No.40
2002.3.25
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529
 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@mx7.tiki.ne.jp


 
熊大当局は公約を守れ(その1)
--病棟婦の大幅削減問題--

「看護婦の業務は増えない」
 本年度から病棟婦が大幅に削減されました。それまで各病棟にそれぞれ1名(総数25名)の病械婦が配置されていましたが、ほぼ半数の14名に削減されました。この削減に際し、熊大当局は「看護婦の業務は増えない」と公約しました(01年2月16日病院長予備交渉)。

「不思議なことに看護婦が増えても、
超勤が減らない」

 公約は守れられたのでしようか。02年2月14日の病院長予備交渉で当局は次のように回答しました。
<当局>  不思議なことに昨年あれだけ看護婦が増えても超勤が減らない。
<組合>  超勤手当のカット〔サービス残業〕はいつからしているのか。
<当局>  昨年の8月からです。
<組合>  3年前は12月からでしたよね。
<当局>  原資は増えないのに支給額は増えない。
<組合>  人数が増えたのに滅らない実態を調査して欲しい。
<当局>  仕事の取り組みに工夫ができないか、検証を職場の人に取り組んでもらいたい。
<当局>  生活給としている人もいるのではないのか。
<組合>  それはない。
<当局>  こちらも原因がわからない。
 つまり、熊大当局は、本年度大幅に看護婦が増えたにもかかわらず、(1)超勤は滅らずに、01年8月からサービス残業を強行していることを認め、(2)超勤が増えた原因を把握できず(そのつもりさえもなく)、(3)こともあろうに事態を全く無視して、「生活給」などと回答しています。「看護婦の業務は増えない」という1年前の公約は、これまでもそうであったように、いとも簡単に反故にされました。

超勤が増えた「原因がわからない」
 超勤が増えた原因は明らかです。熊大当局は今年度も引き続き、「増収」をめざして、「稼働率の引き上げ」と「在院日数の短縮」を進めました。その結果、96年度から01年4〜11月の間に、退院患者数は47.1%も増加しました。00年度から01年4〜11月の間には、退院患者数が4.3%増加しました(第1表参照)。
第1表 熊大病院の退院患者数の推移

稼働率 平均在
院日数
1ヶ月当り
退院患者数
96 84.9 42.3 507.7
97 87.7 41.4 534.5
98 89.0 35.3 633.1
99 87.2 33.1 662.4
0 88.6 31.0 715.8
01年4
〜11月
86.4 29.0 746.8
 このように退院患者数を増やすということは、それだけ人手がかかるということです。医療は典型的な労働集約的産業であるため、他の産業ほどには機械化などによる省力化の効果を期待できず、むしろ新たな医療機器の導入にともなってさらに人手が必要になるというのが現状です。
 しかし、熊大当局は、退院患者数を増やしつつも、それに対応して人手−−看護要員(看護婦と看護補助者)−−を増やしていません(第2表参照)。看護補助者(看護助手と病棟婦)については、96年度以降も削減を強行しています。そのため、96年度から01年4〜11月の間に、退院患者数は47.1%も増加したものの、看護要員はわずかに3.3%しか増加しませんでした。00年度から01年4〜10月の間に、退院患者数は4.3%増加したものの、看護要員は2.0%しか増加しませんでした。
第2表 看護要員(看護婦・看護補助者)数の推移

看護婦数 看 護 補 助 者 数  看護要
員総数 
看護助手数 病棟婦数 小計
96 435 29 25 54 489
97 429 27 25 52 481
98 435 26 25 51 486
99 438 24 25 49 487
00 447 23 25 48 495
01 470 21 14 35 505
(註)01年度には23名の看護婦増員があったため、病棟婦を削減しなければ、看護要員は前年度比9.8%の増加となったはずが、無謀な病棟婦の大福削減によって、看護要員の増加は2.0%にとどまりました。
 このように退院患者を大幅に増やしながらも、それに対応して人手(看護要員)を増やさず、むしろ看護補助者(看護助手と病棟婦)を削減するというのが、熊大当局の方針・政策です。これでは超勤が増えるのは当然です。超勤(それもサービス残業)が増えた原因はきわめて単純明瞭であって、しかも他ならぬ熊大当局自身の方針・政策が超動を増やしたのです。
 にもかかわらず「超勤が増えた原因が分からない」、「仕事の取り組みに工夫ができないか」、「生活給としている人もいるのではないのか」などの同答は、無責任きわまりない回答であり、これまでもそうであったように、熊大当局ははなから公約など守るつもりがなかったと断定せざるをえません。

熊大当局は公約を守れ
 熊大当局には、(1)「看護婦の業務は増えない」という公約を守るつもりがあるのか、ないのか。(2)守るつもりがあるのであれぱ、いかなる手だてをとって公約を守るのか。(3)守るつもりがないのであれば、再び各病棟に1名の病棟婦を配置するのか、しないのか。
 この3点について、来る学長交渉で明確にお答え願いたい。


 

戻る