No.31
2006.2.3
熊本大学教職員組合
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ゴールデンウィーク長期休暇の提案に対する不誠実極まりない交渉態度
労働条件の改善についての団体交渉報告(2)

 1月25日の団体交渉について「学年暦」の弾力化が議論になりました。組合は所定休日(祝日)の変更や計画年休の導入によってゴールデンウィークの長期休暇を実現するよう求めましたが、「学務部に問い合わせたらいろいろ問題があると言われた」との理由で拒否されました。2006年度は困難ということか、それとも基本的に困難だということかとの質問にもまともに答えることはできませんでした。また、拒否の理由の一つに授業日数の確保をあげていましたが、組合提案は所定休日(祝日)の弾力化により授業日数を確保した上での長期休暇実現です。役員会等での議論もなく、学長の判断でやらないと決めたとの説明もあり、ろくな検討も行わないまま拒否したことが明白になりました。これも組合との交渉を軽視する熊本大学経営者の資質を端的に表したものです。
組合の提案の理由
 1.法人化により制度的環境が変わったこと
 公務員の休日は勤務時間法で定められています。しかし、国立大学法人では就業規則で定めているに過ぎません。実際多くの企業で、ゴールデンウィークの長期休暇が実現しています。就業規則に所定休日の原則(土日及び祝日など)を記載した上、「上記所定休日は業務運営上の理由により変更することがある」という規定をおくだけでいいのです。そして具体的にいつを所定休日にするかは、学年暦の議論や組合との交渉を踏まえ、年度ごとに熊大カレンダーのような形で決めればよいのです。
 2.学年暦の編成が柔軟に行えるようになること
 ゴールデンウィークの谷間に講義をするべきか否か、迷う教員もいるでしょう。現実に出席率は落ちますし、講義をするにしても重要な事項は扱わないように工夫する場合もあります。学生の中にも、休みであればゆっくり帰省ができるのにと感じている人が多いと思います。一方、振替休日やハッピーマンデーによって月曜日の講義日数の確保はいつも問題になります。学生の立場からも教育上の立場からも柔軟化は必要なことです。
 昨年、定期試験の日程確保の問題から2月11日を試験日にしたことがありました。休日振替で処理したのでしょうが、個別に振替手続を行うよりきちんと労働日と位置づけたほうが良いはずです。なお、現状の休日振替は、使用者が振替日を指定して命じるという形式になっていず、休日振替の要件を満たしていません。ある部局では1週間以内に振替日が取れなければ前1週から後2週の間にとるようにとの指示が出されていましたが、その場合必要になる25%の割増賃金は、支給されているのでしょうか。
 3.事務運営の効率からも望ましいこと
 ゴールデンウィークの谷間には年休を取る職員が多いと思います。しかし、大学が機能している以上、各職場を閉鎖するわけには行きません。少数が出勤することになりますが、職員間の連絡が困難になるのでどうしても事務効率は下がるでしょう。少なくとも光熱費にはプラスの影響があるはずです。もっとも、海の日を労働日に変えたら光熱費はそれ以上に増えます。教育上、経営上の観点から総合的に判断すべきです。
教養教育実施会議の意向が何故無視されたのか
 実は、学年暦の柔軟化は昨年の教養教育実施会議でも議論になり、実施会議の意向として教育委員会に伝えられました。結局、2006年度には手続的に無理との意見もあり見送られたそうですが、将来にわたって行わないとまで決めたのでしょうか。経緯は実施会議にも正確に報告されていないようです。団交では学務部が「いろいろ問題がある」と言ったとのことですが、誰の責任で何を根拠にこのような回答が行われたのでしょうか。実施会議の意向が結局無視された経緯について組合は重大な関心を持っています。
総務部長発言「学年暦の柔軟化には100%の学生の賛成が必要」
 この要求は所定休日を増やせというものではなく、使用者側の同意も得られやすいのではないかと考えていました。2006年度実施が日程的に困難なのは分かっていましたが、2007年度の実現に向けて前向きな回答がなされるものと期待していました。しかし、事実上のゼロ回答であり、その理由も曖昧かつ見当はずれなものです。これは明らかに誠実交渉義務に違反します。しかし、それ以外にも驚くべき発言が行われました。
 まず「講義で学生に聞いたら全員が連休の谷間を休みにして7月の海の日を講義日にしたほうが良いと答えた」との組合側の発言に、理事が「全学生に聞いたのか」とばかげた質問をしたことです。総務部長は「たとえ98%の学生が賛成しとしても、2%の学生が反対したらすべきではない」と明確に答えました。これは団交における使用者側の見解として示されたものあり、二つの発言の意味することは、教育上の改善措置については「全学生の意見を聞く」べきであり「少しでも反対する学生がいたら行ってはいけない」ということです。
さて、学長に質問します。
1.
この見解(教育上の改善措置については全学生の意見を聞くべきであり、少しでも反対する学生がいたら行ってはいけない)は熊本大学としての見解ですか。
2.
もしそうであれば今後の教育改革をどのように進めるお考えですか。
3.
もしそうでなく、理事・総務部長の個人的見解だというのであれば、このような人に組合との交渉権限を委ねた責任をどう考えますか。

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