No.14
2000.9.13
熊本大学教職員組合
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Bigニュース飛び込む!! 看護婦増員に朗報!!

文部省、来年度の概算で非常勤看護婦800人の増員を要求

2年かけ「リスクマネージャー」配置
=国立大付属病院医療ミス対策で文相(9/2)

 大島理森文相は1日の閣僚懇談会で、国立大学付属病院の医療ミス防止対策として、病院内で起こりやすい事故を未然にチェックする「リスクマネージャー」を配置する方針を明らかにした。2001年度予 算概算要求に関係経費を盛り込み、2年間で42ある大学付属病院すべてに配置する。非常勤看護婦も01年度に800人増やす。

[時事通信社 2000年 9月 1日 12:03 ]

 このニュースはこれまで取り組んできた文部省交渉、国会請願署名などの運動の成果といえます。この大幅増員が実現するかどうかは今後の大蔵省の判断となります。
  この秋に行われる全国医大懇、秋以降に予定されている国会請願行動の成功が実現させる大きな力となるはずです。
  皆さん、ご協力、ご支援よろしくお願いいたします。


 


人不足、先進国で最悪

 一病床あたりの職員数は先進諸国の平均が二・一四人に対し、日本は○・九五人--。経済協力開発機構加盟国の医療統計を分析した東北大学大学院の濃沼信夫教授(医療管理学)によると、日本の医療現場の人手不足は深刻で、先進国の中で最低水準にある。
 三十五年前は、ほとんどの先進国が日本と似た状況だった。だが、他国は医療の高度化、患者の重症化などに合わせ、病床数を減らして一病床あたりの職員数を三倍にするなどしてきた。日本は、職員の養成数は増やしたが、同時に病床数も増やしたので人手不足は解消されていない。
 職員が手薄なために、日本の患者の平均在院日数は世界平均の三倍長い。在院日数の短縮で医療の密度を濃くする政策は進められているが、病床数と職員数はそのままなので、仕事量は増え、余裕のなさにつながっている。
 「人を確保し、『ゆとり』を取り戻すことが医療の質を高める条件となる。病床数を滅らし、診療報酬を改めるなど、構造的な問題を解決する国の政策を急がなければならない」と濃沼教授は指摘する。
 日本看護協会の嶋森好子・常任理事は「人工呼吸器を使うなど目の離せない患者には、土日も夜も一対一で看護者をつけなければ安全は確保できない」と話す。今回の事故のあった病棟で、この条件を満たそうとすれば、いまの三倍近い看護婦が必要になる。
 中央大の斉藤良夫教授(労働科学)がパソコンを使った作業テストの信号見逃し回数を調べた。仮眠なしで十六時間続けた人は八時間続けた人より、早朝時間のミスが六割多かった。
 「医療ミスと単純には結びつけられないが、深夜時間帯を含んで長く労働すると、早朝帯の大脳皮質の活動性の著しい低下を招き、判断ミスが起こる可能性が高くなる」と説明する。
 米ニューヨーク州では十一年前、医療事故をきっかけに勤務医の労働時間に法規制がかけられた。欧州では、医師や看護婦を合めて深夜働く人の労働構簡を短く、有給休暇を長くする配慮が広まりつつある。
 病んだ人をいやすには、人が十分に必要だ。医療職が疲れをためずに仕事をできる病院の職場環境が、患者の安全につながる。

2000年9月2日付朝日新聞「検証医療事故4」より


 

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