2005.7.19 |
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7月25日賃金不払い残業の問題で労使協議を行います。 |
法人化後の労使関係における最大の問題は、賃金不払い残業の問題です。組合は、昨年7月の労使協議において、まず「始業終業時刻の適正把握」が必要だとの判断から、厚生労働省の通達等を根拠に、「組合と人事課が協同して、全職員に始業終業時刻を正確に記録するよう訴える」ことを提案しました。しかし、この提案は無視されたままです。使用者は相変わらず時間外勤務を減らせという掛け声だけで、始業終業時刻の適正な把握という労基法の使用者に課した義務は無視されたままです。法人化後1年3ヶ月経過しても、違法行為を改めるどころかそれを少しでも是正しようという姿勢すらみせないのです。使用者のやっていることはまさに労基法違反の行為であり、このままでは、責任者は労基法違反の刑事罰を問われることになります。 なぜ、始業終業時刻の適正把握が重要か 始業終業時刻の把握を行わないことは、労働時間と賃金の関係を不明確にします。すなわち、業務量とコストの関係が曖昧になるのです。業務が増大すれば当然正規の勤務時間内では消化できなくなりますが、それを時間外勤務として処理しないのなら、コストは発生しません。業務を命じる人にコスト意識がないのであれば、効果的な業務量削減が進むはずもありません。始業終業時刻の把握を曖昧にしていることこそ、業務量削減の最大の障害なのです。 始業終業時刻の把握を行わないことは、どこに業務が集中しているのかを不明確にします。業務量は、基本的には就業時間とその仕事に関わる人数で判断できます。就業時間が分からなければ、その仕事に人が足りているのかどうかも判断できません。適正把握が行われれば、どこの職場で何が原因で長時間労働が行われているのか調査することも可能になります。業務の見直しの基礎データが得られるはずです。また、一元化でかえって業務が煩雑になったと言う声も聞きますが、その実態も就業時間の把握によって明らかにできます。始業終業時刻は労務管理上の最も基礎的な数値データです。ですから、賃金不払い残業の問題を起こした企業ですら、始業終業時刻の把握はタイムカードなどできちんと行っているところが多いのです。 始業終業時刻の把握はどのように行うべきか これについて、厚生労働省は明確な基準を示しています。それは、①タイムカードなど②管理者による確認が大原則で、やむを得ない場合に③労働者の自己申告による把握を認めるというものです。しかし、その場合は正確に申告するよう指導すべきであり、予算などを理由に暗に縮減を促すようなことは行ってはならないとしています。大学のように職場が分散している状況では、すべてを管理者の確認によることは不可能ですから、タイムカードの導入が望ましいと考えます。 なお、記録は分単位でつけなくてはなりません。1日の超勤時間を時間単位で四捨五入することは労基法違反だからです。これを考えれば、自己申告のみで対応しようというのは無理があるのではないでしょうか。 賃金不払い残業の蔓延は職場風土の問題 厚生労働省は、2003年に「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を出し、「賃金不払残業の背景には、職場の中に賃金不払残業が存在することはやむを得ないとの労使双方の意識(職場風土)が反映されている場合が多い」との指摘を行いました。そして、その解消のために使用者と労働組合が協同して取り組むよう求めました。昨年7月の労使協議における、組合と人事課が協力して始業終業時刻を正確につけるよう職員に訴えるという提案も、この指針に基づくものです。 組合だけが始業終業時刻の把握を訴えても限界があります。人事課だけが訴えても、人事課の真意が分からなければ、従来の慣行に従って自制してしまう職員も出てくるでしょう。人事課と組合が協力することによって初めて、正確に自己申告しやすい環境が生まれます。また、職場での取り扱いのされ方に不満を感じた人がいる場合、組合がその受け皿になることも可能です。 職場環境は、労使が協力して改善していくべきものです。組合と使用者は、単純な対立関係にあるのではありません。このような組合の役割を職員の皆さんに是非とも認識していただきたいと考えています。 7月25日に労使協議を行います 組合は、7月6日の学長挨拶の際に、賃金不払い残業の問題で早急に協議を行うよう申し入れました。これは、いっこうに始業終業時刻の適正把握を行おうとせず、労働時間管理上の責任をとらない使用者側に業を煮やしてのことです。これは、職員のみなさんに直接関係する問題ですので、ぜひ注目してください。また、みなさんの職場の実態やご意見などを組合にお寄せください。 |