No.15
1999.10.18

熊本大学教職員組合

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国立大学の独立行政法人化反対の運動を幅広く展開しよう

18日執行委員会反対声明を発表!

「声明発表にいたる経緯」

 熊本大学教職員組合は、10月18日県政記者室において、声明「国立大学の独立行政法人化に反対する」を発表しました。これにいたる経緯をお伝えします。

9月9日執行委員会
 独立行政法人化は国立大学のあり方そのものにかかわる重要な問題です。執行委員会では、独立行政法人化に基本的に反対であるとの立場を確認するとともに、9月27日に学習討論集会を設定し、広く組合員の意見を聞くことにしました。また、反対声明を準備するため、案の検討を大学改革検討専門委員会で行うことにしました。
9月13日国大協総会
 第1常置委員会から、独立行政法人化に当たっての必要な特例措置を盛り込んだ中間報告が出されました。しかし、これは「万一、独立行政法人化になった場合に備えて検討したもの」であり、従来の独立行政法人化に反対であるとの立場を変えるものではありませんでした。
9月20日国立大学長等会議
 文部省から「国立大学独立行政法人化の検討の方向」が示されました。挨拶の中で有馬文部大臣(当時)は、独立行政法人化の意義を、法人格の取得、自主性・自立性の拡大、個性化の進展の3点にわたって強調しました。しかし、自ら「このような期待は、大学に対する充分な公的資金の導入があって始めて可能」と述べざるを得なかったように、はなはだ説得力を欠いたものになっています。
9月27日組合「学習討論集会」
 学習討論集会には、50名近くの人が参加し、あらためてこの問題への関心の高さが浮き彫りになりました。報告では、独立行政法人の制度が国立大学を念頭に検討されたものではないこと、その結果、特例措置の必要性については独立行政法人化に賛成の者も含め共通の認識になっていることが明らかにされました。また、文部省の求める特例措置には実現性に疑問があること、法定定員制度の対象外になることが必ずしも定員削減の対象外になることではないことが述べられました。

以上の経過を踏まえ、10月9日及び13日に大学改革検討専門委員会を、14日に執行委員会を開いてまとめたのが今回の声明です。

「声明の要点」
 声明は、独立行政法人化に反対する理由として以下の4点をあげています。
1.大学とは無縁な制度であること
2.特例措置によって大学の自主性・自立性が確保される保障がないこと

 独立行政法人である以上、事前事後チェックである、主務大臣による中期目標の指示、中期計画の認可、主務省の評価委員会および総務省の審議会による評価は不可欠です。文部省の特例措置もそれについては変えようとしていません。大学の考えと主務大臣の考えが矛盾した場合の扱いもなんら提案されていません。
 さらに、政府財界の中には、独立行政法人化を民営化に向けた過度的形態であるとの考えがあることを忘れてはなりません。独立行政法人化が国の高等教育への責任放棄につながる恐れは決して小さくありません。
3.設置形態を変更する理由がないこと
 大臣は独立行政法人化の意義を3点にわたって述べています。しかし、それらは法人化によって大学の自主性・自立性が高まった場合の意義です。現在のような高等教育への財政支出の低さや、独立行政法人化が行政改革の一環として位置づけられていることを見れば、大臣の述べる意義は単なる期待にしか過ぎません。
 独立行政法人化をする理由は、国家公務員定員削減の数合わせに過ぎないのであり、大学改革の観点から出されたものではないのです。
4.高等教育を受ける権利が脅かされる恐れがあること
 独立行政法人化は、大学間格差の拡大や統廃合、学費の高騰など多数の問題を引き起こします。これにより、特に低所得層や地方居住者の子弟の大学進学が困難になると予想されます。これは、大学審議会が国立大学の役割としてあげた「教育の機会均等への貢献」を放棄するものです。

「今後の取り組み」
 声明は、広く世論に訴えるため、記者会見の形で発表することにしました。
また、全大教の提起した署名についても、県内の他の組合に協力依頼を行うなどして、熊大で5000の集約を目指すことにします。当面の山場は11月半ばの国大協臨時総会です。それにむけて署名活動に取り組むとともに、学長への働きかけを強めていきます。独立行政法人化の問題は、私たちの身分そのものに関わる問題です。組合員のみならず、全教職員の協力をお願いします。

 なお、独立行政法人化についての情報は、東京大学職員組合ホームページの「独行法反対首都圏ネットワーク」のページ
http://www.asahi-net.or.jp/~bh5t-ssk/nettop.html
で見ることができます。





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