2005.10.27 |
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いったい何が問題か? |
1.「助教授」は「准教授」、「助手」は「助教」・「助手」に 解散前の第162回国会において、7月8日、「学校教育法の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。この法律は、大学の教育職を、教授、助教授、講師、助手という構成から、教授、准教授、講師、助教、助手という構成に変更し、新たに各職の資格要件および職務を規定しています。この法律は、2007年4月1日から施行される予定で、その間に、関連する省令改正が行なわれ、その後、各大学における規則改正と実際の職務変更が進んでいくはずです。 2.変更に潜む問題点 法「改正」のポイントは、①「助教授」の職務を改め、現状の大学運営に見合ったものにするということ、②従来の「助手」を、「自ら教育研究を行なうことを主たる職務とする助教」と「教育研究の補助を主たる職務とする助手」の二つに区別することです。この法「改正」については、「時宜にかなったもの」と歓迎するむきもありますが、以下に示すように看過できない重大な問題点をはらんでいます。 第一に、教授、准教授、助教の職務が「学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」(第58条)とまったく同一になったにもかかわらず、教授会の必要構成員を「教授」に限定する第59条はそのままにされ、従来の「階層制」は残されたままであるという問題です。 ただし、59条には「教授会の組織には、准教授その他の職員を加えることができる」とあり、各学部で、「職務が同一である以上、意志決定への参加も対等にすべき」と、准教授、助教を教授会あるいは人事教授会の構成員に加えるようと働きかけていく必要があります。 第二は、新設された「助手」の職務が、「職務を助ける」から「教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する」と変更されることで、事務組織においても教育組織においても昇進を望めない袋小路の職になってしまう危険性があるという問題です。大学に対して、助手のキャリアパスの独自の体系を創設することを求めていく必要があります。また、新設「助手」への変更にともなう待遇引き下げは断じて認められません。 第三は、中央教育審議会の審議まとめ(2005年1月)では、「助教」に対する任期制の活用がうたわれており、「助手」が「助教」に変更される際に、任期制が拡大される危険があるという問題です。 この「改正」にともなって、「大学の教員等の任期に関する法律」の一部を改正し、第四条の二「助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行なうことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき」という文言を、「助教の職に就けるとき」に変更するという案が浮上しています。これは、現行法の趣旨を歪め、任期制をいっきょに拡大させる危険性をはらんでいます。現行法「第四条の二」にある「助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行なうことをその職務の主たる内容とするもの」とは、すべての助手ではなく、助手の中でも自らの研究に専念できる条件を十分に有する職を意味しており、現行法は任期制の適用を研究専念型助手に限定しています。ところが「改正」案は、研究専念型でなくとも、「助教」の職であることを条件に任期制を適用することを可能にする危険性があります。 「改正」案の意図を任期制の拡大ではないとするならば、ここでの「助教」とは、いわゆる研究専念型の助手の言い換えのはずです。であれば、仮に「助教」に任期を付す場合には、現行の研究専念型助手と同等の研究条件が確保されねばなりません。 3.待遇引き下げや身分の不安定化は断じて認められない 今後、この法「改正」にともない、学内でどのような制度設計が行なわれていくのか、注視していく必要があります。この「改正」を理由に、教職員の待遇の引き下げを行い身分の不安定化をもたらすことはけっして許されません。この問題についての疑問やご意見をぜひとも組合までお寄せ下さい。 |