No.16
2003.11.10
熊本大学教職員組合
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石原都政下で進む大学破壊
―都立4大学の「統合・法人化」で何が起こっているのか―

 すでに週刊誌等でも報じられているように、都立4大学の統合と法人化をめぐって、「大学破壊」ともいうべき深刻な事態が進行しています。それは、東京都に限った特殊事例でなく、各国・公立大学の再編・統合、「法人化」の今後を左右する重大問題としてとらえねばなりません。ここであらためてその内容と問題点を報告します。
 さる8月1日の石原都知事の記者会見において、「都立の新しい大学の構想について」(新構想)が公表されました。それは、これまで2年近い歳月をかけ都立4大学(都立大学・科学技術大学・短期大学・保健科学大学)と都大学管理本部が協議し進めてきた大学改革構想を反故にするものであり、しかも都立の大学関係者に事前の通知・協議もないまま突如として公表されたものです。
 大学管理本部は、これは4大学の統合による改革ではなく、設置者たる都の手による現大学の「廃止」と新大学の「設置」であるとし、これまでの設立準備委員会を一方的に廃止し、新たな検討体制を立ち上げました。その際、しかも、管理本部は、都立大学5学部の学部長らを呼び出し、学部長としてではなく「旧大学の資源」に精通した個人として、検討作業に加わることを求めるとともに、「構想に積極的に参加する」「作業内容は口外しない」などの「就任承諾書」の提出を要求しました。その結果、新大学の具体的な内容の検討・準備は、その大学の教育・研究活動を担うことになるはずのほとんどの教職員を閉めだしたまま「密室」で進められることとなりました。
 こうした密室裏の作業を受けて、9月下旬には新大学・大学院の構成案と教員の仮配置案が示されました。そこでは、これまで6学科11専攻あった人文学部が大幅に縮小され、社会学・心理学・国際文化の3コースとなり、5専攻(日文・中文・英文・独文・仏文)あった文学科が抹消され、それとともに現在130名余りの教員がいる人文学部(新大学では都市教養学部人文学系)の教員定数が半分以下に削減するとしています。また現在の文学系や身体運動科学などの専攻の大学院も廃止し、文学・外国語担当教員と身体運動科学教員全員、短大教員の一部は、教員定数のない基礎教育センターなどに配属するとしています。そして、教員一人ひとりに対して、@この配置案、Aそれを前提にした新大学に関する今後の詳細設計への参加、B内容を口外しないことの3点に関する同意書を強要しようとしています。
 この改革案に対して、学生・院生の中にも大きな不安が広がっています。新大学は2005年4月開学とされているが、在籍している学生や大学院生は、卒業まで、今までのような教育や研究指導が保障されるのか、指導教員が配置換えになり大学院担当からはずれてしまったらどうなるのか、こうした疑問が何ら払拭されていないからです。  都大学管理部のこうした強権的なやり方には、大学当事者からも強い批判と怒りが起こっています。9月22日に都立大学茂木俊彦総長が大学管理本部長にあてた意見書では、現に存在し実績もある大学の廃止を設置者が一方的に決めることは違法であり、また実際に行われていることは、現にある大学の施設と人員をもとに新しい大学をつくるのであるから、現行大学からの「移行」(改革・統合)にほかならない、と進め方や手続きの不当性を強く指摘しています。また都立4大学の問題を考える「都民の会」が結成されるなど、学内外からの批判の声もあがっています。
 「トップダウン」の名のもとに、このような構成員の声や学問の条理を無視した行政による強権的・強圧的な大学改革=大学破壊が許されるならば、それが「モデル」となって、法人化を目前にした全国の国・公立大学、さらには私立大学の「改革」にまで波及することになりかねません。都立4大学が直面している問題は、けっして都立大学だけの問題ではありません。大学人として今後の動きを注視し、抗議の声をあげていく必要があります。

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