2004.7.21 |
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7月13日、広島大学教職員組合は広島中央労働基準監督署に対して、賃金不払いの時間外労働(サービス残業)について告発を行いました。告発に際して、サービス残業の具体的事例を提出した他、「出勤簿に押印させるだけで大学側が実労働時間の把握をしない」との指摘を行ったそうです。熊本大学を含め多くの大学でまったく同じ現状であり、労働基準監督署への告発は全国的に広がると予想されます。組合としてこの問題にどう取り組むのかが緊急の課題になりつつあります。 サービス残業の全廃は使用者の責任 さて、このような違法状態はどうして生まれたのでしょうか。公務員制度においては、人件費は予算の中で決められます。時間外勤務手当についても、国から予算として配分されているので、いくら残業をやったとしても予算がなくなれば時間外勤務手当は支給できませんでした。無論、予算がないのに残業を命じることは違法ですが、目の前に仕事があれば勤務時間を超えて働かざるを得ません。結果的にサービス残業が蔓延していました。 しかし、法人化により労働基準法が完全適用されたので、サービス残業を放置することは労基法違反の犯罪行為(罰則は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)となりました。人件費における時間外勤務手当の予算枠も制度的な意味が変わったので、時間外勤務手当を支給できない理由にはなりません。大学には、職員の働いた時間についてきちんと賃金を支払う義務があるのです。大学は業務の削減とともに、各職場の職員の意識改革に取り組み、サービス残業を発生させないための努力を行わなければなりません。 ですが、大学側の努力の姿勢は一向に見えてきません。使用者の責任である「始業終業時刻の正確な把握」は行われていませんし、時間外労働削減の方策についても「様々な会議の折に残業を減らすように指示している」以上の説明は受けていません。振替休日の制度も振替日の事前特定が行われていない例があり、サービス残業化しています。このままの状況が続けば、熊本大学教職員組合としても労基署への告発を考えざるを得ません。大学および各職場の責任者は、いつまでも公務員時代の慣習に染まっているのではなく、労基法や厚生労働省の指導を理解しながら労働時間の管理の仕方を抜本的に変えていく責任があります。 まず必要なのは「始業終業時刻の正確な把握」です 長時間労働を無くすにはまずどこでどの程度の時間外労働が行われているかを正確に把握する必要があります。それに基づいて、極端に時間外労働の多い職場を調査し、その原因を調べ、業務の削減、人員の配置などの対策をたてます。始業終業時刻を正確に把握しなければ、大学全体で人員の適正配置を図ることもできません。教員以外の職員についてタイムカードの導入など簡単に始業終業時刻を管理できる手段を早急に導入すべきです。 サービス残業の放置は業務量削減の最大の障害です サービス残業などなくならないと思っている職員の方も、現在の業務量の増大は何とかして欲しいと思っているはずです。でも業務量が減らないのはサービス残業が横行しているからなのです。新しい業務の導入に際して、サービス残業が行われていなければそれはすぐにコスト(人件費)としてはねかえってきます。新しい業務の導入にはそれに見合う業務の削減が必要になるわけです。しかし、公務員時代のように時間外手当は定額だというのであればそのようなコスト意識は働きません。私立大学のほうが事務職員の数が少ないとよく言われますが、それでも大学運営は支障なく行われています。 国立大学がかくも多くの業務量を抱えてしまった背景には、サービス残業を当然視してきた大学風土があったのではないでしょうか。 組合の役割を理解していただくとともに多くの方の組合加入を訴えます 組合の役割は一人一人の職員の声を直接使用者に届けることです。職制を利用して声をあげようとしても、中間管理職の人が労基法の制度を熟知していないのですから、大変だろうが我慢してくれとなりかねません。「こんな仕事は無駄ではないか」「前の日10時まで仕事したら翌日は10時に出勤すればよいようにして欲しい」「実労働分の超過勤務手当が支給されない」「休日労働したのに代休が取れない、何の手当も出ない」どんなことでも構いません。組合に連絡してください。それらを一つずつ解決していくことが、より良い職場作りにつながっていくのです。皆さんが組合に加入し、ともにその運動に参加するよう訴えます。
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