2001.4.24 |
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そもそも補填もありえません 熊大当局はさらに嘘とごまかしを重ねています。「文部科学省から配分された経費では、その一人あたりの積算単価が……低いことから、23名の看護要員を雇うには不足することが明らか」で、病院の予算を使って、不足分を補填しなければならないと。 この回答もまた、当局の意に反して驚くべき事実を吐露しています。そもそも各大学は「調書」作成時に「非常勤看護婦の平均雇用単価(年間)を……算定」し、「調書」に記載しました。文部科学省は配分単価を、この「各大学の実態単価に基づき積算」したとしています(「看護婦等非常勤職員の雇用に係る留意事項」)。したがって、熊大に配分された「一人あたりの積算単価が低い」とすれば、その原因は、熊大当局が「調書」に記載した単価が実態よりも低かったからです。熊大当局は「調書」の作成に際して、単価を低く算定したため、配分数を運用できないという驚くべき事実を語っています。 さらに、文部科学省から配分された23名の人件費は、文部省から配分される新規の経費(「(目)非常勤職員手当」)によってまかなわれますが、仮にこの経費が不足するとしても、院内の予算(「(目)校費」)を使って補填することは予算制度上できません。そのため、内示された「員数・単価では、運用が困難と判断された場合は、文部科学省(医学教育課・会計課国立学校特別会計第二予算班)に相談」(「看護婦等非常勤職員の雇用に係る留意事項」)し、増額を実現する以外に策はありません。看護補助者の大幅削減によって、「不足分を捻出する」ことはそもそもなしえないことなのです。 熊大当局は「自助努力(15人の増員)」を放棄している 既述のように、熊大当局が「調書」において構想したのは、「2対1看護」および「夜間看護加算Ia」の実施であり、これに必要な増員(38人)を要求しました。しかし、実際の配分数は23人でした。38 - 23 = 15人はどこに消えたのでしょうか。 実は、01年度に熊大当局は「自助努力」(病院長裁量経費)によって、この15人の増員を行わなければ(換言すれば公約を実施しなければ)なりません。つまり、01年度の増員数は、文部省からの配分数23人 + 「自助努力」(病院長裁量経費)による増員15人 = 38人でなければなりません。しかし実際には、熊大当局は「自助努力」による増員(15人 )をまったく放棄し、公約を破棄しています。熊大当局は「14名の先行投資」によって、すでに14 ≒ 15人を増員しているというのです。ここに「先行投資」なる言い分の最大の問題があります。「14名の先行投資」というのは、15人の増員を放棄するとともに看護補助者の大幅削減を強行するために組みたてられた苦し紛れの口実であり、そのためはからずも当局自らの意に反して、幾つかの驚くべき事実を吐露する結果となりました。 文部科学省は「非常勤職員(看護婦、技師等)内示書」(1月)において、熊大病院に23人の増員を行うことを通知し、この増員にともなって、「夜間看護加算Ia」(全ての病棟の夜勤帯において入院患者15人に対して1人の看護婦の配置)を実施するように熊大当局を指導しています。その際、「内示された人数だけでは上位加算の獲得が困難な場合は引き続き自助努力を行う」ように、熊大当局を指導しています(「看護婦等非常勤職員の雇用に係る留意事項」)。つまり、文部科学省から配分された23人で「夜間看護加算Ia」が実施できないのであれば、01年度に熊大当局は、残りの15人を「自助努力」によって増員し、「夜間看護加算Ia」を実施しなければならないのです。ところが実際には、熊大当局は「自助努力」による15人の増員を完全に放棄し(換言すれば公約を破棄し)ています。 「現在の現員数を維持した上で増員すること」 熊大当局は「自助努力」による15人の増員を放棄しているだけでなく、増員とは全く逆に、看護補助者の大幅削減を強行しています。これもまた、文部科学省の指導内容および増員の目的・趣旨に違反しています。 文部科学省は今回の配分に際して、各大学に「現在の現員数を維持した上で増員すること」と指導しています(「看護婦等非常勤職員の雇用に係る留意事項」)。「現在の現員数」とは、「調書」が指定する00年10月2日現在の「看護婦」および「看護補助者」数を指します。各大学は、これに今回の配分数を上乗せしなければ(さらには「自助努力」をしなければ)ならず、「現在の現員数」(00年10月2日現在の「看護婦」および「看護補助者」数)を取り崩すことは認められていません。しかし、熊大当局は看護補助者の取り崩し(大幅削減)を強行しています。 文部科学省が各大学に「現在の現員数〔の〕維持」を指導しているのは、今回の増員の目的・趣旨が「勤務体制の改善、医療事故防止への対応、患者サービスの向上等を図る」(「平成13年度概算要求の概要」、10月27日衆院厚生委員会における清水潔答弁など)ことにあるからです。これまで文部省が行ってきた増員は、基本的に新規部門・事業のための増員でしたが、今回の増員は既存の看護体制の整備・改善にあり、このため「勤務体制の改善、医療事故防止への対応、患者サービスの向上」が実現します。既存の看護体制に対する増員ですから、各大学が「現在の現員数を維持」することが当然の前提です。 熊大当局は、この増員の目的・趣旨および文部省の指導内容をまったく無視し、それに背反しています。そのため、「現在の現員数」の取り崩し(「先行投資の回収」)なる発想が生まれ、また「先行投資の回収」には看護婦と患者に「痛み分けが必要である。……痛みを伴わない政策はない」などという回答がなされます(病院長交渉)。さらにはあろうことか、患者の生命(医療事故のリスク)よりも「合理化」や「経営改善」を尊重・優先する回答がなされもします(病院長交渉)。 特定機能病院ワースト7位の熊大病院
このようにそもそも熊大病院の看護婦(定員内)数は少ないのですが、にもかかわらず、他の国立大学病院と比較して、決して「病床稼働率」が低いわけでも、また「在院日数」が長いわけでもありません。むしろ、熊大病院では10月下旬から「病床稼働率の確保と平均在院日数の短縮という、相反する課題」に取り組まれ、その結果、病床稼働率は昨年比1.7ポイント上昇し、平均在院日数は28日を大きく下回ったとされています(「経営戦略特集号」9号)。きわめて手薄な看護体制にもかかわらず、医療職員の努力によって、相当の実績があがっているのです。これまで熊大病院のきわめて手薄な看護体制を支え、相当の実績を可能にしてきたのが、看護補助者でした。 看護補助者の大幅削減と「自助努力」の放棄は認められません 熊大病院の手薄な看護体制を整備・改善し、それによって「勤務体制の改善、医療事故防止への対応、患者サービスの向上」を実現するには、「現在の現員数を維持した上で増員すること」と「自助努力」が不可欠です。 わたくしたちは、これまできわめて手薄な看護体制を支えてきた看護補助者の大幅削減に、到底納得・合意できませんし、また「自助努力」による看護体制の整備・改善を放棄している熊大当局の姿勢を認めることもできません。 |