No.8
2003.7.24
熊本大学教職員組合
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もうサービス残業の放置は許されない!

予算が無いから残業代は払えないというのは公務員にしか通用しません!

 7月9日国立大学法人法が可決成立したが、それを待っていたかのように、法人制度設計委員会人事労務部会検討状況なる文書が配布されました。理学部では11日に添付ファイルの形で全教官に配布され、意見を15日までに出すように求めています。その他、教育、医、薬で同様な措置が取られていますが、文、法、工では配布されていません。この様に学部間の扱いに違いがあることと、検討期間のあまりの短さに異議を申し立てます。この文書は検討状況という形であり、「なお公式の意見聴取は運営会議よりなされる(医学部で配布時の文書)」とのことですから、正式な意見聴取時には十分な検討期間をおくように求めます。また、文書の内容は就業規則の内容にも関わるものであり、教員の意見だけではなく職員(事務、技術、看護師、行(ニ)、定員外など)の意見も聴取すべきです。組合としても多くの教職員の声に耳を傾けながら積極的に発言していきます。
 この文書に含まれる数々の問題点については別のニュースに譲りますが、今回は法人化後最も重要な労務管理上の問題として浮上するであろうサービス残業の問題のみを扱います。

大学は法人化後も今の異常なサービス残業の実態を放置するのですか?

 日本の企業でサービス残業が広く行われているのは周知のことです。しかしこれは違法です。公務員制度のもとでも違法ですが、その責任は過大な業務を与えた大学当局と、定員・予算を十分措置しない国に分散しています。でも法人化後はすべて大学の責任になります。民間企業もサービス残業をやっているからといって、それで正当化はされません。高い公的使命を持ち、税金によって支えられている大学法人の長は、高い道徳的資質を求められるはずです。あえて聞きます。法人化後も今の異常なサービス残業の実態を放置するのですか。

ある学部事務の方に聞きました。残業は少ない月で40〜50時間、多いとその倍ですね。 でも、事務局はもっと多いのではないでしょうか。手当ては10数時間しか出ませんね。 他にも入試などで土日に出ることも多く、代休をとることになっているのですが、 とても無理ですね。

法人化後の人件費の枠とは

 この人事労務部会検討状況の5ページに次のような箇所があります。 「人件費の枠内に抑えることと15年度末現員の範囲内という両方を見据えた運用をしていかなければならないであろうという困難な状況が予想される」
運営費交付金は人件費と物件費に分けて査定されます。法人設立初年度は現在の実績に合う形で配分されると予想されます。しかし、この交付金は渡しきり交付金であって使途は大学の判断に任されています。では、人件費の枠内とは何なのでしょう。これが運営費交付金の人件費総額のことだとすると、重大な問題が派生します。人件費を今の水準で維持することを大学が決断したということなのです。では、サービス残業の放置とこの決断はどう関わるのでしょうか。

熊本大学でのサービス残業の実態は

 ここでは、事務職員だけを考えてみましょう。この内、管理職を除いた数を仮に270人としておきます。一人平均のサービス残業時間を少なめに見積もって月40時間だとすると(もっと多いと思われるでしょうが仮の議論なので我慢してください)年間で延べ129600時間に上ります。残業手当は時間給の最低25%割り増しで支給されるので、162000時間分の費用が必要になります。さらに、代休の取れなかった休日出勤の勤務の件があります。これも休日給として支給されるべきです。さらに仕事を家に持ち帰る人もいるでしょうから、この時間も考慮されるべきです。ただ、計算の根拠が無いので以下ではサービス残業で未払いになった賃金(事務職員のみ)を16万時間分として話を続けます。(当局の方、大きな誤解があるようでしたら組合までお伝えください。サービス残業の時間について共通の認識を持っておくことは今後の36協定の協議の前提として重要です。)

もう、予算が無いから払えないでは済まされない

 人件費の枠を維持しながら、サービス残業をなくすには仕事量を減らすしかありません。でも、延べ13万時間もの仕事量を減らすことができるのですか。総人件費を維持するとしながら仕事量を減らす明確な展望を示さないのなら、違法なサービス残業を法人化後も維持すると宣言しているようなものです。労働基準監督署の調査が入ったらどう責任をとるのですか。もう一度言います。

予算が無いからという理由は法人化後は通用しません

 仕事量を減らすことには賛成です。でも13万時間分はとても無理です。となれば人件費を増やすしかありません。しかし、それを超過勤務手当のみにあてたら現在の長時間労働を解消できません。ある事務の方は「お金よりもとにかく休ませてほしい。家族とゆっくり過ごす時間を確保してほしい」と言っていました。組合としては新規雇用に取り組むべきだと考えます。16万時間分の賃金があれば、少なめに見積もっても50人の人が雇えます。パートタイマー(これは不安定雇用で待遇も低く問題な制度ですが、社会的にも法的にも認知されている制度です)なら100人以上雇えます。この様な措置は合理化に逆行するという人もいるかもしれませんが、現在の雇用環境では、必要な人員を雇用するのは社会的責任と言えるでしょう。また本来合理化とは、仕事量を減らして人を減らすことであり、仕事量を減らさず人だけ減らしてサービス残業をさせるという意味ではありません。経営者がサービス残業の実態を放置しておいて合理化のみ進めるのであれば、社会的に無責任な行為であり労働基準法違反の犯罪行為と言えます。

仕事量を減らし人を増やして長時間労働を無くせ!

これが組合としての基本的要求です。

あなたも組合に

 サービス残業の放置は使用者の違法行為です。でも職員の皆さん、それを仕方が無いことと思わないでください。確かに、一人の力は無力です。手当が出ないなら残業はしないと帰ってしまったら、他の人にしわ寄せが行くだけです。組合はそんなことを求めてはいません。でも皆が団結すれば力になるのです。労働基準法は、超過勤務の導入について過半数組合、過半数代表者と労使協定を結ぶことを義務付けています。組合としてはこの協定の協議においてサービス残業の全廃に向けた対応を強く求めます。そして、サービス残業が放置されたら協定違反として追求します。しかし、組合員の数が少なければ当局は都合のいい人を過半数代表者として選んでくるでしょう。結果として、使用者に都合のいい協定が結ばれサービス残業も放置されます。
 労働者の勤務条件を改善していくには組合の力は不可欠です。組合の強い企業のほうが組合の弱い企業よりも勤務条件は良いのです。皆さんの要求、願いを組合にお寄せください。そして組合に入ってその実現にともに努力しようではありませんか。

 

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