2005.8.1 |
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−賃金不払い残業全廃に向けて動き出します− |
7月25日、賃金不払い残業問題に関する労使協議が開かれました。使用者側は大迫理事以下11名、組合側は上田執行委員長以下10名が参加しました。使用者側は賃金不払い残業を無くさなくてはならないと明言した上で、業務量を減らすための方策、労働時間管理の具体的方法を検討しており、8月中に結論を出したいとの考えを示しました。これに対し組合は、労働時間管理の方法については厚生労働省から明確な基準が示されており、まずその遵守を約束すべきだと主張しました。使用者側はこの主張を受け入れ、適正把握基準の遵守を約束するとともに、基準に基づいて自己申告により始業終業時刻を把握している職員については、実労働時間に合わせて正確に記録するよう速やかに指示することを約束しました。熊本大学は賃金不払い残業の解消に向けて、ようやく第一歩を踏み出しました。 労働時間適正把握基準とは 厚生労働省が、賃金不払い残業の原因に「労働時間の把握に係る自己申告制の不適切な運用」があるとの認識から、労働時間の適正な把握の基準(2001年4月)を明示したものです。そこでは、まず 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。 ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。 イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。 とした上で、 上記の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。 ア 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 イ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。 ウ 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。 要するに、自己申告で労働時間の把握を行うためには、個々の職員に労働時間を正しく記録することについて十分な説明を行わなければならないということです。熊大の現状は、広範に自己申告による労働時間の把握が行われているにもかかわらず、正確に申告させるための「十分な説明」を欠いているのであり、この基準が守られていません。協議の場で基準の遵守と速やかな職員への指導を約束したことは、賃金不払い残業の解消に向けた大きな一歩です。組合としては協議での約束を速やかに実行に移すように求めます。 賃金不払い残業を生み出す職場風土の改善に向けて 賃金不払い残業がなくならない背景には、それを許してしまう職場風土があります。これを改善していくためには、学長の賃金不払い残業解消に向けた強い意志を学内の全教職員に浸透させていく必要があります。そのための方策として、学長と組合の委員長が連名で賃金不払い残業の全廃に向けて取り組むことを宣言してはどうかと提案しました。残念ながらこの場での合意はできませんでしたが、持ち帰って検討するとの回答を得ました。 長時間労働を無くすための抜本的な改善策を早急に立てよ 協議では、長時間労働が縮減している状況の説明もありました。会議は原則として勤務時間内に行うこと、付き合いでの残業(皆が帰らないから帰れないという状況)の解消など、少しずつですが進んでいるようです。現在、全面的な業務の見直しを進めており、8月中には適正な労働時間管理の方法等も含めて改善策を示すとのことです。 賃金不払い残業を放置することは犯罪行為です。その解消のためにも業務削減に向けた抜本的な改善策を速やかに立てることを求めます。 |