No.24
2003.12.5
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@mx7.tiki.ne.jp


法人化後の労使関係Q&Aシリーズ 4
「労働組合と労働協約」

 労働法の下では労働条件は事業主と労働者の対等な立場での契約で決められます。しかし、対等な立場といっても何も規制が無ければ、事業主の一方的な考えで労働条件が決められてしまいます。そこで、労働基準法によって労働条件の最低の基準を定め、違反者には刑事罰を課すことによって事業主を規制します。ですが、これはあくまで最低の基準に過ぎません。労働者が自らの要求に基づいて、事業主と真に対等な立場で労働条件を決めるためにはそれだけでは不十分です。
 そのために認められているのが団結権、団体交渉権、争議権のいわゆる労働三権(憲法28条)です。労働者が団結して労働組合を結成し、自らの要求をまとめて使用者と団体交渉を行い、場合によっては争議を行うことによって、要求の実現を図ります。(これは一般論であって熊本大学教職員組合が直ちに争議を行うべきだと述べているわけではありません。教育・研究・医療という大学の公的役割は法人化後も変わりませんので、争議権の行使にはその点への配慮も不可欠だと考えます。)使用者は交渉に誠実に応じる義務があり、交渉に応じない、あるいは交渉において理由も示さずに拒否するという行為は不当労働行為として認められていません。さらに、組合が過半数を組織している場合には、あるいは組織できていなくても過半数代表者としての交渉に組合が主体的に関与できる場合には、労使協定(本シリーズ3参照)の交渉とリンクさせて議論することにより強い交渉力が得られます。時間外労働の協定を結ばないわけにはいかないので、使用者はその他の要求にも応じざるを得ないのです。
 さて、交渉が合意に達したらその結果を現実の労働条件に反映させなければなりません。そのためには合意事項を文書にまとめ、使用者と組合双方が署名する必要があります。この文書が労働協約です。労働協約には労働契約、就業規則に優先する強い規範的効力が認められています。例えば、組合員の職種換えについて事前に組合への通告と協議を行うことを労働協約として定めれば、就業規則に職種換えを命じることができるという規定があっても、組合との協議なしにそれを行うことは不可能になります。ただし、労働協約は組合と使用者との約束なので、組合員でない者についてはその効力は及びません。
 労働協約を結ぶことは労働組合の最も重要な役割であり、かつ労働組合だけに認められた権利です。今回は労働組合と労働協約について解説します。

Q.労働者の作る団体ならすべて労働組合なのですか。
A.違います。労働組合としての要件は労働組合法第2条に規定されています。その内容は、使用者の立場に立つ者を含まないこと、使用者から利益を受けないこと(組合事務所の供与などは認められています)、福利厚生事業のみを目的とするものではないことなどです。ですから今の職員の親睦団体に労働組合という名称をつけたとしても法律上の労働組合とは認められないし、労働協約を結ぶこともできません。なお、労働組合が法人格を得るためには労働委員会に規約を提出して労働組合法の規定を満たすことを証明する必要があります。

Q.労働者は皆組合に入らないといけないのですか。
A.組合と使用者の合意によりユニオン・ショップ制をとれば、使用者は組合員以外の者を雇用できなくなります。組合を脱退したり、採用されても組合に加入しなければ解雇されます。しかし、この制度には問題点も多く、現時点ではユニオン・ショップ制を目指すつもりはありません。組合の役割を多くの教職員の皆さんに理解してもらうことによって、一人でも多くの方に組合に加入していただきたいと思います。なお、熊本大学教職員組合の紹介と加入手続きについてはすでに加入パンフレットとして皆さんに配布してありますが、必要な方は組合事務所にご連絡ください。

Q.労働協約と労使協定の違いは何ですか。
A.まず交渉当事者の違いがあります。労働協約の当事者は組合ですが労使協定の当事者は労働者全体の代表です。組合が過半数を組織している場合には組合として労働者全体の代表の役割を担うのです。次は目的の違いです。労使協定は例えば労働条件に時間外労働を導入する場合に必要になります。労使協定なしに時間外労働をさせれば使用者は労基法違反として処罰されます(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)。労使協定の目的はその罰を免除するためです。つまり使用者の都合なのです。それに対して労働協約は労働者の要求の実現のために結ぶものです。三つ目の違いは効果の及ぶ範囲です。労使協定は全労働者の代表が結ぶものなので全労働者に効果が及びます。一方、労働協約は組合が当事者なので組合員にしか効果は及びません。なお、75%以上の組織率を持つ組合の結んだ協約は全労働者に効果が及びます。

Q.交渉で合意しても協約書に署名することを拒否したらどうなるのですか。
A.署名しなかったからといって合意が効力を持たないわけではありません。さらに、合意をしておきながら協約書に署名しないということは原則として許されません。使用者は交渉での合意に拘束されるのです。なお、使用者が労働協約としてではなく「確認書」を取り交わすことで済ませようとすることは問題ありません。労使双方が署名すればどのような形式でも法的には労働協約です。

Q.一度結んだ労働協約はいつまで有効ですか。
A.期限の定めをしなかった場合は、当事者一方の90日前の文書による予告で解約されます。期限を定める場合は3年以内にしなければなりません。その間は労使とも協約に拘束されます。そのため協約の有効期間中にその改定を求めて争議行為を行うことはできません。これを平和義務とよんでいます。なお、協約に自動延長条項を盛り込むことも認められています。

Q.一般に労働協約として結ぶ事項にはどのようなものがありますか。
A.大きく分けて、賃金、労働時間、人事などの就業規則に記載されるような労働条件に関する事項と、非組合員の範囲、組合事務所の提供、団体交渉の持ち方、争議の行い方などの組合活動に関する事項があります。前者には就業規則・労働契約に優先するという規範的効力があります。後者は協約当事者である使用者と労働組合の間に生ずる債権債務関係として扱われます。

資料 労働組合法

第2条

 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
1 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
(以下略)
第14条
 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。
第16条
 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

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