No.17
1999.11.16
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:k-kumiai@mb.infobears.ne.jp

 
 
 
独立行政法人化とは、国は口を出し続けるが、
お金は出さないという仕組みです。

*大学を改革するために重要な権限は、国が握ったままです。大学は自主的に個性を生み出せません。

*国は、バブルに踊った無責任な金貸し業救済や選挙目当てでは大金を出しますが、教育にはお金を出さないのです。日本の高等教育への公的支出は先進国中最低です。

*お金がないと大学をやっていけません。大学が必要なお金を得る方法は次の通りです。
国の指示に従った研究。他人に言われて、いやいや勉強するのと同じです。学問をする人の自由で自主的な研究こそが真理を明らかにするという、学問の自由がなくなります。
授業料大幅値上げ。現在の数倍の授業料、文系で年約200万円、理系で年400万円になると試算されています。よっぽど安定して高収入の人しか大学へ行けません。
めさきの営利活動。すぐに利益を得られる研究が重視され、お金にならない研究・教育は軽視されます。政治家は自分たちと同じくように企業献金をもらえというのですが、すぐに経済的利益を生じない長期的な研究や基礎的な研究に企業がお金を出すわけがありません。
老朽施設の継続利用。古い建物と設備をこれからもずっと使い続けます。
賃下げ、首切り。支出で一番大きいのは人件費です。独立法人化は国家公務員中4人に1人の大リストラです。これは、日本の大企業(NTT、三菱自動車、日産自動車、都市銀行)の大量首切りの10倍です。
結果として、大学は学問をするところではなくなります。さらに、

県内から大学がなくなります

国が作る経営効率目標・計画を達成できない大学は統廃合されます。学生数が減っていること、国と熊本県をはじめとする多くの都道府県双方の財政大赤字による大学補助金減額を考えると、公私立大学もこの例外ではありません。生き残るのは大都市圏の少数の有名大学だけです。国立大学の独立行政法人化は、地方から大学をなくす第一歩です。

国民を馬鹿にした政府の安易なまやかし

国立大学の独立行政法人化問題は、大学改革とは全く関係のない国家公務員25%削減問題から持ち込まれました。これを達成するのにちょうど数が適当な国立大学(12万人)を当てるというのが国の安直な発想です。教育を良くしようという視点はありません。さらに、職員の身分は公務員のままなのに公務員削減の数には含めるという、職員も国民も馬鹿にしたトリックも使われています。このまやかしの先にあるのは、実際の人減らしです。これらは、頑張っている大学の教職員の意欲を大きく損ないます。

国立大学の独立行政法人化は、政治が教育・学問を
もてあそぶ、取り返しのつかない大きな過ちです。


 
 

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