No.14
2004.10.15
熊本大学教職員組合
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企画会議は組合の同意のないまま過半数代表者の選出要項を決定を強行
組合はこの要項に基づく過半数代表者選挙の実施に断固反対する

 今年も過半数代表者を選出する時期が近づいてきました。10月4日、使用者側からそのための選出要項案が組合に示されました。しかし、その案はあまりに問題点が多く、緊急に労使協議を申し入れるとともに8項目に渡って問題点の指摘を行いました。12日の労使協議において組合は、使用者案は労働者側を拘束するものではないこと、組合はこの案に同意できないことを明確に伝えました。
 しかし、14日の企画会議では組合の同意を得ないまま若干の修正を行っただけで要項を決定しました。組合は使用者が一方的に過半数代表者の選出方法を決めたことに強く抗議するとともに、この要項のもとでの選挙実施に断固反対します。さらに組合との協議を行わないまま要項の作成を主導した大迫人事労務担当理事の責任を追及します。学長は今回の選出要項決定過程での組合との協議が不十分であったことを認め、自らの責任で組合との協議に応じ円滑な過半数代表者選出を行うための努力をを求めます。

10月15日 組合は過半数代表者選出方法について団体交渉を申し入れました。
論点1 使用者側に一方的に過半数代表者の選出方法を決める権限はない
 過数代表者の選出方法について法は、原則的な規定しかおいていません。ですから具体的には大学内で決めることになります。実際、各大学の過半数代表者選出方法は多種多様です。その際、労基署が指導することは「労使がよく話し合って決める」ことです。さらに使用者側の提案を無視して、労働者側が一方的に署名などの方法で過半数代表者の選出を進めたとしても、過半数の信任が得られたことが明確なら過半数代表者として認められます。労働者側は使用者の決めたことに拘束されないのです。
 そもそもの使用者側の対応の誤りは、このような選出要項の性格を理解せず、他の学内規則と同様に検討を企画委員会に諮問したことにあります。実施の検討は企画委員会の教員人事専門委員会で行われました。委員会には使用者案と組合の見解(8月5日に提出したもの)が出されましたが、組合の出席を求めることもせず委員会案として決定してしまいました。その際、使用者案に対する組合の意見を求めることもまったくありませんでした。
 組合との議論をまったく欠いたまま、要項案は若干の変更のもとに14日の企画会議を経て決定されました。組合はこのような使用者側の態度について強く抗議するとともにこの要項の下で選挙を実施しないように求めます。

論点2 過半数代表者という「職」があるのではない
 過半数代表者は権限と切り離されて存在する「職」ではありません。法で定められた事項(時間外休日労働の協定締結など)についてその権限を明示した上で労働者の代表を選ぶのです。この考えを「個別受任」といいます。権限ごとに違う人が代表者になっても構いません。しかし、法定事項が増えるにつれ、 「個別受任」の考えのみでは対応が困難になってきました。そこで多くの権限を一括して一人の人に受任する、一定の期間を定めて一人の人(あるいは複数の人 からなる委員会)に権限を委ねるなどの方策がとられています。しかし、原則はあくまで「個別受任」です。
 使用者案では任期を2年としていますが、これでは一人の人が2回「時間外休日労働の労使協定」を結ぶことになります。労働者の中には1回目の労使 協定での対応を見てもうあの人には任せられないという人も出てくるかもしれません。これでは2回目の協議の際に過半数を代表しているか否か判断できません。また、権限の中に「その他」の項目を含めるのも問題です。選挙の際に使用者側が想定できない事項について労働者が権限を委任したとは考えられません。 (12日の労使協議を経て任期2年は1年間に改善されました)

論点3 臨時職員などへの配慮をすべきである。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第七条には「事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするとき は、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。」と定められています。組合は「臨時職員就業規則」を作成している以上、臨時職員の過半数代表者を選ぶべきだと主張していますが、使用者側は努力規定に過ぎないとして無視しています。         これについて大迫理事は「臨時職員も労働者としては同等であり、臨時職員就業規則への意見は各事業場の代表者から述べてもらえば十分である」と主張しました。しかし、同等といっても労働条件はまったく違います。また法も全体の過半数代表者からの意見聴取は義務として、短時間労働者の過半数代表者からの意見聴取は努力規定としておいているのですから、理事の主張はまったく意味をなしません。努力規定なのだから従わなくても構わないという不見識な態度です。
 他にも非常勤講師の問題があります。非常勤講師全員を有権者として加えることに現実性があるかどうかの議論はありますが、一方で非常勤講師の賃金の安さはマスコミなどでも取り上げられており、関西圏では非常勤講師の組合と大学との団体交渉も行われています。一律に有権者から外すべきではないと考えます。

労使協議での組合の提案を使用者側は拒否
 このように問題点の多い要項案ですが、年内に過半数代表者の選出が必要との判断に基づき、組合はこの要項案をこの選挙限りの暫定要項とし、今後の検討を選出された過半数代表者と労使を含めた協議の中で行うことを求めました。さらに暫定要項としても最低限修正されるべき点を指摘しました。しかし、使用者側は暫定要項としての位置づけを拒否し若干の修正を行っただけで、企画会議での決定を強行しました。最終的に企画会議にかけられた案について事前に組合の意見を求めることはありませんでした。
 そもそも過半数代表者の選出方法については労使の合意の下に決めることが基本です。しかし、使用者側は要項は使用者が決めるという態度に終始しました。これは過半数代表者の選出要項を定めることと、他の学内規則の作成手続きの本質的な違いを理解できなかったためです。再度述べます。

使用者側に一方的に選出方法を決める権限はありません。使用者側が決めたことに労働者側が従わなければならないということもありません。組合はこの要項のもとでの過半数代表者選挙の実施に断固反対します。

2004年10月14日
企画会議議長
撝元 達郎 殿

熊本大学教職員組合執行委員長
三澤 純


 法人化から半年が経過いたしましたが、貴職におかれましては熊本大学の発展のために日夜ご尽力されていることと存じます。
 さて、本日の企画会議に「国立大学法人熊本大学における労働者の過半数代表者選出等に関する要項(案)」がかけられると伺っています。この案は10月4日に組合に示されましたが、内容上の問題点があまりに多く、組合として到底受け入れられるものではありません。10月12日の労使協議においても、要項案の問題点を具体的に指摘した上、現状では同意できないことを明確に伝えました。
 そもそも過半数代表者の選出方法については労使がよく話し合って決めるのが基本です。しかし、要項案の作成過程に組合は一切参加していません。8月に提出した組合の意見も殆ど取り入れられていません。このような状況で選出方法の決定を強行することは労基法の趣旨に反する行為であり、真理の探究を目的とする学問の府として許されないことと考えます。
 本日の企画会議においては、拙速に要項案を決定するのではなく、組合との協議の下に新たな検討を行うとの判断をお願いします。


追記 組合は12日の労使協議において、要項案を一部修正し暫定要項とした上、16年度の選挙についてのみ適用すること、それ以降の選挙の方法については選出された過半数代表者も含めて労使で協議することを提案しています。

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