No.5
2006.7.7
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
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今からでも間に合います。異議通知書を提出しよう

 
4月1日に就業規則が不利益変更され、4月17日には賃金の減額支給が強行されました。この一方的な労働条件の切り下げに対し、2005年度組合執行部は、学長に対して異議を申し立てるよう組合員に呼びかけ、351名が異議通知書を提出しました。2006年度執行委員会もこの取り組みを継続します。このニュースでは異議通知書の意義を再確認するとともに、まだ異議通知書を出されていない方に提出の呼びかけを行います。
労働条件は労働者と企業の合意で決められる
  公務員時代の労働条件は法律等で決められました。しかし、法人化された今では、教職員と大学との個別労働契約によって決められます。契約ですからその内容の変更には合意が必要です。今回の不利益変更に同意できないという意志を明確に使用者側に伝えることにより、使用者の行為が契約違反であることが明確になります。
就業規則変更により労働条件を切り下げることは原則としてできない
  就業規則は使用者側に作成権限があります。しかしそれは労働条件の最低基準にすぎないので、就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することは原則としてできません。一方、最高裁判例では変更に合理性があれば労働条件を不利益に変更できるとしています。今回の措置で問題になるのは、就業規則の変更に合理性があるかということです。
  しかし、団体交渉の中で、また異議通知書を提出した職員への説明文の中で、使用者側は合理性についてまったく論拠を示せないままです。今回の賃金切り下げが違法行為であることは明らかです。なお、労働者の対応は合理性判断の一要素であり、異議通知書提出者の増加は今回の変更の合理性の無さを浮き彫りにします。
組合は法的措置に訴えることも視野に入れつつ更に使用者側との交渉を継続します
  民事契約の内容に関わる紛争には公権力は介入しません。いくら使用者側の行為が違法行為だとしても、警察も労基署も動いてはくれません。違法行為か否かの判断を公的な第三者に求めるのであればそれは裁判・労働審判しかないのです。使用者側が現状のような組合無視の硬直した姿勢を続けるのであれば、組合としても法的措置に訴えざるを得なくなります。これは熊本大学の将来に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
  組合は何が何でも今回の賃金切り下げに反対というのではありません。人事院勧告が熊本大学教職員の給与水準決定のための重要な参考資料であることは認めていますし、国立大学法人が政府から人件費削減の圧力を受けていることも認識しています。使用者側との間で諸手当や昇格改善の協議が行われ、一定の前進があれば、基本給切り下げに合意する用意もあります。大学が自らの行為の合法性を回復しようと思うのであれば、組合との合意が不可欠だということを認識すべきです。
今、なぜ異議通知書を提出するのか
使用者側は4月17日に労働契約内容の改悪を強行してしまったのに、今更異議通知書を提出しても手遅れではないのか、という声を耳にすることがあります。確かに、組合は4月17日に向けた異議通知書の集約を急ぎました。その結果として、200名を超える教職員の明確な「不同意の意思表示」を無視して使用者が一方的に労働条件を変更した事実が確定したわけです。就業規則の不利益変更を理由に個別の労働契約内容を切り下げることだけでも十分に違法な行為なのですが、個々の労働者が明らかに不同意の意志を示しているにもかかわらず、説明すら行わずに賃金を切り下げたわけですから、もはや弁解の余地もありません。
  労働契約内容の一方的切り下げは、4月17日に強行されました。しかし、それから2ヶ月以上の月日を経た今日も、違法状態は継続されおり、私たちの目に見えないところで、基本給、期末・勤勉手当、退職金の不払いは進行しているのです。
  異議通知書の提出は、抗議行動ではありません。使用者による不当な行為が、静かに、しかし着実に繰り返されている今、私たちに求められている行動は、肩に力を入れて抗議の声を張り上げることではなく、ただ粛々と異議通知書をしたため、私たちの不同意の意志に実体を与えることなのです。熊本大学において成立している違法状態を白日の下に晒すため、異議通知書を提出しましょう。
  異議通知書を提出した方には、学長から表題無き「回答文」が届きます。組合の問い合わせに対する使用者の見解によると、記されざる表題は「学長の誠意」であるとのことです。その内容がいかに不誠実なものであるかは、赤煉瓦No.2でお伝えしたとおりですが、このような欺瞞に満ちた文書にも「配達記録」としての価値はありますので、大切に保管してください。仮に使用者が「回答文」の送付を取りやめたとしたら、それは使用者自らが見せかけの「誠意」さえ失ったことを意味します。組合は、そのような事態は十分に起こりうることだと考えておりますので、異議通知書の提出にあたっては、必ず写しを作成し、皆さんの「不同意の意思表示」を大切に保管しています。

  異議通知書の様式をご希望の方は、各支部の執行委員にお問い合わせください。また、組合ホームページからもお取り寄せいただけます。

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