2004.11.18 |
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不利益変更(退職時特別昇給の廃止)は許されない |
11月9日、組合に対し人事課長から就業規則の改正案についての説明がありました。その案には重大な問題が含まれています。 退職時特別昇給(20年以上勤務の場合)の制度を廃止する 5月1日の人事院規則の改正により公務員についてこの制度が廃止されました。これに伴い、熊本大学でも廃止するという説明です。確かに、公務員の労働条件は法律等で決定されるので、廃止が決まれば退職時の特別昇給は無くなります。しかし、私たちは公務員ではなく、労働条件は労働契約と就業規則によって決定されています。人事院規則が改正されれば自動的に労働条件が変わるという世界から外れているのです。 就業規則の不利益変更を理由に労働条件を切り下げることは原則としてできません 就業規則は事業主が作成するものです。過半数代表者の意見聴取義務はありますが、合意が求められているわけではありません。しかし、就業規則を変更したからといって自動的に労働条件が変わるわけではないのです。それは就業規則が事業場における労働条件の最低の基準を定めたものだからです。就業規則より劣る内容の労働契約は否定されますが、上回る内容の労働契約は否定されません。 就業規則の変更で退職時特別昇給の制度を廃止したとしても、労働者は労働契約に基づいて退職時特別昇給を要求する権利があります。 就業規則の不利益変更が認められる場合とは しかし、就業規則の不利益変更が「合理性」を有する場合には、職員の労働契約内容もそれに拘束されます。この「合理性」の判断について最高裁は「合理性の有無は、就業規則の変更によって労働者が被る、不利益の程度、事業主側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般状況等を総合判断して判断すべきである」(第四銀行事件)としています。 人事院規則の変更だけでは「合理性」は認められない さて、人事院規則の変更は「合理性」の根拠になるでしょうか。確かに人事院は民間の労働条件の調査結果に基づいて勧告等を出すのですから「同種事項に関する我が国社会における一般状況」には該当するかもしれません。しかし、不利益は大きく代償措置もありません。組合に対し協議を求めようともしていません。このような状況で「合理性」が認められるはずはありません。 変更の必要性については公務員なみを主張しています。しかし、法人化以降、昇格がなかなか進まない、特別昇給が従来のように行われていないという声があります。これを放置したまま、職員に不都合な点のみを公務員なみとして押し付けることは許されません。また、たとえ完全に公務員なみであったとしても、身分保障はすでにないのです。就業規則には整理解雇の規定も入っています。このような状況で職員の皆さんが退職時特別昇給の廃止に合意するとはとても思えません。 11月17 日、就業規則の改正について団体交渉を申し入れました 皆さん、特に今年度末で退職予定の皆さん、このような就業規則の変更に同意できますか。皆さんの声を組合にお寄せください。組合は団体交渉において皆さんの声に基づいて使用者側に再考を求めます。 |