No.16
2004.10.27
熊本大学教職員組合
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外国人教師の退職後のポストへの任期制導入問題についての交渉報告

日時:2004年9月28日16:00〜18:05
場所:熊本大学事務局大会議室
出席者:(使用者側)大迫人事・労務担当理事、長木事務局長、高村総務部長、前田人事課長、大塚同副課長、坂田同人事第一係長、中村職員第一係長、菊池職員第一係
(組合)三澤執行委員長、井上副委員長、清水書記長、鈴木書記次長、伊藤書記局員, 斎藤書記局員、万羽書記局員、野田書記


交渉項目1 2004年2月26日評議会決定「現在の外国人教師等の法人化後における取扱いについて」の見直しについて

<組合>外国人教師の退職後のポストへの任期制導入についての組合の見解は、『赤煉瓦』で述べている。2003年度学長交渉の際、当局は任期制導入にあたって文科省へ問い合わせた者、回答した文科省の役人の名前、回答の内容を文書で回答すると約束した。2004年7月1日の人事課からの回答文書は、「外国人教師退職後のポストは『大学教員任期制法』の3条件に該当しないと判断したため、労基法第14条・「雇用規則」第7条適用の任期制とした」としているが、3条件に該当しないというのは、一体いつ・どこで・誰が判断したのか。
<使用者側>昨年12月の評議会決定のときに判断したと聞いている。
<組合>それはまったくの嘘だ。12月25日の評議会では、外国人教師のポストに労基法14条を適用するということは説明されていない。『赤煉瓦』№6を見て欲しい。12月25日の評議会に出席していた評議員でさえ労基法14条適用とは知らなかった。1月28日のA学部の教授会の際、人事課に問い合わせて初めて労基法14条適用ということが判明した。
<使用者側>私は12月の評議会を欠席したが、総務部長が説明したと思う。
<使用者側>11月20日の運営会議で考え方を示している。外国人教師のポストは、「大学教員任期制法」が該当しないので、労基法に該当すると説明してきている。労基法の世界になると説明している。
<組合>11月20日の運営会議で説明したということか。労基法14条に基づく有期雇用であると説明し判断したということか。1月28日まで、評議会に出席していたA学部長とA学部の評議員でさえ、まったく知らなかった。A学部の評議員が聞き漏らしたというのか。人事を進める必要がある部局の学部長・評議員が聞き漏らすことはあり得ない。A学部長は1月28日の教授会の際、人事課に問い合わせたA学部の事務長から労基法14条適用と説明があり、その席で初めて知ったといっている。
<使用者側>労基法14条に基づく有期雇用であると説明している。
<組合>12月25日の評議会で労基法14条適用という説明はされていないと他の複数の評議員も証言している。労基法14条に基づく任期制と説明があったのは2月26日の評議会でしょ。
<使用者側>……。
<組合>A学部の評議員でさえ知らなかったのは紛れもない事実。総務部長が説明しなかったか、説明が不十分であったかだ。とすれば、職務を果たしていなかったということだ。
<組合>評議会の資料にも労基法14条を適用することは記されていない。評議会の議事録はどうなっているのか。
<使用者側>記録はありません。
<組合>これほど重要な案件だ、A学部長や評議員に理解してもらうよう、きちんと説明するのが職務のはずだ。
<使用者側>記録はありませんが、私としては説明したと思っている。
<組合>2月26日の評議会は、12月25日の評議会決定の見直しを行なっているが、「大学教員任期制法」の3条件に該当しないから、「任期制法」の任期制ではなく労基法14条を適用するという説明はされていない。きちんとした記録が残っている。『赤煉瓦』№6にも引用したが、これはA学部で出された評議会の報告文書です。「『任期制法』の3条件には該当しないから、労基法14条を適用する」といった説明はない。前人事課長は「『任期制法』の任期制は特定のポストを対象にすることはできない」と言ってきた。3月5日の就業規則説明会の場でも公言している。今回の外国人教師の退職後のポストについては、「任期制法」の3条件に該当しないと判断したのではなく、「『任期制法』の任期制は教育研究組織を単位に導入する」という誤った解釈を繰り返し、しかもそれは文科省・厚労省に確認したものと回答している。その結果、交渉の場で回答不能に陥ったでしょ。
<組合>3月末の交渉の場で、前人事課長が文科省に聞いたと回答していたが、そうした「任期制法」の解釈は間違いである。文科省の誰から聞いたのか教えてくださいといったら、前人事課長はわかったと言って、文書で回答すると答えたんですよ。
<組合>前人事課長は「任期制法」の3条件に該当するかどうかは問題にせず、「任期制法」の任期制は教育研究組織を単位に適用するものと答えている。誤解したまま転勤した。ミス解釈していたのは事実だ。誤りを認めたらどうか。
<使用者側>……。
<組合>なぜ「任期制法」の3条件に該当しないといえるのか。
<使用者側>3条件とは、①多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職、②自ら研究目標を定めて行う助手、③プロジェクトの職。②は該当しない。③でもない。①が問題。従来の外国人教師の役割と同じような役割を考えると、①も該当しない。
<組合>現場では生きた外国語を教えて欲しいという要求だ。言語は日々変化する。一人がずーっと長くいるよりも、生きた外国語を教育してもらえるよう、多様な人材を求めるポストとしたいとすれば、適用できるではないか。
<使用者側>……。
<組合>11月20日の運営会議で外国人教師の退職後のポストが「任期制法」の3条件に該当しないと口頭で説明したというが、判断は誰がしたのか。
<使用者側>学長の許可を得ている。学長預かりポストである。
<組合>としても、どのような人材を採るかはA学部の判断。当該部局・専門家集団に3条件の①に該当するかどうかを聞くのは当然。専門家集団の意見を聞くのが筋ではないか。なぜ部局に①に該当するかどうか意見を聞かなかったのか。
<使用者側>……。
<組合>3条件に該当しないと判断したのは誰か。
<使用者側>全学的に管理するポストなので最終的な判断は学長室だ。
<組合>昨年度の段階で学長室に判断する権限はあるのか。決めるのは評議会のはずだ。
<組合>評議会の場で、「任期制法」の3条件に該当しないという説明は一切なかった。2月26日の見直しのときも一切説明がなかった。先に言ったように『赤煉瓦』№6に評議会の審議の中身を載せている。これが間違いというのであれば書いた本人をここに呼んで欲しい。
<使用者側>私が説明したといっても、その人が理解していないなら……。
<使用者側>関係条文とかを資料として説明をしたような気がする。
<組合>「評議会の資料にもない、記憶にない、言った気がする」などという、そんな説明は通用しない。3月5日の就業規則説明会でも、前人事課長は総務部長が言っていることとは違う説明をしている。明らかに審議に瑕疵(かし)があったということでしょ。
<組合>2月26日の評議会で労基法14条適用と決めたのは事実ですよ。しかし、「任期制法」の3条件に合わないから労基法14条を適用すると説明したというのは事実ではない。
<使用者側>……。
<組合>3条件に合うか合わないか専門家集団でないところが判断するから間違うんだ。だから部局が判断するよう「任期制法」は規定しているんですよ。
<組合>部局がきちんと判断すれば、「任期制法」に基づいて任期制を導入できるんですよ。
<使用者側>できると思いますよ。
<組合>今、できるといいましたね。
<使用者側>条件に合えばですよ。
<組合>外国人教師のポストを指定して「任期制法」の任期制を導入することは可能ですね。
<使用者側>一般論としては可能だろうが,「任期制法」は適用できないと判断した。
<使用者側>外国人教師の現在の仕組みを残すために労基法14条でやろうと全学的に考えた。
<使用者側>多様な人材とはどういう人のことを言うのですか。
<組合>いろいろな人に来てもらうということだ。ネイティブスピーカーで、生きた外国語を教育できる人に来て欲しい。短期間でまた新しい人に来てもらう。
<使用者側>それを多様というんですか。
<組合>これが多様でなければ、どういうことを言うんですか。
<使用者側>多様な人材が求められる教育研究ポストという意味でしょ。
<使用者側>ポストを指定して、そこにいろんな分野の人に来てもらう。外国語の人が来たり、数学とか国語の人が来たりということではないんですか。
<組合>それは違う。ポストを指定して多様といった場合は、専門性に長けた人を任期を付けてつれてくるということだ。「多様性」という意味をもっと勉強する必要がある。
<使用者側>今まで外国人は1年任期だった。
<組合>そういう話をしているのではない。
<使用者側>評議会では労基法14条でいくと決めた。
<組合>労基法14条ですることは決めたが、なぜ「任期制法」が適用できないかということを十分評議会で審議したのか、していないでしょ。
<組合>3条件に合わないということを評議会で説明していない。
<組合>労基法14条か「任期制法」かは質的にぜんぜん違う。大学によっては就業規則に大学教員に任期をつける場合は「任期制法」によると規定している。労基法14条適用か「任期制法」適用かは重要な問題だ。
<組合>なぜ3条件に該当しないと判断したのか。
<使用者側>多様な人材、流動性が求められるとあるので、現在の外国人教師にはそぐわないのではないかと判断した。外国語の状況に詳しい人、ふさわしい人を呼んだほうがいいだろうと判断した。
<組合>まさに多様な人材ということではないか。今日、「任期制法」で十分やれると認識したでしょ。
<組合>人事・労務担当理事も「任期制法」と労基法14条のどちらを適用するかは当該部局で決める、部局の判断と答えている。
<組合>学長預かり、全学的管理されるとはいえ運用は部局に任されている。なぜ部局の意向を踏まえないのか。
<使用者側>全学のポストは全学的に判断する。全学的だから評議会で決定する。
<組合>最終的に評議会で決めるとはいえ、部局の意向を踏まえておけばこのような事態にはならなかった。
<組合>外国人教師の退職後のポストを指定して「任期制法」の任期制は使えるか。
<使用者側>出来るはずだ。あくまでも一般論だが。
<使用者側>外国人教師のポストは、研究組織に、講座に配置しているのか。ポストそのものが講座に入り込んだものなのか。そこを疑問に思っている。
<使用者側>記録もない、記憶もない、でも言ったと思う。審議のやり方には問題はない。説明不足は認める。
<使用者側>2月26日の評議会では、本来あるべき検討がなかった。評議会で決めたのだから、評議会の責任だ。

交渉項目2  再任審査の規則について
<組合>再任審査の規則・基準はどこの機関で決定するんですか。
<使用者側>2月26日にも言っているが、再任審査の規則は学部における運用なので学部で決定してよい。
<使用者側>再任規則は全学的には就業規則の関係規則として作らないといけない。
<使用者側>審査規則は学内規則で作るつもりだ。
<組合>いつまでに、どこで作るのか。
<使用者側>人事課で作る、これから作る予定。過半数代表者の意見を聞いて作る。今は過半数代表者がいないのですぐには作れない。再任審査の基準は部局で作る。学部で再任可となった後、学長の判断が要る。
<組合>再任審査の規則も、基準もない。10月1日に外国人教師が雇用契約を結ぶのには間に合わない。この事態をどのように考えるのか。
<使用者側>雇用にあたって問題はない。再任手続きがないと採用できないということはない。
<組合>再任審査のあり方を示した上で、労働契約を結ぶ方がトラブルが無い。
<組合>再任審査の基準を含め、詳しく説明して合意を得ないといけない。
<組合>もし、雇用契約の際に再任審査のあり方は聞いていなかった、合意していなかったと言われたらどうなるか、知っていますか。
<使用者側>そんな先のことは考えられない。仮定のことは答えられない。
<組合>雇用契約を結ぶ際に、再任審査基準を提示していない場合、よほどの不祥事がない限りは2回再任されることになる。こういうことを知っていますか。
<使用者側>それについてはコメントできません。
<組合>何を無責任なことを言っているんだ。トラブルがないよう、リスクを減らすように進めるのが人事課の仕事のはずだ。ビラに書きますよ。
<使用者側>再任規則がない、審査基準は学部で検討する。雇用通知の中には再任用については本人に通知するとし、規則の整備が遅れているので理解を求める。
<組合>どういう再任審査をするのかは、重要な労働条件の一つですよ。
<組合>速やかにやるというが、いつまで再任審査の規則・基準を作るのか。今度の外国人教師の任期は2年半。次の移動先を考えると再任審査の結果は任期終了の1年前ぐらいまでに通知しないといけない。時間はないんですよ。
<使用者側>……。
<組合>過半数代表者がいないから作れないと言っているが。それは責任転嫁ではないか。
<使用者側>11月には過半数代表者を決める。
<組合>確かに就業規則を作るには過半数代表者の意見がいる。しかし、4月1日までは4事業場に過半数代表者がいたのだから、作ろうと思えば作れたはずだ。
<使用者側>落ちているものがたくさんある。
<使用者側>再任審査を提示しないで雇用契約を結ぶ。こういう事態を招いた責任は認識している。
<組合>10月1日に採用される外国人教師の職務内容はどうなるのか。
<使用者側>2月26日の評議会で決定している。
<組合>これまでの外国人教師と違っていますね。
<使用者側>どこが違うのか。
<組合>従来の外国人教師は、授業の他に、入試業務、卒論・修論の指導、国際交流など多様な職務を担っている。今後、採用される外国人教師の職務は外国語科目・専門教育科目の授業のみとなっている。
<使用者側>授業以外のことをさせられないというより、してもかまわないということではないか。当該部局の運用に任せている。評議会がそのように決定した。評議会が悪い。
<使用者側>10月1日以降は、外国人教師を本来の姿に戻すということで、授業のみが職務。他は義務付けしない。今までいる人とは違う。
<組合>ということは、再任審査の中身は授業がきちんと行われているかどうかだけか。
<使用者側>再任審査は授業の中身が対象となる。枠組みに基づいて部局で作っているはずだ。
<組合>A学部は人事課と相談しながら作っていると聞いている。
<使用者側>正式に協議していない。A学部からコピーはもらっている。
<組合>職務と再任審査の中身が矛盾してるでしょう。
<使用者側>中身については詳細に検討していないので……。
<組合>いつ受け取ったのか。
<使用者側>先週、1週間くらい前に受け取った。
<組合>A学部の執行部から中身について意見を求められたか。
<使用者側>特に求められていない。
<組合>先に確認した職務内容とはかけ離れた再任審査の基準が作られようとしている。
<使用者側>評議会決定の内容に従ってやるように部局に求める。
<組合>評議会決定は、審議においても、内容においても明らかに問題がある。見直したらどうか。
<使用者側>2月26日の評議会で審議したと思う。
<組合>A学部の外国人教師が配属される講座が困ると思わないか。
<使用者側>評議会で決めたので「授業以外はするな」ということでいくしかない。
<使用者側>規則を早急に作り、過半数代表者を選出するようにしたい。
<組合>再任審査の基準をめぐって、A学部長へも交渉を申し入れた。お渡しした資料の中にA学部長からの回答書を入れている。これについてどう考えるか。重要な労働条件の問題なのに、教授会で審議中ということで交渉を拒否してきた。組合は大学本部と交渉するが、必要に応じて部局とも交渉していく。これでよいか。
<使用者側>部局と交渉することはおかしいことではない。
<組合>以前、発生研で任期制が導入されたとき、本部から医学部と直接交渉をやってくれと言われ、そのようにした経緯がある。
<使用者側>再任基準については部局に任せているので部局と交渉することはかまわない。
<組合>審議中と拒否するよりも、組合と交渉して意思疎通を図ったほうがスムーズに進めていけるのではないか。
<使用者側>これを見ただけではA学部長の真意がよくわからない。
<組合>混乱を持ち込むのが目的ではない。教授会での決定の前に交渉を済ました方がスムーズに行く。
<使用者側>それはそうだ。誠実義務があると伝える。
<組合>交渉応諾義務でしょ。
<組合>ところで、学長預かりの全学的管理ポストは組織に属していないのか。
<使用者側>外国人教師のポストは研究組織・講座の部分に入っているのか、外かなと思っている。ある目的を持って外国語の授業を展開している。講座のメンバーではないのではないかと思っている。外国人教師7名は教員ポスト外のポストと思っている。
<組合>任期制については労働協約事項と考える。任期制導入の手続き、再任審査基準の提示の仕方などについて、協約を結びたいと思っている。
<使用者側>合意できれば、結ぶ。

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