No.24
2001.12.21
熊本大学教職員組合
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学年歴問題にかかわって大阪教育大学の事例を紹介します


  教  教職組ニュース 
    
第2009号
2001年10月10日
大阪大学教職員組合

特集 セメスター性を検証する

今年度よりスタートしたセメスター制。時代の二ーズヘの対応をもくろむこの制度は、一方で、学内に予想外の混乱をもたらした。この混乱はなぜ、どのようにしてもたらされたのか。そして、セメスター制移行にあたって、十分な検討はなされたのか。

猛暑になると止まるクーラー!?

 セメスター制の実施により、7月の授業期間が、2週間延長された。このことが、予想を越えた問題をもたらした。長期的なクーラー停止である。
 ここには、立場の弱い人に負担を強いているにもかかわらず、有効な対策が講じられていないという点で、本学の構造的な問題が象徴的に示されている。

クーラー停止のメカニズム

 クーラー停止は次のようにして起こる。本学の電気使用量は、関電との契約で最大、1800kwと定められている。経理課には、デマンド・メーターという警報装置が取りつけられており、契約使用量に近づくと警報がなる。すると、経理課から、各部局・図書館・生協へと、温度設定の変更、さらにはクーラー停止の要請がなされる。この警告を無視して使用し続けると、関電に違約金を支払うことになる。さらに、電気を過度に使用し続けると、本学のみならず、大学周辺の地域を巻き込んでの停電が起こるという。
 今年の夏は、暑かったこともあり、この使用制限の要請が、すでに6月に何度かだされ、7月の授業開講中には、ほぼ毎日なされた。制限がだされなくなったのは、本格的な夏休みに入ってからである。

病人が出なかったのが幸い

 生協でのクーラー停止は、利用者には無論のこと、職員にも大きな負担を強いるものであった。停止の要請がなされると、ほとんどの施設のクーラーが止まった。店舗についていえば、開店時にすでに36℃あり、昼には40℃近くになったこともあった。暑い授業を終えて、買い物に来た学生が「いやがらせか」と思わずつぶやいたという。パンは、蒸しパンのようになり、食品管理という点でも大きな問題を残している。また職員は、扇風機もない職場で連日すごした。とくにひどかったのが厨房で、40℃以上の暑さのなかでの仕事をよぎなくされた。病人がでなかったのが不幸中の幸いであった。

学習権の侵害だ!

図書館でも6月から7月にかけて、クーラーの使用制限がなされた。このため、学生から連日のようにクレームを受けた。とくに、教員採用試験の勉強をしている四回生からの切実な要望が多かった。学生たちは、それほど有効に使われているとは思えない教員の研究室のクーラーが容認され、試験直前の自分たちの学習する環境が保障されていないのは不公平だ、というのである。

改善は可能か

改善の手段として、まず思い浮がぶのは、電気容量の拡大てある。しかし、これはほとんど限界にきている。柏原キャンパスに移転したときに、1030kwであった電気容量は、すでに何度か関電との交渉のすえに、引き上げられてきた。パソコンなど電気機器が増加したためてあろう。しかし、2000kwを越えることは事実上、不可能である。その場合には、法令上、億単位の金額の設備投資と、専属の職員の常置が必要たからである。
次に、考えられる方策はガス冷房である。すでに、A棟の二つの講義室に導入され、今年も池田小学校事件がなかったのなら、その導入が進められていたであろうと聞く。これは当然、推進されなければならない。しかし、この導入は電気使用量を減らすものではない。根本的な解決のためには、事務棟・生協・図書館などにガス冷房がなされなければならない。だが、このようなことが近い将来に可能だろうか。
クーラー問題は、セメスター制が実施される以前にすでに存在していたが、その実施に伴い、期間も深刻さも飛躍的に大きなものとなった。そしてその被害は、立場の弱い、学生・職員が主としてこうむることになっている。

求められる教員の自覚

教員は暑い中を授業しているものの、相対的には、恵まれた立場にある。だが、教員に対しても本格的に電気の節約が求められてこよう。まず、第一に、クーラーの設定温度をさげ,必要のないときにはクーラーを使わないこと。第二に、頻繁にフィルターの掃除をし、クーラーの効率をよくすること。そして、そのような方策によっても、改善されないのなら、最終的に教員の研究室のクーラーが部分的にではあれ、禁止されることが当然の帰結として生じてくる。セメスターを維持しようとし、このままなすがままに任せるなら、しかるべき処置が来年にでもなされることになろう。
 このたび、筆者が実態を聞きに訪れたところ、生協でも、図書館でも、なん人かの方に囲まれ、いかにこの問題が深刻であり、しかもだれも積極的に動かないことを切々と訴えられた。これまでこの問題の調査に来た人さえなかったのである。簡単に解決のつく問題ではないが、各人が電気の使用に関して自覚を深め、組合としても問題をはっきりと提起すべきだと痛感した次第である。暑い夏は再びやってくる。

 

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