No.1
2003.6.13
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@mx7.tiki.ne.jp


文科省のウソ・ペテン、参議院で暴露される!!

10日の文教科学委員会は中断のまま散会、12日も審議に入れず


  国立大学法人法案の審議は、6月18日の会期末を間近にして、混迷の状態に陥っています。きっかけは6月10日の参議院文教科学委員会での桜井議員(民主党)の質問に対して、政府側が答弁不能に陥り審議が中断したことです。12日の委員会も開催されないことになり、会期末までの委員会定例開催日は6月17日を残すのみになりました。会期の延長がなされなければ審議未了廃案も十分あり得る情勢です。まず、当日の委員会審議を傍聴された木村氏(教育学部)の報告をご覧下さい。

6.10国会傍聴行動報告
  10日参議院・文教科学委員会への傍聴行動には、全国から熊大1名を含む60名がかけつけ、傍聴席は満席、緊張した雰囲気で審議が行われた。10時から15時30分まで全部で6名の議員の質疑が予定されていたが、午前中3人目の民主党・櫻井充議員の質問に対する文科省の答弁をめぐって議事か紛糾し、審議中断となった。昼休みを挟んで理事懇談会が断続的に行われたが、14時50分、委員長が理事懇談会の協議がまとまらないとして散会を宣言した。この顛末によって、政府与党の12日採決という当初の思惑は打ち砕かれたが、この審議の様子をみるかぎり、もはや法案の廃案以外にありえないことをあらためて痛感した。
  質問の中で、櫻井議員は、「中期目標・計画」について、昨年12月の時点で書式やページ数を含めて事細かに大学に指示している文書の存在を示し、「中期目標・中期計画の内容は大まかなものでよい」、「大学の自主的判断で提出してもらう」という文科省の答弁とは大きく 異っている点を追及した。これに対する河村副大臣、遠山大臣の答弁は支離滅裂で、棲井議員は、これ以上の審議はできないと理事会での協議を求め、委員会は中断した。終了後の野党議員の説明によれば、先の理事懇談会の場で、なんと文科省側はすでに各大学に指示した文書を回収することで事態の収拾をはかろうとしたようである。野党側は当然これを拒否、事態は収拾されることなく、委員会審議中断のまま散会という異例の事態にいたった。そして今後の対応については、11日午後の理事懇談会においても結論は出ず、12日に予定されていた審議も中止となった。
  問題とされた昨年12月の指示文書とは、国大協の第10回法人化特別委員会で配布された、文科省の未定稿資料「国立大学法人(仮称)の中期目標・中期計画の項目等について(案)」のことである。文科省はこの間、「中期目標・中期計画」作成・修正作業を当然のことのように大学側に強制してきた。にもかかわらず、文科省は、国会における本質的な追及を受けるやいなや、あくまでも法案成立を優先するために、指示文書自体の「回収」することをを示唆したのである。この間、多くの教員、研究者は本来の教育研究活動を犠牲にして中期目標・計画づくりに忙殺させられてきた。ある大学では10回以上の書き直しを命じられた教員もいるという。それを「なかったものにする」では絶対にすまされない。
  さらに、この文科省の指示文書は、法案提出に先立って行われた与党審査(今年2月)よりも前に出されたものであり、その点では、与党をも欺くものである。これは、立法機関である国会の審議を軽視・侵害し、官僚の横暴を示す重大問題であり、厳しく糾弾されなけれ ばならない。
  このように、国会の会期末をひかえて「国立大学法人法案」の本質、さらには国会を無視した文科省の横暴ぶりがいよいよ明らかとなっている。文科省の側は、「問題発言」や「虚偽 答弁」、ついには答弁不能に陥いり、審議の紛糾、中断、散会が続き、12日現在、その再開の目途さえたっていない。このことは、政府・文科省が当初立案した法人化スケジュールそのものの破綻を意味する。それでもあえて来年度の法人化を強行しようというなら、これは「暴挙」どころか「狂気」であろう。今ほど日本の大学と教育研究に対するわれわれ大学人の責任と良識が求められているときはない。全国の組合員、大学入、そして市民とともに「もはや法案の廃案以外にはない」の声を国会に結集しようではないか。(木村浩則・教育学部)

文科省のウソとペテンが白日の下に
  文科省は国会審議において「中期目標・中期計画の内容は大まかなものでよい」、「大学の自主的判断で提出してもらう」と述べていましたが、桜井議員は未定稿資料「国立大学法人 (仮称)の中期目標・中期計画の項目等について(案)」を示しながら答弁と矛盾することを追及しました。各大学には細かい注文をつけ、国会ではそれと逆の説明をするという文科省の二枚舌が、文科省作成の文書によって白日の下にさらされたのです。結局、文科省側は桜井議員の指摘に答えることができず、桜井議員は審議の中断を求めました。

矛盾を小手先で糊塗しようとする文科省
  この事態を受けて文科省は、理事懇談会において同文書を回収し各大学に謝罪文を送付することを対応策として提示しました。答弁との矛盾を糊塗するため文書自体をなかったものにしようとしたのです。しかし、これはこの文書にしたがって中期目標・中期計画案の作成にかかわってきた全大学教官を愚弄するものです。さすがに謝罪文をつけるとのことですが、今までそのために費やされた労力はどうなるのでしょうか。また、今後何を指針に中期目標・中期計画の案を作るのでしょうか。当然、野党側は納得せず、12日になっても委員会が開けないという事態が続いています。

来年4月の法人化は断念すべきである
  文科省が非を認め、国会審議で答弁したように中期目標・計画案は漠としたもので構わないのであれば、その旨周知し各大学に中期目標・計画案の再考のための猶予を与えるのは当然です。実際、具体的目標にこだわるあまり、学内合意が不十分なまま取り入れられようとしている項目もあります。答弁の趣旨に従えばそのような項目は削除や曖昧な文言に変えるべきです。現在、各大学で取りまとめられようとしている案について、そのような再検討が不可欠です。

  労働安全衛生法の適用問題も深刻です。熊大で約8億円の費用がかかると言われていますが、理学部で開かれた説明会でも別枠で予算措置されるという話はありません。熊大の校費予算総額は約23億円ですから、対応ができず使用できなくなる施設が激増します。教育研究の遂行に重大な支障が生じるのは必至です。文科省がこの様な事態を真撃に受け止めるのであれば、少なくとも来年4月の法人化については断念すべきです。

文部科学省はこの文書を「無かったことにする」と提案!

未定稿
  国立大学法人(仮称)の中期目標・中期計画の項目等について(案)  

平成14年12月
文部科学省

中期目標 中期計画
(前文)大学の基本的な目標
(注)大学の基本的な目標や使命を、自らの特性を踏まえ一層の個性化を図る観点から、明確かつ簡潔に記載してください。
I 中期目標の期間
II 大学の教育研究等の質の向上に関する目標
1 教育に関する目標
(1)教育の成果に関する目標
(注)必要に応じ学士課程・大学院課程等に分けて記載して下さい。

(2)教育内容等に関する目標
(注)1.必要に応じ学士課程・大学院課程等に分けて記載してください。
   2.アドミッション・ポリシーに関する基本方針や、 教育課程、教育方法、成績評価等に関する基本方針を記厳してください。

(3)教育の実施体制等に関する目標
(注)教職員の配置、教育環境の整備、教育の質の改善のためのシステム等に関する基本方針を記載してください。
I 大学の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 教育に関する目標を達成するための措置
(1)教育の成果に関する目標を達成するための措置
(注)1.必要に応じ学士課程・大学院課程に分けて記載してください。
   2.各年度の学生収容定員を別紙に記載してください。
   3.記載事項の例:
  • 教養教育の成果に関する具体的目標の設定
  • 卒業後の進路等に関する具体的目標の設定
  • 教育の成果・効果の検証に関する具体的方策 など
(2)教育内容等に関する目標を達成するための措置
(注)必要に応じ学士課程・大学院課程等に分けて記載してください。
(注)記載事項の例:   
  • アドミッション・ポリシーに応じた入学者選抜を実現するための具体的方策
  • 教育理念等に応じた教育課程を編成するための具体的方策
  • 授業形態、学習指導法等に関する具体的方策
  • 適切な成績評価等の実施に関する具体的方策 など
(3)教育の実施体制等に関する目標を達成するための措置
(注)記載事項の例:
  • 適切な教職員の配置等に関する具体的方策
  • 教育に必要な設備、図書館、情報ネットワーク等の活用・整備の具体的方策
  • 教育活動の評価及び評価結果を質の改善につなげるための具体的方策
  • 教材、学習指導法等に関する研究開発及びFDに関する具体的方策
  • 全国共同教育、学内共同教育等に関する具体的方策
  • 学部・研究科等の教育実施体制等に関する特記事項 など

法人法案はもはや廃案しかない。政府は法案を速やかに撤回せよ!

6月12日文科省が理事懇談会にお詫び文書提出。17日に審議再開。



 

赤煉瓦目次へ