No.14
2006.9.1
熊本大学教職員組合
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大学使用者「再雇用に関する労使協定」の素案を提示

 
8月28日、使用者側は各事業場の過半数代表者に対し、「再雇用に関する労使協定」の素案を提示しました。これは高年齢者雇用安定法の改正によって、各企業に対し「年金支給開始年齢までの安定した雇用の確保」するため次のいずれかの措置が義務付けられたことによります。

1.定年の引き上げ
2.継続雇用制度
3.定年の定めの廃止


 ここで「継続雇用制度」というのは原則として希望者全員を対象とする制度ですが、過半数代表者との労使協定で継続雇用対象者の基準を定めることも可能とされています。なお経過措置として3年間は就業規則に定めても良いとされています。
 使用者側は、この法律への対応として何らかの基準を設けた「継続雇用制度」の導入を考えており、そのためには労使協定が必要になるので今回の提案に至りました。年内には退職予定者に対し再雇用の希望の有無を聞く必要があるため、早期に労使協定を結びたいと考えています。

使用者案の内容と問題点
 使用者側の協定案では、再雇用対象者の基準として次の6点をあげています。

(1) 勤労意欲に富み、引き続き勤務することを希望する者
(2) 定年退職後又は雇用期間満了後、直ちに勤務に従事できる者
(3) 本学在職中に懲戒処分を受けたことがない者
(4) 再雇用の日前3年間に無断欠勤がない者
(5) 直近の健康診断の結果を産業医が判断し、業務遂行に支障が無いと認められる者
(6) 再雇用の日前1年間に、私傷病による病気休暇及び休職の期間が暦日で90日以下の者

 まず、(1)について「勤労意欲に富み」とはどうやって判断するのかとの質問が出され、「再雇用の希望が出たら意欲に富むと判断する」との回答がありました。それなら「勤労意欲に富み」という部分は不要ではないかとの意見が出されました。(2)については、「直ちに」の意味について質問が出されました。雇用期間は4月1日からであり、これを職員の都合で6月1日からにするようなことはできないという説明がありました。なお、年休は再雇用時にも持ち越せるので4月1日に年休を取ることは可能です。(3)について、懲戒とは戒告以上の処分であることを確認しました。なお、30年前に戒告の処分を受けた職員が、その後優秀な勤務成績を残した場合でも再雇用の対象にならないのは不合理ではないかとの意見が出されました。使用者側も問題があることは認めました。(5)について、健康診断後に回復した場合はどうするのかとの質問が出ました。本人が健康診断を受けて、業務遂行に支障がないとの判断が出されれば良いとのことでした。(4)の無断欠勤や(6)の私傷病については様々な事情があり得るので、それを斟酌することはできないのかとの意見が出されました。

組合の基本的立場と今後の対応
 組合は、活動方針の基本要求の中に定年の65歳への引き上げを取り入れています。使用者側は、現行給与制度のもとでは定年引き上げは大幅な人件費増をもたらすとして、定年引き上げについてはまったく考慮していませんが、給与制度の変更も視野に入れながら定年延長の可能性の検討を行うべきです。
 定年延長は、全員を身分の変更の無いまま継続雇用する制度といえます。ですから次善の策である「継続雇用制度」についても、希望者全員を継続雇用する制度を要求します。高年齢者雇用安定法は「継続雇用制度」について「原則として希望者全員を対象とする」と定めているのですから、基準を設ける必要はありません。組合の基本的立場にたてば、労使協定締結の必要性は皆無です。
 しかし、使用者側の具体案が示された以上、過半数代表者は協定当事者として、全教職員の意見に配慮しながら対応する責任があります。また、再雇用制度で問題になるのは「再雇用の基準」だけではありません。再雇用者が自らの経験を生かして、誇りを持って働ける環境を如何に作っていくのかが重要でしょう。組合は過半数代表者を支援しながら、より良い「継続雇用制度」の実現に向けて努力します。

再雇用の基準について、また再雇用のあり方について
ご意見を組合にお寄せください。


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