No.2
2000.6.15
熊本大学教職員組合
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何をどう間違えれば30日になるのか?

 5月23日に学長懇談・交渉が行われました。要求項目「増員によって2対1看護体制を実現して労働条件を改善すること」について、学長からは「組合の資料を持って病院長とも相談し、できるのであれば汲み上げていく」との回答がありました。また、事務局長からは「本学は2対1ができていないので定員要求や予算面において、確保する努力をする。[組合から]いただいた資料も参考にして病院経営の戦略をたて、積極的に考えていきたい。先行投資もありうるかもしれない」との回答がありました。
 しかしきわめて重大なことに、こうした回答の反面では、「2対1にするには30日の在院日数がハードル。そういうところの問題はどうなるのか。組合が言っている2対1ができないのではないか」、あるいは「30日がネックになっているという印象がある」、「看護婦補助10対1には30日というハードルがないから、10対1をとるのかなと思った」などの回答がありました。要するに、2対1看護の平均在院日数要件が30日以内であり、これを容易にはクリアできないので、直ちには2対1看護を実現できないというのです。

 熊大当局に申し上げます。この数字と説明(考え方)は全くの誤りです。
 そもそも数字が全くの誤りです。2対1看護の平均在院日数要件は、30日以内ではなく33日以内です。老婆心ながら、改めて「特定機能病院入院基本料」について説明しておきます。98年度の診療報酬改定によって、特定機能病院にも平均在院日数要件が導入されましたが、それ以来2対1看護の要件は33日以内となっています。ただし、本年4月の診療報酬改定によって、特定機能病院にも機能分化(I群とII群の区別)が導入されたため、2対1看護が2種類に分化されました。つまり、「平均在院日数28日以内の2対1看護」と「同29日以上33日以内の2対1看護」とに分けられました。とはいえ、引き続き平均在院日数が33日以内であれば、2対1看護(II群入院基本料1)を算定できることに変わりはありません。
 この何をどう間違えば30日になるのでしょうか。そもそも、保健医療機関にとって最も基本的な診療報酬制度について、他ならぬ熊大病院の「経営戦略」の前提たるべき数値について、なにゆえ誤解が生じるのでしょうか。
 確かに、33日であっても平均在院日数要件をクリアしなければ、2対1看護を「算定」できません。それでは熊大病院の一般病棟の平均在院日数は何日でしょうか。右表はこの間の在院日数の推移を示しています(患者数が少ない12月と1月を除いてあります)。すでに32日を切っている月もあり、99年度全体では31.9日まで短縮されています。34.1日の月(00年2月)もありますが、平均在院日数とは3か月間の平均値ですから、00年2月〜4月では32.8日となります。つまり、4月1日に看護婦の増員がなされていさえすれば、5月から2対1看護(II群入院基本料1)が「算定」できたのです。
 説明(考え方)もまた全くの誤りです。看護婦と平均在院日数には明かな相関があること、すなわち看護婦を増やせば在院日数も減ることは、これまで多くの研究が明らかにしており、すでに我が国の医療政策の前提にもなっています。当然に文部省もこの相関関係を認めています(99年3月30日参議院文教・科学委員会)。
 したがって、仮に、在院日数が「ハードル」「ネック」であって、より上位の看護加算を「算定」できないとしても、なすべきことはただひとつ、まず看護婦を増員して在院日数の短縮をめざすべきなのです。熊大当局のように、これを逆にして、在院日数が「ハードル」「ネック」であって、「2対1ができない」――すなわち「看護婦を増やせない」――と考えるのは、本末を決定的に転倒させています。

 99年3月30日参議院文教・科学委員会
 林紀子(参議院議員) 国立大学附属病院の「看護職員については〔ほかの特定機能病院並に急いで2対1の基準〕引き上げて、思い切って人を増やすことが在院日数の短縮につながる、こういうことがいろいろな研究で明らかになっている……。例えば、東大医学部の研究グループの調査では、看護職員数と入院日数の相関関係を7,200の病院で調査した結果、看護婦さんの数が多いと早く退院できるという結論を出している。また……厚生省の平成8年調査によりましても、2対1の看護をしている特定機能病院では平均在院日数が27.6日、そして2.5対1の看護をしている特定機能病院は33.7日と、かなりの明らかな在院日数の差が出ているわけです。
 看護婦さんが多いときめ細かな看護ができる、合併症や二次感染を防ぐこということから、こういうような短縮というのができるんだということなわけですが、こういうことは、患者さんももちろんありがたいことですし、医療費削減にもつながる。……」
 佐々木正峰(文部省高等教育局長) 「ご指摘がございましたように、看護職員の数が多いほど入院患者が早く退院できるということが言われております。……患者本位の医療ということが言われ、そのために国立大学附属病院としてもさまざまな努力を重ねておるわけでございますが、その中にあって、看護職員の果たす役割というものの重さ、重要性というものを踏まえて対応している必要がある。そういう観点から、厳しい財政事情のもとでございますけれども、引き続き看護職員の重点的な増員……など様々な取り組みを通して、より充実した医療体制が整えられるようにしてまいりたいと思っているところでございます。」




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