No.9
2001.9.7
熊本大学教職員組合
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全大教定期大会参加報告
−大学の今とこれからの運動−

 

7月27日・28日の両日、全国大学高専教職員組合第24回定期大会が東京にて開催されました。大会には、加盟107単組のうち大学・大学共同利用機関68単組の代議員71名と高専協議会の代議員2名、合計73名が出席し、「2001年度運動方針(案)」と「2001年度予算(案)」を中心に議論を行いました。熊大からは、2名の代表(代議員1名、オブザーバー1名)が参加しました。


独法化と大学の構造改革
大会の冒頭、中央執行委員長はその挨拶のなかで、独法化に関して、「これからは、法人制度の具体的枠組み・制度設計に対応した運動の展開が重要である」と述べ、通則法による独法化に反対しつつ、「要求と対案の対置」(「2001年度運動方針(案)」)というより具体的レベルでの運動の重要性を強調しました。
また、「大学の構造改革の方針」(いわゆる遠山プラン)については、一県一大学体制の放棄、大学・高等教育の経済財政政策への従属化、そして、学問の自由と大学の自治の破壊をまねき、安易な民間的経営手法の導入と「公平な評価をゆがめる危険性の高い「トップ30大学」への重点投資」をもくろむものであり、「断じて容認できるものではない」とする「大会宣言」を採択しました。

各大学からの声
 では、全国の大学はこうした情勢をどう見ているのでしょうか。大会でも、大学が置かれる状況の厳しさを浮き彫りにするような声が聞かれました。「生き残りをかけて大学としての組織と機能の強化を図っている」(岡山大学)、あるいは、「独法化後をにらんで組合の組織強化・拡大に取り組んでいる」(弘前大学、京都大学等)といった発言の一方で、岐阜大学や北海道教育大学などのいわゆる地方国立大学は、「トップ30大学」への重点投資や大学の再編・統合への危惧を表明しました。
大会に参加したすべての単組が発言したわけではありませんが、こうした意見を聞きながら、大学間の温度差を感じ、唐突に出されてきた「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)にたいして、全国的規模で有効な運動を展開することの必要性をあらためて感じさせられました。

熊大からの声
 熊大執行部では、執行委員会(第3回執行委員会、7月13日)を開催し熊大単組としての姿勢と質問事項を検討し大会に臨みました。とくに、「2001年度の活動方針(案)」については、7月12日の熊本大学教職員組合代議員大会の特別決議(「大学の構造改革方針」と「独立行政法人」化に反対し、その撤回を求める)を全出席者に配布し、「大学の構造改革の方針」と大学の統合・再編に全大教として反対の立場を強く表明すべきであると訴えました。
さらに、「2001年度予算(案)」に関連して、「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)の危険性を世論に広くアピールするためのパンフレット作成や新聞への意見広告掲載と、その実現のための非常闘争資金(2001年度予算で3億円あまり)投入を求めました。残念ながら、非常闘争資金投入を決議するにはいたりませんでしたが、執行部からは、「定期大会での決定がなくても新聞に意見広告を掲載したことはある」という回答がありました。つまり、今後の臨時大会等における決定次第では、国民世論に広く訴えるための運動を展開できるということになります。今後さらに、学内で活発な議論を行い他単組と連携しながら、運動方針の迅速な具体化を全大教執行部に積極的に働きかけて行く必要があります。
なお、「2001年度の活動方針(案)」は、賛成69、保留1、反対0で、「2001年度予算(案)」は、賛成70、保留0、反対0で承認されました。
熊大は、活動方針(案)には保留、予算(案)には賛成の票を投じました。

独法化と組合の組織強化
 組合の組織強化・拡大の重要性とその難しさを、先の弘前大学や京都大学の他にも多くの単組が訴えました。大会資料として配布された全大教の「組織強化3ヶ年計画—法人化問題を視野に入れ、過半数の組合づくりをめざす—」では、「公務員制度の抜本的改革の動向や国立大学等の法人制度の具体的枠組みが焦点とされるという新しい状況」のなかで、労働協約締結権を持つ労働組合として、それぞれの単組が「過半数の組織率」を達成することが重要課題として提示されています。
たしかに、かりに法人化された場合、労働基準法の適用下では「労働者の過半数を組織する労働組合」あるいは「労働者の過半数を代表する者」が必要とされます。しかし、独法化やむなしという負の吸引力では、本当の意味での組織強化は望めないはずです。組合は、大学における教育と研究の向上、そして、そこで働く全構成員の職場環境と待遇の改善に責任を持って取り組む組織として、その組織率向上を目指すべきです。

緊迫した情勢
 定期大会後、文部科学省は、2002年度の概算要求に「トップ30大学」への重点配分予算を盛り込むことを明らかにしました。情勢はきわめて緊迫しています。
自分の大学・組織が「トップ30大学」に入っているかどうかに一喜一憂するということは、すでに、愚かな「人参獲得競争」に参加しているということに他なりません。私たちは、すべての国民に高等教育を均しく受ける権利を保障し、学問の自由と大学の自律性を守り、悪しき業績主義・競争主義の導入を阻止すべく、今こそ、英知を結集すべきなのです。

  

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