No.62
2001.5.21
熊本大学教職員組合
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全大教定員外職員交流会参加報告

 5月12日(土)および13日(日)の二日間にわたり東京の全大教会議室において、定員外職員交流会が開かれました。全国から30数名の日々雇用職員や時間雇用職員が集い、定員外職員が置かれている厳しい現状や各単組の取り組みが報告されました。
 以下、主なものについてまとめてみます。

1.富山大学付属図書館定員外職員4名の雇い止め問題
 全国から届いた支援の激励文に対して、富山大学教職員組合からお礼の言葉と経過報告がありました。雇い止めの全面撤回には至りませんでしたが、最終的に「図書受入の1名は他大学に職場を確保、窓口業務のうち1名は図書館以外の職場への配置転換を辞退して退職、もう1名も配置転換の申し出を辞退して退職。年史編纂室の1名には当初継続雇用の提示があったが、上述の事情に伴い、辞退の空きポストへの配置換え」となったとのこと。実際には、雇い止め通告から一転、配置転換が提示されたときも、組合に加入して署名運動などを行っていた一人に対してだけは提示がなく、本人が人事院に不服申し立てを行った直後に、ようやく人事課長と同じ部屋への配置転換が伝えられるなどの経緯があり、退職するに至ったとの報告がありました。

2.4月1日をはさんだ産休の承認
 大阪大学では、4月に出産をひかえた時間雇用職員に対して、「4月1日に勤務できないものは雇用できない。従って3月31日までの産休しか認められない」という大学側の見解から、いったん退職してもらい出産後あらためて雇用するという方針が示されましたが、組合の交渉により、4月1日をはさんだ産休を勝ち取りました。解雇されると保険証を返さなくてはならないなど、母子にとって非常な不利益になります。

3.日々雇用職員の雇用保険適用の問題
 これまで日々雇用職員は職員と同等の扱いということで雇用保険に加入していませんでしたが、厚生労働省からの通達により、4月から9月までは入らなければならない(退職手当法との関係で10月から3月までは入れない)との指導がある。「半年ごとに出たり入ったりすることにメリットがあるのか」、「労働者の権利として入ったほうがよい」という意見から、「独法化に向けていつでも首切りがしやすいようにとの魂胆があるのではないか」といった見方まで、大学によって受けとめ方に違いが見られました。

4.いろいろな場面での定員外職員に対する差別
 セクハラ問題や、定員外職員は毎日同じ所に出勤しているにもかかわらず、職員と同じ入構証ではなく出入り業者用の入構証しか発行してもらえないなどの報告がありました。

5.全大教中央執行委員会に対して定員外職員専門部会設置の要望
 昨年度から実施された校費配分方法の変更などに伴い、定員外職員の雇用不安はますます深刻化してきています。2004年度の独立行政法人化へ向けて、ますます不安はつのるばかりです。昨年度の熊大医学部定員外職員の賃下げ問題に続き、富山大学付属図書館では定員外職員4名に雇い止めが通告されました。現実には、把握しきれない非常に多くの潜在的な雇い止めの実態があるものと思われます。これから予想されるさらに厳しい状況に対処するため、岡山大学医学部教職員組合、大阪大学教職員組合から専門部会設置の要望が寄せられました。

6.定員外職員の組合員拡大にむけて
 全国の大学の定員外職員は約2万人(時間雇用1万6千人、日々雇用5千人)といわれていますが、組合加入率は非常に低いのが現状です。定員外職員の組合員拡大にむけてがんばりましょう。

 今回の交流会では、「定員外職員」という言葉は問題があるということで、「日々雇」「パート」はそれぞれ「日々雇用職員」「時間雇用職員」という言い方に統一されました。日々雇用職員と時間雇用職員では待遇や要求項目が違いすぎるため、同じ呼び方でひとくくりにすることはむずかしくなってきています。ある時間雇用職員の方からは、「日々雇用職員の定員化を求める」という組合要求は、独法化を目前にして時間雇用職員の切り捨てにつながるのではないか、組合の定員外職員部会の中にもヒエラルキーを持ち込むのか、といった意見が出されました。最近は人材派遣会社からの派遣職員も増えており、「定員外職員」という同じ呼び方ではすまされないほど大学の雇用システムは複雑化し、状況はますます深刻化してきています。

 全国の大学の日々雇用職員や時間雇用職員のみなさんと交流し、わたしたち自身の置かれている状況の厳しさをあらためて認識することができました。また、誇りをもって働いている職場を奪われたくないと願うみなさんの切実な気持ちを肌で感じることができました。最後になりましたが、このような交流会に参加し、勉強する機会を与えていだだきましてどうもありがとうございました。 (文責:片山、吉村)


 

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