2005.7.29 |
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皆さんは、入試業務への手当が時間外勤務手当の形で支給されていることに疑問を感じませんか。この扱いは公務員時代は規則等に則ったものですが、法人化によって大きな問題が生じています。組合では、入試業務への手当は新たに入試手当を新設することによって対応するよう求めています。 時間外勤務手当は時間外労働に対しての手当です。入試業務を行っても、時間外労働でなければ手当の支給ができません。 入試問題の作成、試験監督、採点などの入試業務は、時間外に行われるわけではありません。日程の関係で、休日労働になる場合もありますが、休日振替を行うこともできます。その場合、時間外労働は発生せず、使用者側には手当を出さないという判断も可能です。これは、2004年の就業規則作成時の労使協議において、使用者側が明言していたことです。 公務員時代のように、入試業務とは無関係に時間外労働をつけ、手当を出すというやり方もあるかも知れません。しかしこれにはいくつかの問題があります。第一に、教員には裁量労働制を適用されているので、所定労働日には原則として時間外労働が発生しないことです。拘束的業務が一日8時間を超える場合には時間外勤務手当を支給するとしていますが、これだけでは従来の手当に見合う金額を確保するのは困難でしょう。第二に、休日労働として処理しようとしても、入試業務が休日労働にならない場合もあることです。大阪市では労働実態がないのに時間外手当を出したとして、手当の返還が求められたうえ、処分もなされました。やっていない休日労働の手当を受け取ることは、このような危険を冒すことになります。そして第三に、時間外勤務手当は実労働時間に応じて正確に出すという大原則に反することです。組合は始業終業時刻の適正な把握とそれに対する賃金を要求していますが、この扱いの例外を設けることは認められません。 公務員時代に「入試手当」という制度がなかったために便宜的に時間外勤務手当で支給していたものです。法人化したのですから、大学の判断で手当の新設は可能です。実際、東京大学では労使が入試手当新設について合意し、確認書を交わしています(参考資料参照)。 組合が入試手当の新設を要求する理由 公務員時代にも、センター試験の監督、個別試験前期日程の入試問題作成、試験監督、採点には時間外勤務手当の手当が出されていました。その意味で手当の新設は現状の労働条件の維持に過ぎません。現状のままでは手当の支給が保証されないという事実上の労働条件の改悪を防ぐための要求です。実際、ある大学では時間外勤務の実績で手当を出したことにより、支給総額が大幅に減少したそうです。 もう一つは、具体的業務によって金額が明示できることです。現状では、手当の額は支給されてみないと分かりません。今年も組合に対し、「手当の額が大幅に減ったがどうしてか」という問い合わせがありました。 さらに、手当のための原資があることです。センター試験には経費が各大学に配分されます。個別試験の受験料はすべて大学の収入です。入試によって得た収入から入試業務に携わった人に手当を支給するのは当然のことです。 入試手当の具体化に向けて皆さんの声を組合にお寄せください どの業務を手当の対象にするか、手当の金額をいくらにするかなど、具体化のため検討課題は沢山あります。組合では皆さんの声を聞きながら、2005年度の入試に間に合うよう、検討を進めていきます。皆さんのご意見を組合にお寄せください。
《参考資料1》 東京大学教職員給与規則 (入試手当) 第53条 入試手当は、大学法人が行う入学者選抜試験に係る業務の特殊性を考慮し、別途定める業務に従事した場合に支給する。 2 前項の入試手当は、次のいずれかに該当する場合には支給しない。 (1) 前項に掲げる業務が、所定の勤務時間以外の時間に命じられた場合に超過勤務手当の支給対象となる場合 (2) 前項に掲げる業務に対し、休日出勤手当が支給される場合 《参考資料2》東京大学教職員給与規則中の「別に定めるもの」 (入試手当) 第56条(第53条関係) 規則第53条第1項の別途定める業務は、第1表又は第2表の業務の区分欄に掲げる業務に従事した教職員とし、手当の額は、業務の区分に応じて同表の手当額欄に定める額とする。 第1表 大学入試センター試験及び本学第2次学力試験に係る業務の区分及び手当額
備考 1 本表は、大学入試センター試験又は本学第2次学力試験に係る業務に従事した教職員に適用する。 2 表中、その他の委員会とは、(5)から(7)に掲げる委員会又は室に該当しない委員会のうち、大学入試センター試験又は本学第2次学力試験に係るものをいう。 第2表 大学院入試等に係る業務の区分及び手当額
備考 本表は、大学院入試、再入学試験、編入学試験、転入学試験及び学士入学試験に係る業務に従事した教職員に適用する。 |