2006.3.9 |
||
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp |
組合の論点紹介(3) 特別都市手当の異動保障規定は誰のため |
組合の要求の中には大学の財政負担を軽減するものもあります。それがごく一部の「人事交流」職員に支給されている「特別都市手当」です。これについて組合は改善の必要は無いと主張しているのに対し、使用者側は頑なに「最大18%まで引き上げる」と主張しています。経営が苦しいとして職員に大幅な賃金切り下げを求めているのですから矛盾した態度です。さて、殆どの熊大教職員にとって縁のない無用な特別都市手当の概要についてまず説明します。 特別都市手当とは 従来の国家公務員制度においては、生活費の地域格差を理由に最大12%の調整手当がつけられていました。熊本市は支給対象になっていませんが、支給対象地から異動してきた人については、1年目はその全額を、2年目は80%の額を支給すること(異動保障といいます)になっていました。2004年度の法人化に際して、使用者側は熊本大学にも同様の制度を作るとし、特別都市手当を新設しました。これに対して組合は
さて、人事院は調整手当を地域手当に変更した上、従来の異動保障に加えて、広域異動手当の新設を提案しました。その内容は、
組合が特別都市手当の異動保障規定に反対する理由 1. 全国異動を行う一部の高級官僚優遇措置であること 人事院は広域異動手当新設の理由として「民間において転勤のある企業の従業員の賃金水準が地域の平均的な賃金水準より高いこと」をあげています。このような企業は比較的規模の大きな企業ですから、賃金水準の格差は企業規模による格差とも言えます。熊本大学で形式的にこの考えを当てはめた場合、総務部長などの人事交流職員には大企業並み賃金を、それ以外の職員には地場企業並み賃金をということになります。 2. 優秀な人材確保の方策としても問題があること 大学は人事交流によって優秀な人材を確保することを改善の理由にあげています。組合は優秀な人材を確保するために、就業規則の基準を超えた待遇を提供することを否定していません。しかしそれは、東京から来た人には18%、300km以上離れたところから来た人には6%等という形式的な基準ではありえません。しかも、「人事交流職員」でない私立大学から移ってきた教員には適用されません。優秀な人材確保のための方策としてはあまりにお粗末な矛盾の多いやり方です。 なお、熊大職員が東京に在勤する場合の手当は必要です。それは生計費格差で考えられるべきであり、現行の調整手当相当額が適当と考えています。 幹部事務職員が文部科学省の天下り人事で占められている状況こそまず是正されるべきである 昨年9月、文部科学省は国立大学の人事担当者を集め、「国立大学法人等における平成17年度人事院勧告(給与構造の基本的見直し)に伴う役職員の給与等の取扱いに関する基本的考え方」という文書を示しました。その中で「優秀な人材の確保を目的として、国と同様の異動保障規定の整備を検討することも有益」と述べています。総務部長、人事課長は文部科学省からの天下り職員としてこの指導を忠実に守っているわけです。 一方で文部科学省は2004年度の運営費交付金の算定に当たって人件費積算額の中に「調整手当の異動保障措置」に関わる予算を含めませんでした。使用者側の「人件費は2004年度の人件費積算額に一定の効率化係数をかけたもの」(この考えは現実の人件費を反映していないので組合は従来から批判しています)という考えにたてば、幹部事務職員の「特別都市手当」は教育研究費に食い込んでいるということになります。使用者側は「人件費が教育研究費に食い込んでいるから経営が苦しい」と主張しているのですから、「特別都市手当」という運営費交付金で措置されていない手当は真っ先に切るべきではないでしょうか。 この件に関する議論をしていると、幹部事務職員の目は大学の将来ではなく文部科学省の意向に向けられていると痛感します。しかも、幹部事務職員は一般職(一)の上位級を独占し大学職員の昇格の機会を奪っています。組合は学長に対し幹部事務職員が文部科学省の天下り人事で占められている状況を早急に改善するよう求めます。
上記質問については公開質問状として別途学長に提出します。回答が寄せられた場合はニュースでその内容をお知らせします。 |