2006.3.23 |
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2006年4月1日の就業規則改正案の中に、入試手当の新設が盛り込まれています。これはかねてから組合が要求してきた事項であり、基本的に歓迎すべきことです。しかし内容には重大な問題が含まれており、案の修正を要求します。 入試手当の金額について 使用者側は、平成17年度に超過勤務手当として措置された経費を基礎としたなどの説明を行っています。しかし、その金額の妥当性について学内の意見を聞くことはまったくしていません。従来から、私立大学に比べて手当が極端に安いことが指摘されていましたが、この金額を固定化するものになっています。入試業務には受験料などの収入もあるのですから、収入と経費を示しつつ、金額についての説明を行うべきです。 また前期日程個別試験の採点業務は教科によって負担が大きく異なります。負担に応じた手当の設定が必要です。私立大学の扱いなども調査しながら、手当額の再検討を要求します。 休日労働、超過勤務手当との兼ね合いについて 案では、「休日に入試業務を行う際には休日振替を行う。超過勤務手当又は休日給が支給される場合には入試手当は支給しない」としています。入試業務はしばしば休日に行われるのでこの規定は重大な問題です。一つは現行の休日振替手続きが労基法に則って行われていないことです。現在、事前に振替日を指定した形での休日振替命令を、明確な形で受けている人は殆どいないと思います。休日振替命令が無いまま休日に労働させれば、それは休日労働として扱われます。「振替伺い」の文書を渡すだけでは、振替を命令したとは言えず、まして振替日を特定するという使用者の責任も果たされていません。休日労働として135%の割増賃金が必要になります。事後に代休をとったとしても35%の割増部分は支払う責任があります。 もう一つ問題なのは休日振替を行っても超過勤務手当の支給が必要になる場合があることです。一つはセンター試験の監督業務が8時間では終わらないことです。拘束的業務が8時間を超えるので超過勤務手当の支給が必要になります。振替日を一週間以内に取れず、週40時間の労働時間制限を超えた場合も、超過勤務手当が必要です。このような場合、使用者案では「超過勤務手当を支給したのだから入試手当は支給しませんよ」ということになります。 このような問題を避けるために、
休日振替は労働者の責任で行うのではない 休日に入試業務を行うときには休日振替で対応してくださいと言われることがあります。文書も「振替伺い」という形式で、労働者が振替日を指定することが前提になっています。このことから「振替手続きを行わなかった教員には休日給を払うのだから入試手当は必要ない」という発想が出てきます。ここに、労基法下での休日振替に対する無知が表れています。 使用者は振替日を特定して、事前に休日振替命令を出す責任があります。振替日を申し出なかった教員に対しても、講義や会議の無い日(これは使用者側も把握できるはずです)に振替えて命令を出せば良いのです。そのような日が無ければ、拘束的業務の最も少ない日に振替えては如何ですか。それで休日給の額を抑えることが可能です。この程度の扱いはすべて使用者の責任です。 個別試験が休日にぶつかる場合があります。平日でも入試手当は出るのですから、入試手当が超過勤務手当を含んでいるとは言えません。使用者が振替手続きを怠れば休日給と入試手当の併給は当然です。手続きを怠ったのは労働者ではないのですから。 学長はこのように問題のある規則について当面変更の考えは無いと明言 今回の入試手当案の具体的内容が組合に示されたのは、2月9日の団交においてです。給与規則案の一部として提示されたのは、3月16日です。内容についての議論は一切行われていません。これを4月1日から就業規則として実施しようというのです。それだけではありません。学長は3月15日の団交において、今回の給与改定の内容については当面変更する考えはないと明言しました。組合が変更を要求しても聞く耳持ちませんというわけです。労使の協議を経て作られたものならともかく、何の議論も行われていない状況でこのような態度をとることは、非常識としか言いようがありません。 組合は以下の要求を行うとともに、この件についての団体交渉を申し入れます。 1.入試業務に関する収入と人件費以外の経費を明らかにすること。 2.私立大学の入試手当の金額を調査すること。 3.入試手当の金額については,教員の意見を求めること。 4.入試手当と超過勤務手当・休日給の併給禁止規定を撤回すること。 |