No.45
2000.4.6

熊本大学教職員組合

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2対1看護への移行がより有利に(その1)


 これまで組合では「2対1看護」の実現を要求してきました。先の病院長交渉(00年3月10日)では、「2対1が可能でそうなれば、こんなにいいことはない」、「2対1は実現したいというのが夢」などの回答がありました。と同時に、2月8日付調書(定員外看護婦の増員による2対1看護の現実性についての調査)については、「先行投資しても改善してゆけるものなら改善していこうということが窺われる」との回答がありました。また、北海道大学長に対する会計検査院の指導(定員外看護婦の増員によって夜勤回数を減らすようにという内容)については、「今まではしたことの結果で責められていたが、これからはしなかったことで責められる時代。心がけていかねばならない。工夫して地域に密着した病院を自分たちで作っていかないといけない」との回答がありました。

 こうした回答=姿勢からすれば、「2対1看護(入院基本料1)」の実現は当然のことでしょう。加えて、きわめて重要なことに、4月1日からの診療報酬改定によって、2対1看護への移行がより有利になりましたから、この与えられた条件を活用して「2対1看護(入院基本料1)」を実現することは、「経営戦略」上当然のことでしょう。
 下表は、96年度以降、「2.5対1看護」の各看護補助から、「2対1看護」に移行した場合の増加点数を示しています。今回の診療報酬改定によって「2.5対1看護」の各看護補助から「2対1看護」に移行する場合には、これまでのそれと比較して、それぞれ5点の増加となるわけです。これまで以上に「2対1看護」への移行が有利になったわけです。これが今回の診療報酬改定によって与えられた条件です。厚生省-中医協(中央社会保険医療協議会)は、暗示的に各病院に選択を迫っているのです。看護体制の整備とそれによる在院日数の短縮の途を選択するのか、それとも看護体制を整備せずに陶太の途を選択するのかを。

96-97年度 98-99年度 00-02年度
2.5対1-10対1からの移行 18 18 23
2.5対1-13対1からの移行 35 36  
2.5対1-15対1からの移行 43 44 49

 さて、既報(『赤煉瓦』43号〔00年4月3日号〕)のように、診療報酬の改定によって、「看護料」が入院基本料に包括され、また「13対1看護補助」が廃止されました。そのため、これまで熊大病院が算定していた旧入院料の「2.5対1看護-13対1看護補助」を、新入院料の「2対1看護(・群入院基本料1)」に引き上げる場合の増収額は、従来のように単純には計算できなくなりました。次のような操作が必要になりました。新入院料においても「13対1看護補助」が設定されているものと想定し、その加算点数を62点(旧点数と同一)とします。「・群入院基本料2」の基本点数(1153点)にこれを加点した1215点を、旧入院料の「2.5対1看護-13対1看護補助料」と見なします。新入院料の「2対1看護(・群入院基本料1)」の基本点数は1256点ですから、旧入院料の「2.5対1看護-13対1看護補助」から新入院料の「2対1看護(・群入院基本料1)」への移行によって、入院患者1人1日につき41点の引き上げがなされるものとして計算します。

 熊大病院の一般病棟の患者数を679人とした場合に、「2対1看護」に必要な看護婦数は340人となります。他方、一般病棟の看護婦(実人員)数は、4月1日より7人(定員外5人、定員内2人)が増員となるため、324人となります。したがって、16人の追加増員によって「2対1看護」が実現します。4月1日より増員の5人と追加増員16人の雇用に要する費用は、8,400万です。(2月8日付文部省調書に従って定員外1人の雇用費を年間400万として計算。)
 他方、4月1日からの増員によって、おそらくは7月から夜勤看護加算の算定が始まりますが、これによって全病棟で年間1億900万の増収となります。また、一般病棟について、旧「2.5対1看護-13対1看護補助」を新「2対1看護(・群入院基本料1)」に引き上げると、年間1億100万の増収となります。計2億1,000万の増収となります。この増収分のうち8,400万(=2億1,000万×0.4)が熊大病院に還元されます(「収入見合い」方式)。

 ところで、問題は8,400万の出所ですが、・私たちは決して8,400万もの追加の投資(支出)を要求しているわけではありません。新規あるいは追加の投資(支出)の必要は全くありません。必要なのは、現行の支出の一部を経由させることとだけです。・また、私たちは8,400万の出所を「医療費」に求めているのでもありません。人件費に充てることのできる「校費」による増員を要求しているのです。
「経営分析表(96年度)」によれば、熊大病院の「医療費」は、「診療報酬請求額(114億8,800万)」の40%還元分(45億6,500万)だけでは足りずに、5億の「校費」が補填されています。「医療費」とは、「患者の診療に直接要する医療費」のことであり、具体的には、患者の診療に使用する医薬品・検査用試薬・医療材料の購入費のことです。熊大病院では、この最も基幹的な経費が赤字であり、この赤字体質は96年度以降も変化がないどころか、むしろ悪化しています(「経営戦略特集号」参照)。
 他方、さまざまな「事項」の科目が「校費」ですが、「医療費」に補填されている「校費」の詳細な「事項」は公表されていません。「看護業務改善経費」と「病院長裁量経費」などは科目「校費」です。
 私たちが要求しているのは、この「医療費」に補填されている5億の「校費」のうちの一部(8,400万)を、ひとまず定員外看護婦の雇用に充てる(経由させる)ことです。この方式――経由方式――を図示すれば次のようになります。
       〔註〕単位:100万。網掛け部分が還元分。








  1.  この経由方式によって、定員外看護婦を、「医療費」(還元分)の8,400万に相当する21人まで増員することが可能になります。
  2. 以上の説明では、現在「医療費」に補填されている「校費」の一部を、定員外看護婦の雇用に充てることを提案していますが、当然にこれ以外の「校費」を定員外看護婦の雇用に充てることも可能です。その場合には、「医療費」への「校費」補填額が減少することになります。例えば、補填分以外の「校費」によって8,400万の全額をまかなえば、「校費」の補填額は4億1,600万に減少します。したがって、この場合も投資(支出)を増やす必要は全くありません。
  3. 先の病院長交渉では、定員外看護婦の雇用には「病院長裁量経費も使っている。看護業務改善経費で足りない分を病院長裁量経費から出している」との回答がありましたから、「病院長裁量経費」による定員外看護婦の雇用拡大が可能です。98年度熊大病院には、「看護業務改善経費」として1億6,700万の配分が、「病院長裁量経費」としても1億6,700万の配分がありました。後者のうち「一般分」は1億程度と考えられ、総額2億6,700万が定員外看護婦の雇用に使えます。4月1日からの増員5人と追加増員16人の雇用によって、定員外看護婦の総数は49人となりますが、総額2億6,700万によって49人の雇用は十分に可能です。
  4. 16人の追加増員によって、夜勤看護加算に加えて「2対1看護」が実現しますが、後者による1億100万の増収とは「入院基本料」の増収分にすぎません。『赤煉瓦』38号(00年2月29日号)で述べたように、在院日数の短縮(=患者の回転率の上昇)にともなって、「初期入院加算」の算定による増収ならびに「入院基本料」以外の診療報酬の増収も(すなわち2億1,000万プラス・アルファ、あるいは8,400万プラス・アルファが)期待できます。

 要するに、
  1. 熊大病院のレベルで考えれば、新規あるいは追加の投資(支出)をしなくても、現行の「校費」補填額の一部(8,400万)を経由させるだけで、「総収入」は2億1,000万増加し、「医療費」(還元分)は8,400万増加することになります。
  2. 先の病院長交渉において病院当局は、病院再開発の建設費用を「返していかねばならない」などと述べていますが、これに従って国費のレベルで考えれば、「金庫の扉を開けておく」だけで、国庫には1億2,600万(=2億1,000万×0.6、=2億1,000万-8,400万)が転がり込みます。


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