No.60
2001.4.26
熊本大学教職員組合
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問われている救急体制の質

−熊大病院の救急外来の実態−
充実した人員の配置を!!

 現在救急外来はICUが看ています。30年前からつき8回夜勤が出されているに関わらず現在でも月10.7回の夜勤を行っています。救急外来は地域支援を目的に行われているが、人員体制が不十分のままになっています。専門医は4名しかおらず対応できる人員も十分でない。どこの部門でも足りないのは良くわかっている。しかし、医師が1名、看護婦が1名では何か起きたとき対応ができない。病棟の医師の応援がない。救急体制を確立していくのであればもっと充実した体制をとるべきです。

2001年3月31日付 朝日新聞





35施設「体制が不十分」
厚労省
調 査
人員配置など点数化
 重体の患者を二十四時間態勢で受け入れる全国百五十一カ所の救急救命センターを、人員配置や空きベッドの確保状況などから点数化した厚生労働省の評価結果が三十日、明らかにされた。ABCの三段階評価でみると三十五施設が「体制が不十分」とされる「B」「C」の評価を受け、国の補助金が減額される。評価システムは、地域の中核施設としての役割を担ってもらうために昨年度から始まった。施設名公表は初めてで、外部の目にさらして体制を充実させてもらうため、としている。
 厚労省が救急救命センターを対象に実施したアンケートをもとに採点した。設備や人員態勢が主な質問項目で、ほぼセンター側からの自己申告制だ。
■救急救命センターの評価■
(九州・沖縄・山口のBCランクのみ、2000年度)
山口県  県立中央病院  C
宮崎県  県立宮崎病院  B
 県立延岡病院  B
沖縄県  県立中部病院  B
 勤務体制の調査では、医師や看護婦、検査技師などを職種別に、そして昼間と夜間の勤務帯別に聞き取った。さらに、地域の救急医療関係者と連絡を取り合っているか▽救急救命士からの専用電話には、必ず医師が即答しているか▽救急専門医を中心に専任チームを組んでいるか▽診療データを集計・分析しているか--など十九項目に注目。それぞれ三点からマイナス一点で採点した。
 その結果、十六点以上の施設につく「A」ランクが百十六施設(前年度は八十六施設)と八割近くを占めた。施設名を公表せずに、採点だけを明らかにした昨年度からみると、二十ポイント以上増加した。
 逆に十点以上十五点以下の「B」は前年度の二十八施設から二十六施設(十七%)と減った。九点以下の「C」は二十八施設から九施設(六%)へと減った。
 一方で、四十一の私立医大付属病院などは全部Aだったのに、県立病院、市立病院など自治体立は十七施設(二十七%)がBで、六施設がCランクだった。
 休日夜間の急患などを受ける一次医療、中規模の病院が輪番で受ける二次救急を支援するための病院で、救急患者にとっては最後のよりどころとなる。複数科の医師が待機し、脳卒中や頭部外傷などの重度の患者を受け入れなければならない。
 BCランクだからといって、ただちに三次救急としての機能を失うわけではないが、厚労省は、救急のレベルアップにつながれば、としている。

2001年4月6日付 朝日新聞
救急救命センター格付け
 救急救命センターは、どんな重体の患者も断らずに高度な医療を施す「最後のとりで」だ。3月末、その態勢に差があることを厚生労働省が病院名を挙げて公表したことに対し波紋が広がっている。厚労省は、実名公表のうえ補助金も減らすという荒療治で態勢の充実をとはっぱをかける。一方、低い評価を受けたセンターは、地域差を考えないのは「許し難い」など不満を訴えている。
荒療治に地方ショック
地域で異なる医療体制
どこで倒れるか
 たとえば、東京都に住む会社員が地方に出張中に交通事故を起こし重体に陥ったとしよう。救急車で運ばれた先は厚労省の評価ではCランクの病院。
 当直は若い内科医と外科医。軽い症状の急患に忙殺されて救急隊からの連絡も十分伝わっていなかった。患者到着後、手に負えないことがわかりあわてて救急専門医を呼び出す。一刻を争うのに人手が少ない。断層撮影も必要だが、技師不在のため、診断もできない。救急専門医が30分後に到着したとき、すでに呼吸は止まっていた。
 もし会社員が住居地の東京で事故にあったら、救急のベテラン医を中心にした5人以上の医師が24時間体制で待ち構えている。結果は変わっていたかもしれない。倒れた地方によって、受けられる医療が違うのだ。
当直増で「C」から「A」へ
医師の数変わらず負担増
 議員「救急救命センターは全国どこでも一定の水準と思っていたが」
 県「99年度はC。救急医療の高度の専門家や、ヘリポートがないことが要因のようだ」
 昨年7月の山形県議会では、 山形県立中央病院(山形市)のC評価について取り上げられた。当時はまだランクは公表されておらず、病院側にだけ知らされていた。
 山形県立中央病院はセンターの当直を3人から5人に増やすなどして今回はAを得た。ただし医師の総数は変わっていないので当直回数を増やして対応するしかなく、医師の負担は増えた。
 香川県立中央病院(高松市)は前年度Cで今回はBに。81年のセンター発足以来、各科の医師がセンターを兼務していたが、専任医師2人を配属、新年度にはさらに3人増員してAを目指す。「Cと宣告されたのがショックで」(県立病院・施設管理課)増強が一気に進んだ。
 全国でBC評価とされたのは前回の39%から今回23%に減った。厚労省は「ランク付けの効果が出た」と評価する。
19項目で採点  厚生労働省が、全国151カ所(99年度末時点)の救命救急センターを、医師の勤務体制、救急隊との連絡がうまくいっているか、空きベッドを確保しているかなど19項目で採点。態勢不十分の「B」「C」が約4分の1の35カ所あった。実名の公表は初めて。不十分とされると、センターの赤字を埋める補助金を500万円から1000万円減らされる。診療の質ではなく態勢の評価だが「態勢が整わないと質も上がらない」と厚労省。
補助金減「余計苦しく」
「国は分かっていない」
 前回、今回ともにCだった徳島県立中央病院は、救急専門医を2人増やす予定で、昨年4月から県内外3つの大学に医師の派遣を求めているが、いまだ決まらない。青森県にある2カ所のセンターはBとCランク。県の担当者は「医師が欲しくてもすぐに来てもらえない地方の現状を理解していない。国はわかったうえで、お宅はCだなんていうのか」と怒る。
 救急医学の学会認定医は、都市部に集中している。東京では住民約2万5000人に1人の専門医がいるのに対し、青森では14万8000人に1人と6倍の差がある。
 A評価を受けた宮城県の古川市立病院は、センターだけで毎年3億円の赤字。94年に発足して以来の累積赤字は約18億円に達した。病院は、集中治療室のベッドをつねに空けていることが、赤字の要因だとする。
 重症患者がひっきりなしに運び込まれる東京などと比べ、患者が少ないのにベッドを空けなければならない地方のセンターだとさらに深刻だ。補助金の減額に不満が噴き出す。「補助金を削られれば態勢を整えるのは余計に苦しくなる。逆じゃないか」(山口県立中央病院、防府市、Cランク)という。
 地域の特性を考えずに減額されるのはたまらないという声に対して厚労省は「地方でもAのところはある。患者に、都会に比べて低いレベルで満足しろとは言えない」と突き放す。
 島崎修次・日本救急医学会理事長は「ようやく質が問われるようになった。今後は、診療の質に関してより詳しく評価を進める方向に進むだろう」と話している。

 

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