No.5
2001.7.17
熊本大学教職員組合
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7月12日 代議員大会で特別決議採択
 
 
特別決議

「大学の構造改革方針」と「独立行政法人」化に反対し、その撤回を求める



2001年7月12日  2001年度熊本大学教職員組合代議員大会

 文部科学省は、6月11日の経済財政諮問会議において、「大学(国立大学)の構造改革の方針」および「大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン—大学が変わる、日本を変える—」と題する二つの文書を提案し、さらに14日の国立大学長等会議において、この二文書に基づいた方針説明を行なった。
 この二文書は、現在文部科学省で検討作業が進められている国立大学の「独立行政法人」化の狙いと内実を如実に示したものであり、同時に以下のようなきわめて重大な内容を含んでいる。
 その第一は、再編・統合による国立大学の大幅な縮小、削減である。14日の国立大学学長会議の席上、高等教育局長の「一県一大学という金科玉条にこだわるとおかしくなる。必ずしも安泰でないという脅しをさせていただく」という発言に示されるように、文部科学省は、独自の削減計画を立て、それを強引に押しつけようとしている。この国立大学のリストラは、私たち教職員の権利を脅かすだけでなく、地域経済に深刻な影響を及ぼすと同時に、これまで政府が認めてきた高等教育の機会均等原則を自ら突き崩すものである。
 第二に、大学における研究・教育の政府・財界への従属化である。例えば、大学に対して、特許取得を10年間で15倍にし、その企業化を5年間で10倍にすると定め、また大学の評価や経営に「民間人」を参入させる他、企業からの教員採用の拡大を求めている。これは大学の「自主性」「自律性」を高めるどころか、それを破壊し、企業への奉仕機関にしようとするものである。その結果、大学の研究・教育内容は著しく歪められるにちがいない。
 第三に、民間的経営原理の導入と競争主義、業績主義の徹底である。今回の方針では、国立大学の「法人化」を「民間的経営原理の導入による法人化」と規定し、人事システムに関しては、任期付任用や業績評価による能力主義をうちだすとともに、大学の予算配分方法に競争原理を取り入れ、第三者評価を基準とした重点配分によって、上位5%の国公私立大学を「世界最高水準に育成」するとしている。こうした競争主義、業績主義の導入によって、国公私立大学とその教職員は、自己本位的で短絡的な業績競争、あるいは政府・財界への忠誠競争の場に投げ込まれることになる。それはまた地方の国立大学や私立大学の切り捨てにつながると同時に、基礎的研究や人類的視点に立つ研究分野の衰退を 招き、大学における学問・研究の豊かさと多様性を破壊していくにちがいない。
 以上のように、大学の研究・教育内容を著しく歪め、教職員の権利と教育・研究条件を脅かすと同時に、地域住民や学生とその家族に重大な不利益をもたらしかねない「大学改革方針」に、私たちは強く反対し、政府・文部科学省にその撤回を求めるものである。


  

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