このニュースでは給与構造見直しで公務員賃金がどの程度減るのか、試算した結果をお知らせします。使用者側が人勧準拠を強行することは、このような大幅な賃金削減を熊本大学教職員に押し付けることです。前号でお知らせしたように、熊本大学職員の賃金は地域民間賃金水準よりはるかに低いのですから、このような大幅な労働条件の切り下げには何の正当性もありません。
給与構造改革の内容は
2006年4月から公務員給与構造の改革が行われます。その内容を簡単に紹介しましょう。
- (1)
- 行(一)1、2級および4、5級の統合と12級(新10級)の新設
- (2)
- 号俸の4分割と給与水準の切り下げ(平均4.8%)
- (3)
- 昇給カーブのフラット化(若年層は引き下げず、中高年層は7%の引き下げ)
- (4)
- 上位号俸の延長と枠外昇給制度の廃止。
- (5)
- 地域ごとの民間給与実態との調整のため、3〜18%の地域手当の新設
- (6)
- 標準の昇給を、初任層・中間層で4号俸(現行の1号俸)管理職層で3号俸と
する。また55歳以上は2号俸とする(昇給停止措置の見直し)。
- (7)
- 昇給日を毎年1月1日に統一する。
熊本市は地域手当の対象地ではないので平均4.8%の賃金削減の影響をもろにかぶります。ただし、以下のような経過措置が示されています。
- (1)
- 標準の昇給について、2007年1月1日は2号俸、2008年から2010年までは3号俸とする。
- (2)
- 2006年3月31日の俸給月額に達しない場合は差額を支給する(退職金には反映されない)。
- (3)
- 経過措置期間(2010年3月31日まで)は地域手当について減額される場合がある。具体的割合は2006年度のみが示されている。
試算結果
さて、これが実施された場合、公務員の賃金はどの程度減るのでしょうか。5年間について現行の制度と俸給表(17年度の人勧改定後の俸給表)による俸給月額と、新制度による俸給月額を比較し、導入から5年間の減収分を試算してみました。単位は100円です。額の大きさに驚かれる方も多いかと思いますが、2011年以降もこの差はさらに拡大します。退職金にも影響するので、生涯賃金での減収幅は想像がつきません。
- (注)
- 俸給表名は公務員のものを使います。あくまで公務員賃金への影響の試算だからです。
- (注)
- 簡単のため、現行の昇給月は4月1日としています。また、期間中昇給はすべて標準的な水準で行われ、昇格等もないと仮定します。
- (注)
- 教育職(一)については国大協の委託を受けて日本人事行政研究所が作成した参考給与表を利用しています。
- (注)
- 各種の調整額は含みません。
2010年までの俸給表 |
現在の級-号俸 |
2006年度 |
2007年度 |
2008年度 |
2009年度 |
2010年度 |
5年間の累計 |
行政職(一) |
5-12 |
1233 |
2417 |
3295 |
3811 |
3969 |
14725 |
行政職(二) |
4-21
| 433
| 883
| 1277
| 1605
| 1685
| 5883
|
医療職(二)
| 3-12
| 1317
| 2504
| 3129
| 3532
| 3810
| 14292
|
医療職(三)
| 2-15
| 1161
| 2059
| 2462
| 2832
| 3193
| 11707
|
教育職(一)
| 5-13
| 1917
| 3680
| 5255
| 6764
| 7831
| 25447
|
教育職(一)
| 4-15
| 1199
| 2230
| 3176
| 4105
| 5017
| 15727
|
(単位 100円)
|