過半数以上が賛同している。しかし、国会審議は衆議院・参議院あわせて実質約24時間にすぎず、形式的な審議に終始した。我われは、全国の広範な大学関係者の声を無視し、拙速に法改正がなされたことに強く抗議する。
 きわめて短時間であったとはいえ、国会審議では、運営諮問会議の助言・勧告と学内審議(評議会)の判断とでは後者を優先すること、評議会の構成・規模や学部教授会の審議範囲は各大学の判断に委ねること、執行機関は審議機関の決定を当然尊重することなど、重要な政府見解も示された。また、衆・参両院の附帯決議でも、運営諮問会議の制度の運用にあたっては大学の教育研究の自主性を尊重すること、学長・学部長は評議会・教授会の審議を尊重することが明記された。各大学は、今回の法改正によって、来年4月までに学則を改正して、組織運営体制を改革することを迫られているが、8月中に予定されている文部省令はもちろん、附帯決議や国会審議の内容もふまえ、法改正の趣旨を正確に理解したうえで慎重に学内規則の改正を行なっていくことが求められている。
 ところが、熊本大学では、6月22日の臨時部局長会議、24日の評議会において、突如、学長特別補佐会議の「中間まとめ」の形で、組織運営体制の改革案とタイム・スケジュール案が示された。その改革案は、著しく学長・学部長の権限を強化することを構想するばかりで、附帯決議で明記された、評議会・教授会の審議結果を尊重することへの配慮はまったく見られない。またタイム・スケジュール案では、この9月には改革の大枠が決定するように計画されている。確かに、学長特別補佐会議の「中間まとめ」には、改革に向けて「構成員全てに対して正確な情報の提供と構成員相互の意見交換が不可欠である」と謳われているが、今後、各部局の意見をどのような形で集約していくかは不透明なままであり、学長・大学当局の側から積極的に大学構成員の意見を聴取しようとする姿勢はいまだ見受けられない。代議員会制度・副学長設置の学則改正、事務機構の一元化などに続き、組織運営体制の改革までも、杜撰な学内審議で強行するつもりだろうか。今回の改革は大学の自治を脅かす恐れのあるものであり、また現制度の下で行われる以上、トップ・ダウン方式ではなく、評議会において十分審議し、その結果を各学部教授会にフィード・バックして、民主的かつ慎重に審議するのが、本来あるべき審議のあり方のはずである。
 学内の民主的審議手続きを軽視した学長・大学当局の姿勢は、この間の我々教職員組合に対するものと同根のように思われる。昨年来、我われは、附属病院看護婦の増員・労働条件改善のために学内措置による2対1看護基準の実現を要求しており、学長交渉の前提として看護婦問題の法的制度理解の回答を求めた(98年度『赤煉瓦』第42〜46、50〜52号)。しかし、大学当局は我々の要求を黙殺したまま、いまだに学長交渉が実現していないという異常な事態をひき起こしている。
 我われ熊本大学教職員組合は、学校教育法等の一部改正に伴う組織運営体制の改革にあたって、学内の民主的意思決定手続きを踏まえ慎重な審議を行なうこと、また、看護婦問題の法的制度理解について回答を示し、速やかに学長交渉を実現することを、学長・大学当局に対して強く要望する。
 上、決議する。

  1999年7月22日

                                      熊本大学教職員組合代議員大会




この文章は特別決議文を横書き用に一部修正したものです。
特別決議文本文(PDFファイル)はこちらから入手できます。




戻る