No.39
2006.3.8
熊本大学教職員組合
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賃金大幅引き下げに根拠無し!
組合の論点紹介(2) 大学教員への地域給導入は誰が決めたのか

 人事院勧告は、現在の調整手当(最大12%)を廃止し新たに地域手当(最大18%)を導入するとしています。従来の調整手当が地域での生活費の格差を理由としていたのに対し、地域手当は地域の民間給与との比較で決められました。そのためトヨタを抱える愛知県豊田市、日立を抱える茨城県水戸市は、従来調整手当非支給地でしたがそれぞれ12%、10%の地域手当がつくことになりました。九州でも福岡市(九大)、北九州市(九工大)、長崎市(長崎大)といった大企業を抱える地域に地域手当がつけられています。大企業の少ない熊本市は、民間賃金が全国平均の92%だったため、地域手当の支給対象に入りませんでした。
 さて、熊本大学使用者側が提示している給与改定案は、こうした人事院勧告の地域手当制度をそのまま反映したものです。大学教員の給与にこのような地域間の賃金格差を導入することは誰が決めたのでしょうか。人事院でしょうか、国大協でしょうか、それとも大学自らなのでしょうか。

大学教員は人事院の勧告対象に含まれていない
 まず、国立大学法人は非公務員型独立行政法人ですから大学教員は公務員ではありません。確かに防衛大学校など他省庁に付随する教育機関が一部残されているので教育職(一)表は人事院勧告に含まれています。しかし、この表が大学教員のための表でないことは国大協も認めています。国大協が参考給与表の作成を人事行政研究所に委託したのもそのためです。

人事院勧告は全ての職種について地域給導入を求めたわけではない
 人事院勧告は医療職(一)の医師及び歯科医師について、18%もの地域間格差をつけるべきではないとし、15%未満の地区でも一律15%の手当を支給することにしました。その理由を「民間における医師の給与水準について、地方勤務者の給与水準が高いという特性を考慮して」と述べています。さて、医師についてこのような考慮が可能なのであれば、大学教員についても検討されるべきではないでしょうか。特に、医療を担当する教員と国立病院の医師の賃金格差が今以上に拡大するのですから。

大学教員への地域給適用は誰が判断するのか
 まず、人事院ではありません。大学教員は勧告対象ではないからです。次に、国大協も地域給適用を決めたわけではありません。人事行政研究所への参考給与表作成依頼は、人事院勧告を適用した場合の給与表作成ですから、地域給導入の是非の検討は含まれていません。これは熊本大学役員会が判断したことなのです。ア元学長は熊本大学の教員の賃金を東京の大学教員の賃金より18%も低い水準にしようというのでしょうか。地方の民間賃金は東京より低いのだからこの水準で我慢しなさいというのでしょうか。しかし、団交で使用者側が示した理由は、人事院勧告で地域給導入が決まったからということのみでした。なぜ大学教員に対して地域給を導入するのか学長は説明責任を果たすべきです。

組合が大学教員への地域給導入に反対する理由
 まず、大学教員の教育研究活動の評価は全国水準で行われることです。大学評価委員会が地方大学に別の評価基準を設けるとは考えられません。次に、地方大学にとって優秀な人材確保の重大な障害になることです。18%という賃金格差により、同程度の経験年数であれば、東京の助教授の賃金のほうが熊大教授より高くなるのです。地域給導入は熊大の将来にとって深刻な影響をもたらします。学長は大学教員への地域給適用について、他の非支給地(新潟、鹿児島など)の大学とも連携しながら、反対の行動をとるべきです。


学長に質問します。

(1)
大学教員に地域給を導入することは熊大のような地方大学の将来に深刻な影響をもたらすとは考えませんか。
(2)
大学教員に地域給を導入させないための具体的行動をとる考えはありませんか。

 上記質問については公開質問状として別途学長に提出します。回答が寄せられた場合はニュースでその内容をお知らせします。

他の職種の組合員の方へ
 教員だけを特別扱いするべきではないとのご意見があることは承知しています。しかし、職種ごとの特性があることも事実です。例えば標準職務表ですが、一般職(一)係長は現行の制度でも6級(現行制度の級)まで格付けすることが可能です。組合としては上位級の拡大を求めていく中で賃金引下げの不利益の軽減を図ります。しかし、大学教員について助教授を5級に格付けるという要求は、現実性がありません。このような事情を考慮し、地域給導入についてまず教員についての配慮を要求していきます。

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