No.40
2001.3.7
熊本大学教職員組合
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人事院が一般職の
「俸給体系の基本的見直し」
検討案を提示

もう定期昇給がなくなります!かわりに実績評価で選別よ!!


 人事院は2月14日全大教に対して、一般職(行政職(一)のみ)を対象にした「俸給体系の基本的見直しについて」(下図)を提示し、その考え方を説明しました。これは公務員制度改革の一環とされ、人事院勧告の中に盛り込まれていた考えを具体的に示したものです。
 今回示された人事院の見直し案では、①年齢等、年功要素で決まる現俸給表(基本給)制度を廃止し、②一般職の基本給は新たに各級ごとの職務・職責に応じた金額とし、③定期昇給を廃止し、勤務に係る加算額(個人の習熟・職務遂行能力等)、実績に係る加算額(勤務実績等)での昇給が骨子となっています。
 また、新聞報道によれば勤務実績を客観的に評価するため、新たな人事評価システムも創設し、業績評価などには目標管理を導入し、自ら設定した目標の達成度を一定の時期に上司と協議して評価するとされています。
 今回、提示された人事院案では、民間企業と同じように実績を重視し、実績に応じた加算額の加減で俸給体系のメリハリをつけると表明していますが、実績の評価の基準等何もも示していません。そもそも、公務員の場合、何をもって実績とするのか理解出来ません。
 3年連続ベースアップゼロに伴う実質賃金の低下の現状を無視し、単なる人件費減らしを目的とした今回の俸給体系の見直しには納得できません。意見を求められた全大教は2月末に人事院へ「絶対反対」の意見書を提出しました。人事院は今後、各省庁当局と職員団体にこの「見直し案」を提示し、意見を聞きながら今年の夏の人事院勧告で見直しの骨格を示すとされています。今後、組合では詳細な情報収集に努め、国家公務員共闘会議等と連携し俸給体系見直しの反対運動に取り組みます。

俸給体系の基本的見直しについて

基本的考え方
職務重視、能力・実績主義給与の推進による公務の活性化
−個人の能力実績を重視した給与体系への転換の土台−
環境変化への対応

社会環境の変化
・民間賃金改革
・職業意識の変化

公務環境変化
・職務の複雑・専門化
・在職期間長期化
現行俸給体系の問題

・俸給表は職務給を原則としつつも、各級の金額の重なりが大きく、構造的に年功要素のウェートが高くなっている。

・各省で人に着目した人事管理が行われているが、給与としては官職を基本にした給与格付け及び俸給表の適用が行われるため、弾力的な人材活用ができにくい面がある。

・業績・成果を反映する仕組みが限られており、また、その効果がその後の水準まで継続するため、運用としても「持ち回り」的になる傾向がある。
<改正の方向>

○一律的・年功的な給与からの脱却
 −働きに見合う給与(成績主義の徹底)
 −職務段階等業務に応じためりはりのある処遇

<水準面>
○世代間での給与配分の適正化
※ 国民に対するわかりやすさ(説明責任、透明性)に留意




措置の基本的方向

民間の賃金体系でも広く認められた基本給の主な決定要素(基本給項目)である「職務・職責」、「年功」、「実績」による3本立ての構造に再編

 これにより、明確な制度設計や水準設定・ベア配分を行うとともに、職務段階等に応じためりはりのある処遇を推進する。
 例えば、
  • 管理職員に対しては、年功要素を廃止し、業績反映の一層の強化
  • 若手職員には、能力の伸長等の適切な反映
職務の基本額
各級ごとの職務・職責に応じた基本となる金額として各級の俸給水準の土台
  • 職務重視の観点等から、現行の各級初号より一定程度高い水準とする。
  • 基本額の内容として、広く業務や役割等を反映する方法も検討する。
勤続に係る加算額
勤続による個人の習熟・職務遂行能力の向上に応ずるものとして、一定期間良好に勤務した場合に加算
上位の級・号俸等の昇給の在り方を見直す
  • 昇給曲線の簡素化・フラット化を進める。
  • 職務の基本額と勤続に係る加算額とを合わせ、基本的な水準を確保する。
  • 勤務成績が不良な場合には、良好と判定されるまでの間、勤続に係る加算は行わない。
実績に係る加算額
顕著な勤務実績等をあげた場合に加算
その級にいる間の加算(定額)を基本
  • 現行の特別昇給の制度は、廃止する。
  • 成果を反映した給与の在り方を広く検討する。
    〜 実績に応じ加算額を加減、特別給(賞与等)の在り方 など
管理職員(本省庁課長級)の取扱い
本省課長級の職員については、職責・業績の重視の観点から、勤続に係る加算は行わない
実績に係る加算の効果等を下位級より拡充し、公務貢献等に応じた柔軟な処遇


 

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