No.31
2000.1.27

熊本大学教職員組合

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テキサスヒットはすぐに打てる
――わずか6人弱の増員によって夜勤看護加算の算定が可能――

 「熊大付属病院では、もちろん看護婦の負担は重々承知しています。それを解消している努力はしているんですが、なにしろ総定員法で定員が決まっています。……クリーンヒットになるような解決策は見つからない。できる手だては打って、現在対策に苦慮しているところです」(RKK「ニュースな気分ビバ」、99年3月6日放映)。
 暫定定数が9名も減らされた97年以降、これまで組合では幾たびも「クリーンヒットになるような解決策」を提示してきました。にもかかわらず、この回答のように、これまで看護婦の大幅増員とそれによる労働条件の改善の手だては打たれていません。しかし、「クリーンヒットになるような解決策」は現に存在し、少なくともテキサスヒットは明日にでも打てます。

会計検査夜勤看護加算の算定を指導
 総務庁行政監察局「国立大学付属病院に関する行政監察結果に基づく勧告」(99年5月)は、きわめて重要な指摘を行っています。すなわち、「国立大学付属病院においては、これまで予算の適正な執行に重点を置き、病院を経営するといった意識が低かった」と。あるいは「国立大学付属病院は、支出超過がないように予算の執行管理をしているものの……自らの病院の収支を改善するという経営意識に低い」と。
 この指摘を裏づけるような出来事が再び起こりました。会計検査院が北海道大学学長に対して、北大病院において夜勤看護加算を算定するように措置要求を行ったというのがそれです。『会計検査情報』(99年11月25日、第2324号)によれば、

  1. 98年度6月以降北大病院では、わずか2名の看護婦の増員によって、ひとつの病棟の夜勤回数を9回以下とするだけで、夜勤看護加算の算定が可能であった。
  2. にもかかわらず、北大病院当局は夜勤看護加算の仕組みを正しく理解していなかったので、この算定を(したがって、少なくとも98年8月〜99年3月の期間に約7,700万円の増収を)怠っていた。
  3. これに対して、会計検査院は、「夜間看護業務が診療報酬上の評価から外れている事態は適切ではない」として、会計検査院法に基いて「夜間勤務等看護加算を請求するための届け出をするよう」「北海道大学長に対し……是正改善の処置要求を発動した」(99年11月16日)。

 実は、会計検査院はこれまで繰り返し国立大学病院に対して、この種の怠慢――すなわち、わずか数人の看護婦の増員によってより上位の看護加算が、あるいは新たな看護加算の算定が可能であるにもかかわらず、わずか数人の増員を怠ったがための欠損という経営・財政管理上の怠慢――を指摘し、改善措置要求を行っています(熊大教職員組合発行パンフレット『大学病院の看護体制』、p. 27参照)。95年度には8大学がこの種の措置要求を受けています(会計検査院「検査結果の概要、95年度」)。
 およそあらゆる経営・事業の運営には構想(力)が必要です。現行の看護料は看護婦数を評価する仕組みであり、一定の水準までは看護婦を増やせばそれに対応して病院の増収が実現する仕組みになっています。病院経営ではこの仕組みを活用しよとする構想(力)が不可欠です。大学病院に対して繰り返しなされてきた会計検査院の指摘は、大学病院の側に経営の構想(力)が欠如していることを示しているといわざるをえません。

熊大病院ではわずか6人弱の増員によって夜勤看護加算の算定が可能
 裏面の表は熊大病院の夜勤状況(99年11月14日〜12月11日の28日間)を示しています。
 24の病棟のうち21の病棟の夜勤回数は9回を下回っています。残りの3病棟の夜勤回数を9回以下にするためには、それぞれの病棟に2名の、合計わずか6人の増員が必要なだけです。(この表では放射線科の夜勤体制を連日3-3としています)。
わずか6名弱の増員による夜勤看護加算の算定によって、年間1億円を越える増収となります。現行の夜勤体制でも、多くの病棟――患者数によって変わりますが約3分の1の病棟――で最高水準の<Ia>48点が算定できます。逆に最低水準の<Ic>30点はわずか1病棟にとどまります。つまり、熊大病院では看護単位が小さいため、他の病院と比較して、相対的に高い夜勤看護加算の算定が(したがって相対的に多額の増収が)可能なのです。

「看護業務改善経費」と「病院運営改善特別経費」による増員が可能
 北大学長に対して是正改善の処置要求が発動されたのは、年度途中ですから、当然のことながら直ちに北大学長がこれに対応し届け出を提出したとすれば、北大では学内の予算措置によって定員外看護婦を雇用する以外に方法はなかったはずです。
 実は、既に学内の予算措置による増員によって夜勤看護加算の算定を開始している大学もあります。今年度神戸大学では、「看護業務改善経費」と「病院運営改善特別経費」(いわゆる病院長裁量経費)を活用して11名(その他に暫定2名)の増員を実現し、看護婦1人あたり患者数20人以下の夜勤体制を実施――99年8月より夜勤看護加算Iabの算定を開始――するとともに、病院全体の平均夜勤回数を8.3回から8回に引き下げました。
 熊大ではわずか6名弱の増員で夜勤看護加算の算定が、それも相対的に高い夜勤看護加算の算定が可能なのですから、神戸大学よりもはるか恵まれた状況にあります。「テキサス・ヒットはすぐに打てる」のです。しかも、前号で紹介しましたように、全国平均に対して熊大では看護婦が31名も不足しているだけでなく、他の諸大学で暫定定数が増える中で、熊大では97年度には看護婦(暫定定数)を9名も削減するという蛮行がなされてきたことからすれば、「テキサス・ヒットをすぐに打つべきです」。構想(力)がありさえすれば、わずかな決断が残されるのみです。


夜勤回数(99年11月14日-12月11日)

婦 長

看護婦

夜 勤 回 数

延べ

平均
婦人科

1

14

112

8.00
精神神経科

1

20

168

8.40
泌尿器科

1

14

112

8.00
整形外科

1

14

112

8.00
発達小児科

1

15

112

7.47
第二外科

1

16

140

8.75
外科混合

1

16

131

8.19
第一外科

1

16

140

8.75
脳外科

1

17

142

8.35
耳鼻咽喉科

1

15

112

7.47
眼科

1

14

112

8.00
循環器内科

1

16

112

7.47
小児科

1

15

112

7.47
第一内科3F

1

14

112

8.00
第一内科4F

1

15

112

7.47
第二内科5F

1

15

116

7.73
第二内科6F

1

15

112

7.47
皮膚科

1

13

112

8.62
第三内科

1

14

112

8.00
放射線科

1

17

168

9.88
代謝内科

1

13

112

8.62
集中治療室

1

23

224

9.74
産科

1

17

168

9.88
 小計

23

358

2,965
中央手術部

1

26

112

4.31
 合計

24

384

3,077



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