No.34
2004.2.9
熊本大学教職員組合
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就業規則の問題点2  勤務時間・休日振替・代休

 就業規則についての労使協議報告3で,勤務時間が8時30分から17時30分になることを紹介しました。これについて「(組合は反対の見解を出していたが)ほぼ確定したかのように大見出しで報じられています。」との意見を頂きました。もちろん組合はこの勤務時間を受け入れたわけではありません。ただし,この協議報告は組合が発行していますが労働者代表(過半数代表者には非組合員の方もいます)による協議の報告なので組合のニュースとはしていません(赤煉瓦の名称は使っていません)。組合の見解を出すためのものでもありません。この事情をご理解ください。

勤務時間の延長問題
 現在の勤務時間は,始業8時30分,終業17時,休憩時間12時15分〜45分となっています。他に休憩時間の前後に15分ずつの休息時間がありますがこれは労働時間の一部とされています。しかしこの勤務時間には休憩時間が30分しかなく労基法の「6時間を越える場合には最低45分」というに規定に反します。始業終業時間を現行のまま維持するには所定労働時間を8時間より減らすしかありません。組合は現行の所定労働時間は実質7時間30分でありそれを維持するよう要求しています。しかし,所定労働時間を8時間とする大学の姿勢はまったく変わっていません。
 さて,ここで問題になるのは労働条件の不利益変更は許されるかという問題です。就業規則による労働条件の不利益変更について,独立行政法人労働政策研究・研修機構のホームページでは次のように解説しています。
[労働条件の変更]就業規則による労働条件の不利益変更
(1) 就業規則の不利益な変更によって既存の労働条件を引き下げることは原則として許されないが、変更に「合理性」がある場合には同意しない労働者にも適用される、という考え方が判例法理としてほぼ定着している。
(2) 「合理性」があるかどうかを判断するにあたっては、使用者が就業規則を変更することの必要性と、その変更内容によって労働者が被る不利益の内容・程度とが比較される。その場合、変更された内容の社会的相当性、代償措置の有無や程度、多数派組合との交渉経緯や合意の有無なども総合的に考慮される。
(3) 制度の変更による不利益が一部の労働者だけに及ぶ場合、制度の変更自体には合理性が認められても、不利益を被る労働者への適用には合理性が認められない場合がある。
 現在も8時間労働なのだから不利益変更ではないとの強弁もありえますが,その場合でも休息時間をなくしたことは不利益変更です。休息時間は労基法に規定されていませんが,置いてはならないという趣旨ではありません。休息時間は労基法にはないので廃止するというのは理由になりません。

代休と休日振替
 休日振替について「原則として1週間以内に振り替える(勤務時間等規則では緩和されています)」という規定を優れた点として赤煉瓦で紹介しましたが,これについても代休がとりづらくなり改悪ではないかとの意見を頂きました。このような思いは多くの教職員の方に共通のものと思い,少し解説いたします。
 まず,代休と休日振替は法的にまったく異なるものです。具体的には
休日振替: 休日を他の日に変更すること。働いた日は休日労働の扱いは受けず割増賃金は必要ない。振替日は事前に使用者が指定する。
代  休: 休日労働を行った際に,その賃金を支給する代わりに休みを与えること。ただし,割増分の支給は必要。
です。現在の4週前から8週後までの間に代休を取るというのは,就業規則に言う休日振替ではありません。また,振替日を1週間以上先にとった場合,休日振替の週の労働日が6日になり週労働時間が法定の40時間を越えます。ですから40時間を越える分について25%の割増賃金が必要になります。このような労基法の規定を理解された規則なので優れた点と述べたのです。
 しかし,代休についての規定が就業規則にまったくないのも問題です。休日振替の事由は限定されているので,急に休日労働が必要になった場合には振替では対応できません。あくまで休日労働に対する割増分を含めた賃金を支給すべきですが,労働者が代休を選択することもありえるでしょう。代休取得の手続き,代休をとる期間の定めが必要です。また,期間内に代休が取れなかった場合には賃金として支払わなければならないのは当然のことです。代休が取れなかったので結局ただ働きというのは違法です。
 なお,年休も完全消化できない状況で予算不足を理由に代休の取得を求めるのは許されないと考えます。

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