2002.9.24 |
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今こそ全構成員の声を! |
本学でも、法人化の準備が急速に進められている。その一環として独立行政法人調査検討委員会の人事専門委員会が先日公表した「熊本大学の人事制度について(案)」の問題点を指摘するとともに、新たな学長のもとで全構成員の意見が反映された学内審議が行われるべきことを強く訴えたい。 <部局等の中期目標・中期計画> 9月20日までに各部局等から、中期目標・中期計画の試案が提出された。全学の中期目標が提示されてから2か月程度という限られた時間であり、作成担当者以外の意見を反映することができなかった部局は少なくない。今回、各部局から提出されたものは、あくまでも試案であり、原案策定の目途とされている平成14年度末まで、各部局等で十分に構成員の意見を吸い上げ検討を重ねなければならない。 <法人化の検討体制> 本学では、独立行政法人調査検討委員会の下に、学部長、評議員等から構成される管理運営専門委員会、目標・計画専門委員会、人事専門委員会、財務・経営専門委員会が設置され、法人化の準備の検討を行っている。現在、各委員会の検討結果を取りまとめ、「中間報告」として近く学内に公表すべく準備を進めている段階であるという。 各委員会ごとに検討事項が付託されているとはいえ、「中間報告」を学内構成員に提示して実りある意見集約・審議を行なっていくには、各委員会が足並みを揃えて「中間報告」を作成することが必要不可欠である。各委員会の検討事項には相互に関連するものがあるのであるから、なおさらである。 <突出した「人事専門委員会」> ところが、9月12日以降、人事専門委員会が作成した「熊本大学の人事制度について(案)」という法人化後の熊本大学における人事制度を検討した文書がいくつかの部局で配布された。この文書は重大な問題点を孕んでいる。 第一は、なぜ人事専門委員会のみが「中間報告」の公表前に学内の意見聴取を行うのかという点である。他の委員会ではそうしたことはまったく行なわれていない。これは、独立行政法人調査検討委員会での検討体制が混乱していることを如実に示すものではないか。検討手順の足並みすらも揃っていない法人化の準備の検討では、構成員は困惑するばかりである。 <部局への意見聴取のあり方> 第二は、部局構成員への意見聴取のあり方が適切ではないという点である。12日以降に配布して、26日開催の人事専門委員会に各学部の意見を反映させるのはスケジュール的に無理がある。また部局の中には、文書の存在さえ構成員に周知されていないところもある(たとえば文学部)。 全学的に等しく意見聴取を行っていない以上、26日に開催される人事専門委員会が「学内の意見を聴取した」という前提で議論するようなことは絶対にあってはならない。人事専門委員会から全部局に対して正式に意見聴取を依頼しているのであれば、意見聴取を怠った部局の管理者は責任を問われねばならない。 <全教員を対象とした任期制へ 驚くべきその内容> 第三は、文書の内容自体である。詳細な検討は改めて行なうことにしたいが、将来的には全教員を対象とした任期制を導入するよう検討することや、教授会権限を大幅に縮小することなどが明記されている。少しく任期制についていえば、いったいこの委員会は「大学教員任期制法」の趣旨を正確に理解しているのか、甚だ疑問である。任期付教員を学部長などの管理者やプロジェクト研究に従事する教員の代替要員と見なしている構想もある。また全教員を対象とした任期制というが、そもそも「大学教員任期制法」に基づく任期制は、大学の自主性・教育研究の専門性の必要に基づいて導入することができる選択的任期制である。その導入の可否については、各専門分野=学部・学科での検討が不可欠である。人事専門委員会の文書には、こうした理解は微塵もない。 <学長の交代期にあって 「大学の将来像」と「教養教育見直し」> 江口学長は、「『国立大学法人熊本大学』の将来像」を全学議論に供すべく、私案を作成し、部局等の意見を聴取している。しかし、現在立案中の中期目標・中期計画(平成22年3月までの)との関係など理解に苦しむ構成員はけっして少なくないだろう。 また10月16日に江口学長に提出すべく、「教養教育見直し」が大学教育委員会を中心に議論されている。9月11日以降、「原案」が各部局に提示されて検討が行われつつあるが、9月27日開催の大学教育委員会までに最終原案が作成されるというスケジュールには明らかに無理がある。また見直しの内容がコア・カリキュラムや初修外国語のあり方にまで及ぶ極めて重大なものである以上、学長への答申の期限にこだわることなく十分に審議を尽くすことが必要である。 <新学長へ> 新学長に選出された﨑元氏は9月21日熊日新聞の「人」欄で、「大学改革には、リーダーシップというより、さまざまな考え方が認められる大学らしく、議論を尽くしたい」と述べている。新学長には、本学の重大な岐路にあたって、自らの発言を十分に実現していただきたい。民主的な討論・意思決定こそが、何よりも大学の活力の源泉なのであるから。 |