No.33
2000.2.1

熊本大学教職員組合

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続・テキサスヒットはすぐに打てる
――わずか6人弱の増員によって夜勤看護加算の算定が可能――

 『赤煉瓦』No. 31 (2000年1月27日)号において、1.看護婦の増員によって夜勤看護>加算の算定を開始するように、会計検査院が北海道大学長を指導した(99年11月16日)こと、2.今年度神戸大学では、11名の定員外看護婦の増員によって夜勤看護加算の算定を開始していること、をお伝えしました。

「医療サービスと看護体制の整備」のための処置要求
 全国会計職員協会『会計と監査』50巻11号は、北大に対する検査結果・指導内容の詳細を伝えています。(西川・阿久津・宮本・矢富「医学部附属病院における夜間勤務等看護加算……の請求を適切に行うよう是正改善の処置を要求」。筆者はいずれも会計検査院文部検査官。)
 それによれば、1.まず北海道大学長に対する指導内容は次の通りでした。
 「大学病院は、高度医療の提供等を行う医療施設として、これらの重要な責務を果たすにふさわしい医療サービスと看護体制の整備を図っている。したがって、夜間勤務等看護加算に係る届出を行い、適切な診療報酬を請求するための処置を講ずる必要があると認められる」 (p. 12) 。
 2.会計検査院は、夜勤看護加算の算定が可能である理由を以下のように述べています。
 北大病院の「10年度の夜間勤務等看護加算に係る診療報酬請求額は7792万円となり、看護婦等の確保に必要な人件費を考慮しても、約6900万円の増収になる。
 この試算にあたっては、看護婦等の確保に必要な人件費として、北大病院の非常勤の看護婦等の平均給与2名分868万円を見込んだ。
 これは、定員抑制計画が実施されている状況下で、実現可能な方策として、非常勤職員の雇用が可能であると判断したものである。現に、北大病院には30名の非常勤の看護婦等が雇用されている。
 なお、平成10年11月の文教・科学委員会において委員の質問に対して文部省当局は、看護業務改善経費等により非常勤の看護婦等を雇い入れることは各大学の自主的判断で行い得る旨の答弁を行っている。」(p. 12.)
 説明の必要はほとんどありませんが、重要なことは以下の2点です。

増員による夜勤看護加算の算定を指導
 会計検査院は、看護婦の増員による夜勤看護加算の算定を指導しました。会計検査院が増員という方法を指導したことは、夜勤看護加算の趣旨からしても、大学病院の「重要な責務」からしても、当然のことです。
 増員以外の方法――「病棟と外来の一元化」など――によって夜勤看護加算を算定することもありえないわけではありませんが、これは制度の趣旨と大学病院の「重要な責務」にまったく反する方法です。
 会計検査院は、夜勤看護加算制度について次のように説明しています。「この加算は、平成4年の診療報酬改定で……新設された。複数の夜勤体制を整えるとともに夜勤回数を一定水準に抑え、看護婦等の夜勤負担を軽減することが、結果的に患者へのよりよい看護サービスの提供につながるとして、これを評価するものである」(p. 10)。実際にも、この制度は、88年に始まるナースウェーヴを通して看護労働の劣悪な実態が、社会問題
化する中で制定され、以来全国の病院で大幅な看護婦増員がなされ、全国的には95年に月8日以内夜勤が実現するにいたりました。
 このように夜勤看護加算制度とは、看護婦に良い労働条件を保証するための制度、そのことを通して看護の向上をはかる制度です。労働条件を改善し、看護の向上を実現しようとすれば、看護婦の増員以外に方法はありません。大学病院の「重要な責務を果たすにふさわしい医療サービスと看護体制の整備を図」るために講じられるべき措置としては、増員以外にないのです。
 増員以外の方法によっては、たとえ病棟の夜勤回数が減少したとしても、他の部門の看護サービスが低下したり、継続看護に支障が生じたりします。増員以外の方法では、決して「医療サービスと看護体制の整備〔は〕図」られません。それは、患者の負担と医療費を増やすだけです。

「看護業務改善経費」と「病院運営改善特別経費」による増員を指導
 直ちに可能な看護婦増員の方法として、会計検査院は、「看護業務改善経費」と「病院運営改善特別経費」(いわゆる「病院長裁量経費」)の活用による定員外看護婦の雇用を指導しました。
 会計検査院がこの指導の根拠としているのは、平成10年11月24日の文教・科学委員会における文部省高等教育局長(佐々木高峰)の回答ですが、以下に再び該当個所を掲載しておきます。

林紀子(参院議員) 「看護業務改善経費と病院運営改善特別経を使ってでも夜勤を減らす、緊急に定員外職員をふやしてでも夜勤を減らす、そういう強力な指導、示唆を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。」
佐々木正峰(文部省高等教育局長) 「まず看護業務改善経費でございますが、これにつきましては、……看護婦の勤務体制を維持するために非常勤の看護職員を採用したり、看護婦の業務負担を軽減するために……措置された経費でございます。また、病院運営改善特別経費は、各大学病院において……良質の医療の提供、さらには患者サービスの向上といった病院業務の改善……に措置している、そういう経費でございます。した
がいまして、それら経費の具体的な運用につきましては……非常勤職員の採用……など、それぞれの大学で工夫をしておるところでございます。
 「そうしましすと、今挙げた経費につきましては、大学当局がどうしても看護婦をふやしていかなければいけないと思ったらその裁量に任されるということになると承りましたが、それでよろしいですね。」
佐々木 「そのように御理解していただければと思います。」
 会計検査院が理解しているように、高等教育局長は、各大学の自主的判断によって、定員外看護婦の増員が可能であると指摘しています。それゆえ、会計検査院は是正改善の措置要求を学長に対して行ったのです。

 報告は結んでいます。このような内容からなる「本件措置要求事項が、北海道大学のみならず他の国立大学にとってもその一助となれば幸いである」(p. 12)と。



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