2006.4.1 |
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組合の論点紹介(6) 人件費が経営を圧迫しているという主張には根拠が無い |
使用者側は、賃金を切り下げる理由として「人件費が人件費枠を7億円(3月15日の団交で5億6千万円まで圧縮できたとの説明がありました)も超過しており、経営を圧迫している」と主張していました。しかし、この主張にも大きな欺瞞があります。それは人件費枠が2003年度末の定員をもとに一定の効率化係数をかけて決められているのに対し、人件費は定員外の有期雇用職員も含むからです。熊大には定員外の看護師だけでも約100人います。その人件費を一人400万円だとすれば、これだけで4億円です。臨時職員を含むすべての教職員の人件費が、2003年度末における正職員の定数を基礎とする人件費の枠におさまらないのは当然です。 今回のニュースでは、人件費が経営を圧迫しているという使用者側の説明への反論を行います。 法人化前後の人件費の推移について 法人化前の2003年度と、法人化後の2004年度および2005年度の人件費支給額を見ると 2003年度 178億6708万9千円(23億8047万8千円) 2004年度 197億7238万1千円(25億4654万5千円) 2005年度 199億7060万2千円(27億2568万2千円) (括弧内は内数で非常勤教職員の人件費を表します。また2005年度は3月現在の見込み額です。) となっています。法人化に伴って人件費が19億円増大していますが、これは常勤職員に関わる雇用保険の事業者負担分などの法定福利費(財務諸表の資料では18億8500万円)とほぼ一致しており、基本的に法人化前と人件費は変わっていません。職員数がほぼ変わっていないのですから、これは当然の結果といえます。 実は、超過勤務手当の支給総額も変動していません。賃金不払残業の全廃に向けて、増加しているのではないかと予想していましたが 2003年度 7億3437万1千円 2004年度 7億15万4千円 2005年度 7億7984万7千円 と、実質的に法人化前から人件費はほぼ一定で推移しています。運営費交付金も、2006年度は170億円で2005年度より3億円増加しています。経営上の観点からは基本給を平均4.8%切り下げる必要性はありません。 基本給切り下げの合理性は皆無である さて、6回に分けて2006年度賃金切り下げ問題に関する組合の主張を述べてきました。使用者側の賃金切り下げの根拠はもはや「人勧準拠」しか残されていません。しかし、国立大学法人の教職員の賃金を人勧に準拠して決めなくてはならないという法的義務はありません。これは昨年12月の団交において学長自ら明言したことです。賃金交渉において、人勧準拠のみの理由で組合の要求に応じない姿勢について不当労働行為であるとの判例があります。使用者側は、組合の示した論点に誠実に応える責任を負います。 今回の就業規則の変更には何の合理性もありません。これによって個別の同意なしに一方的に賃金を切り下げることは、違法行為です。使用者側には、賃金切り下げについて教職員から個別の同意を取ることを要求します。そして同意の得られない教職員に対しては、従前の就業規則に基づいて賃金を支給することを要求します。また、この改定に同意できな人は、同意できないという意思を使用者側に明確に示してください。
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