No.33
2004.2.9
熊本大学教職員組合
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就業規則の問題点1 定員外職員問題
        ご存知ですか,就業規則(案)の問題点

 法人制度設計の学内説明会で,大迫人事労務部会長は「基本的に法人化後も現行の労働条件をそのまま維持する」と表明しました。公務員の待遇は労働基準法の定める基準よりも良い点が多く,この説明で安心された方も多いと思います。しかし,単に諸規則を引き写すだけでは労働法上問題になる事項も数多くあります。このような点を中心に数回に分けて熊本大学就業規則(案)の問題点を紹介することにします。第1回は定員外職員問題です。
 国は「必要な人員は定員で配置してある」という建前をとっています。そして定員外職員は,臨時的な業務量の増大などに対応するものという認識があります。ですから定員外職員のまま何年も継続的に雇用されるなどという状態はそもそも想定されていません。一方民間では期間を定めた雇用が繰り返され実態として期間の定めのない雇用になる例が数多くあります。均等待遇の原則は判例等で確立しており,正職員の8割に満たない賃金を公序良俗に反し違法とされています。大学は法人化するのですから,公務員の建前に基づく制度作りではなく,大学の勤務実態と労働法などの規定に基づいた制度作りを行わなくてはなりません。現行制度そのままでは違法状態すら出現しかねません。
 組合は従来から定員外職員の定員化を求めてきました。法人化により大学は国家公務員の定員の枠から外れることになるので,定員化のための最大の障害がなくなることになります。しかし,運営費交付金算定ルール問題(赤煉瓦30 号)に見られるよう大学の財政的基盤は脆弱であり,使用者が定員化に踏み切れない事情も理解できます。多くの企業においても,期間を定めた契約による労働者,短時間勤務の労働者など通常の労働者と異なる雇用形態の労働者がいます。大学がそのような雇用をするのであれば,組合は単に正規職員とすることを求めるだけではなく,労働法適用によって生まれる違法状態を解消させ,有期雇用労働者,短時間労働者の権利を守る運動にも取り組みます。

 さて,臨時職員就業規則(案)およびその委任規則には組合として見過ごせない問題が含まれています。
(1)フルタイムの臨時職員(この言葉自体実態にそぐわず変更の必要があると考えます)の雇用の仕方について
 「任期は一日とし,継続して勤務させる必要がある場合には,雇用を日々更新することにより行うものとする。」(臨時職員雇用規則第4条(1))としています。そして日々雇用職員と呼んでいます。労働法の下では「日々雇い入れる者」といえばいわゆる日雇い労働者です。2ヶ月を越えない場合には解雇も比較的自由に行えるという典型的な不安定雇用です。労働者代表との協議の中では「日雇い労働者との意味ではなく,日給月給制を採用するという意味だ」との説明がありましたが,何故このような欺瞞的な契約形式にこだわるのか理解に苦しみます。雇用期間を1年(労基法の改正によって実際には3年まで認められています)とし給与については日給月給制を採用するとすれば何の問題もないはずです。
(2)フルタイム有期雇用職員の任用中断日について
 臨時職員雇用規則第4条(2)には「事業年度を越えて再採用する場合は,1日以上の日をあけて採用するものとする。」とあります。現在,国がこの扱いを定めているのは事実です。しかし,これは必要な人員は定員によって保証してあり,臨時的に業務量が多い場合のみ定員外職員を雇用するという国の建前に基づく措置です。しかし,今の大学の運営に定員外職員の存在は不可欠です。1日の空白を置いたとしても大学には何のメリットもありません。労働者側には,中断日にするべき仕事があっても行えないなど様々な不利益があります。これを残す意味はありません。
(3)永年勤続表彰について
 永年勤続者表彰規則では勤続20年の表彰の対象を常勤職員に限定しています。定員外職員が対象になるのは退職時の表彰のみです。例え期間を定めた雇用であっても,それを繰り返して20年以上も勤務している職員がいるのですから,その人を表彰の対象者から外す意味が分かりません。

 以上の三点は,大学が認めればすぐにでも実現できることです。任用中断日の1日分の賃金が必要になる,永年勤続表彰の記念品代が増えるということぐらいしか財政的影響もありません。組合の最低限の要求として実現を求めます。

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