No.15
2006.9.4
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
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学長選挙候補者(意向聴取候補者)に
アンケートを実施
回答を全教職員にお届けします

 
9月14日(木)に学長選挙意向聴取(投票)が行われます。熊本大学教職員組合から意向聴取候補者に以下のようなアンケートを実施しました。候補者からいただいた回答を全教職員に公表させていただきます。是非、投票の参考にしていただきますよう、よろしくお願いします。
意向聴取対象者です。前回の選挙の時と変っています。ご確認下さい。
  1. 学長及び理事(学長選考会議委員である者を除く)
  2. 選任の教授、助教授、講師、副校長、副園長、教頭及び教育学部附属養護学校各部の学部主事(学長選考会議委員を除く)
  3. 一般職員及び医療職員のうち係長相当以上の職員
 

<<学長選挙候補者アンケート>>


1 熊本大学の将来構想について
(1) 熊本大学は地方に位置する総合大学として、今後どのように発展してゆくべきだと考えますか。お考えをお聞かせください。
(2) 18歳人口が底をうち、厳しい競争に晒されている大学が、教育研究機関として発展してゆけるかどうかは、優秀なスタッフを確保できるか否かにかかっています。ところが、本学の給与は全国立大学法人のうちで最低に切り下げられている状況です。本学において優秀な教職員の確保は如何にすれば可能だと考えますか。お考えをお聞かせください。
(3) 法人化以前から国立大学の学費は値上げがつづき、文系では私立大学と同等もしくはそれよりも高い額に達しています。法人化後の現在では、各国立大学法人が独自に学費額を決定することができるようになっています。学費額を今後どのようにしてゆくおつもりですか。お考えをお聞かせください。

2 医療職員の増員並びに優秀な人材確保のための待遇改善について
(1) 2006年度診療報酬改定では、医療の質を高めることを掲げて入院患者に対する看護職員の配置が一定以上であれば入院基本料を多く得られる仕組みとなりました。現在の看護職員の配置10対1を7対1へ早急に移行することが必要だと考えます。この件についてどのような計画を考えておられるか、お聞かせください。
(2) 医学部並びに附属病院に勤務する医師は、近隣の総合病院に比べ極めて低い賃金で雇用されているばかりか、時間外手当も支給されず超過密労働を強いられています。この様な事態が優秀な医師の流出、研修医の大学病院離れによる医師不足を招いていると思われます。こうした医師不足にどのように対応しようと考えますか。お考えをお聞かせください。
(3) 2006年4月より医療技術免許を有する臨時職員は特定有期雇用職員(5年)として待遇はほぼ正職員並となりました。しかし、特定有期雇用職員が一定の技術に達するには長年の時間が必要です。数年の教育期間を費やして一定の技術を体得しても、これからという時に去られては、業務の効率化はおろか、その技術流出は大学にとって大きな痛手となります。対策として特定有期雇用職員の一刻も早い正職員化が必要と考えますが、この件についてお考えをお聞かせください。

3 法人化後の諸問題について
(1) 2006年4月の就業規則変更に基づく賃金切り下げに対して、420名を超える教職員が異議通知書を提出しているという事態を、どのように解決しようと考えますか。お考えをお聞かせください。
(2) 今年度開始予定の「教員個人活動評価」は、その「指針」と「要項」が作成され、現在は各部局で「要領」の作成段階に入っています。しかし、評価結果を給与等に反映させるかどうかについては、昨年度以来の議論の混乱が収束しておらず、「指針」及び「要項」の文面からも明確に読み取ることもできず、教員の間に不安が広がっています。この混乱をどうやって解決しようと考えますか。お考えをお聞かせください。
(3) 法人化後、業務は質量ともに増大の一途をたどっていますが、本学の各職場にはタイム・カードさえ設置されておらず、時間外労働を黙認あるいは実質的に強制する状況にあると考えます。長時間労働・不払い残業の蔓延にどう対処するおつもりか、お考えをお聞かせください。
(4) 事務職員のうち課長級以上の管理職の多くが、文部科学省からの出向官僚で占められている現状は、大学組織の創意工夫ある運営を阻害する要因になっているように思われます。こうした現状についてどのようにお考えですか。

4 教職員組合との関係について
 現在、熊本大学における労使関係は決して良好とは言えない状況です。賃金という最も基本的な労働条件について、団交は決裂し使用者側は一方的な賃金切り下げを強行しました。組合が教職員に賃金切り下げ措置に対する異議申し立てを呼びかけたところ、420名以上の職員がそれに応じています。これはまさに労働関係調整法の言う「労働争議」状態にあります。
 組合は、このような状態に至った原因の一つに、労働条件に関して役員会で方針を決定してから組合と団交を持つというプロセスがあると考えています。役員会の方針が決まっていて団交に臨むため、団交において組合の要求に耳を傾ける対応は無く、要求を持ち帰って検討するという対応もほとんどありません。このこと自体、労働組合法の定める誠実交渉義務に違反していると考えます。
 現状の労使関係を改善するためには、労働条件事項について役員会で方針を決定する前に組合と団交を持ち、団交に実質的な意味を与えることが必要と考えますが、この件について如何お考えでしょうか。


学長選挙候補者アンケートの回答

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2006年9月4日

熊本大学教職員の皆様へ

 学長選挙に際し各候補者の方々にアンケートをお願いし、9月1日(金)までに回答をいただきました。全文を皆様にお知らせいたします。来る9月14日(木)の投票の参考にしていただきますよう、お願いいたします。

熊本大学教職員組合

 

<<候補者からの回答(原文のまま)>>
(回答は五十音順に配列しています。敬称略)


ア元 達郎(現:学長)

1 熊本大学の将来構想について
(1)   世界をリードする特色ある研究・医療とそれに基づく国際水準の人材養成を通じて社会に貢献すると共に国際的にも存在感を示す大学として発展してゆくべきと考えます。
  そのために、構成員一人ひとりが、Kumamoto University for you(あなたのための熊本大学)の意識を強めて、それぞれの立場でupgradeな教育、uniqueな研究、地域とのunion、universalな貢献(4U)に努力する必要があります。
  大学としての施策の基本は、目標計画に書かれていますが、一端を所信表明書にも書かせていただきましたので参照下さい。
(2)   全国87国立大学法人のうちで最低の給与は、本学を含めて人事院勧告でいう地域手当を措置しない37大学に存在します。また、前年度から継続して勤務する職員については、給与を切り下げることなく、平成18年3月末の給与を保障しています。このことが、社会情勢と本学の財政状況を勘案した総合的判断に基づくものであることは既に御説明している所です。
  優秀な教職員の確保について、給与は大きな要素であることは、否定しませんが、給与以外の要素も重要と考えます。それは、職員にとっては、やりがいと希望が持てる職場環境であること、特に、教員にとっては、優れた研究グループや組織、設備、必要な研究費といった研究環境が良いことが重要であると考えています。そのためにも皆さんの力で熊本大学に勤めることが羨望を生むほどのすぐれた熊本大学にすることが必要です。
  また、それぞれの分野でがんばっている人、業績を上げている人が報われる給与システムや処遇改善を実現することも優秀な教職員の確保につながると考えています。
(3)   国立大学が地方に展開している理由のひとつに日本の高等教育水準や学術の均衡ある発展が挙げられます。また、高等教育の機会均等を保障することも国立大学の存在意義であります。したがって、授業料等については、従来どおり標準額を守る方向で努力したいと考えています。
  一方で、欧米の大学の様に、学費負担の軽減のため、国や学外からの資金による奨学金制度を充実させる努力を継続すべきです。また、学生の国際性養成のため、国際活動奨学金を本学独自に設けており、平成17年度は110名の学生諸君が国際活動を行い、成果を挙げていることも御承知のことと存じます。

2 医療職員の増員並びに優秀な人材確保のための待遇改善について
(1)   医療の質及びサービスの向上に加えて、御指摘の様に経営上も7対1に移行することが妥当と考えます。しかしながら、看護師の需要と供給の関係は、全国的に厳しい状況ですので人材確保は、競争的にならざるを得ず、時間と費用、そして工夫が必要です。病院長(副学長)ともよく相談して、できるだけ早期の実現を目指したいと考えています。
(2)   深刻な問題ですが、幸いにも研修医については、本学病院、医学薬学研究部の努力で、他大学に比べて高い定着率になっております。これも、病院・医学部の医療、学術のポテンシャルが高いことがひとつの要因であると考えていますので、ポテンシャルの高さを維持することと、でき得る処遇改善に努力することで対応したいと考えています。
(3)   特定有期雇用職員の正職員化は、発生する退職金等の財政的理由(退職金は、国が措置しており、さらに、法人化移行時の正職員数分しか文部科学省は保障していない)により当面困難と考えられます。
  しかしながら、看護職員の7:1配置への移行や、診療報酬改定、特定機能病院機関別調整係数(DPC)廃止の動向、外来医療の包括化等、国の医療行政の推移と毎年約2.8億円(2%経営改善係数)の運営費交付金が削減されて行く本学の病院経営との関係の中で判断すべきもので、今後の課題であると認識しています。なお、現状でも、特定有期雇用職員の大半を占める看護師については、5年以内で正職員化している状況であることを付言いたします。

3 法人化後の諸問題について.
(1)   異議通知書を提出された方々に対しては、回答書を送付したところであり、それ以上の対応は、現時点で考えていません。仮に+3%の手当てを想定した場合、6億円程度の費用が発生しますが、この額は、文学部、教育学部、法学部、理学部、社会文化科学研究科、法曹養成研究科の部局予算の合計、又は、医学薬学系部局予算、又は、工学部+自然科学研究科の予算に相当します。大学の使命である教育・研究を犠牲にしてまで給与を上げることを皆様が望まれているとは私は思いませんし、すべきでないと考えています。しかしながら、給与等の処遇改善は、重要なことですので、今後共、皆様の御意見に耳を傾け、努力を継続したいと考えています。
(2)   教員の個人活動評価は、大学の教育・研究、社会貢献、運営の質の向上のために必要な制度です。したがって、その為にがんばっている人、成果をあげた人が報われるインセンティブ制度は必要と考えています。インセンティブの内容は種々考えられますが、給与(勤勉手当、昇給)もその一部と考えています。従来も勤勉手当、特別昇給については、部局長の推薦に基づいて行って来ている所であり、今後は、より客観的なデータに準拠して行われると御理解下さい。国家公務員についても、同様の制度が導入される予定でありますが、実施に当っては、皆さんの御意見に耳を傾け、御理解を得る努力をしたいと考えています。
(3)   他大学同様、法人化後の業務の質量の増大で大変御苦労をかけていることは否めず、申し訳なく思っております。
  法人化3年目を迎え、直後の業務増大は、既存の業務を見直すこと等により少しは落ち着いて来ていると思いますし、本学としては、他大学と異なり、残業手当の予算上の制限はせず、適切な労務管理をしていると考えています。
(4)   文部科学省や他機関からの異動職の皆さんが、大学組織の創意工夫ある運営を阻害する要因になっているとは考えていません。しかし、今後、必ずしも異動職の皆さんに頼る必要の無い人材が得られれば、民間からの登用も含め、能力主義で、区別なく考えて行きたいと考えています。
  法人化後、本学採用職員に課長職への昇任をしていただいていますし、今後は、その枠も拡大するつもりでいます。また、部長職への昇任も可能としたいと考えています。
  本学教員が教育・研究に専念し、組織及び個人としての優れた業績を挙げられる様に、事務職員については、学内外の出身を問わず、大学のアドミニストレーターとして、企画力や事業推進力、管理力を備えた、大学人としての業務を遂行できることが肝要です。

 教職員組合との関係について
  組合との交渉に臨む為には、法人としての考え方を整理し、方針案を作る必要があります。このことを役員会で行って交渉に臨んでおり、方針を決定してから交渉を行うプロセスをとっている訳ではありません。従って、交渉の結果、方針案を修正したり変更したりする余地は充分にある訳で、これまでの交渉においても組合の要求にも耳を傾け、要求を持ち帰って検討し、受け入れるべき要求は受け入れ、案件によっては、再度交渉するという誠実な対応をして来ております。
  また、必要な事項については、組合との交渉結果、過半数代表者の意見を聞いて後、最終的に役員会で決定する手続を取っています。その結果、法人化前に比べてずいぶん労働条件の改善をして来ており、その評価が無いのは残念なことですが、その様な努力は今後も継続して行きたいと考えています。
  教職員組合におかれては、法人化以降、本学職員の労働条件の改善に貴重な御意見をいただくなど、御尽力いただいていることに感謝申し上げますと同時に、1.(1)で申し上げた様なすぐれた大学を造るという同一の目的を持った大学構成員としての御理解をいただき、共に努力していただきたいと考えています。



志賀 潔(現:医学薬学研究部教授)


1 熊本大学の将来構想について
(1) 大学は教育機関であり、そのことを十分に認識することが熊本大学発展ための最重要事であろうと思います。教育とは単に学生に知識、技能を伝授するだけではありません。教職員が懸命に研究、診療等に励みそこで得た論理性、思考力、人生観を基盤として学生と接することが大学の基本であると思います(地方に位置するか否かには関係なく)。奇をてらわずに基本を実行すること以外発展の王道は無いものと思います。熊本大学はそのような精神を持つ大学であって欲しいと思います。
(2) 人件費を国に依存する以上他大学に比べ極端に高い給与は払えないものと思います。給与の高さで人材を集めるのではなく、働き甲斐のある熊本大学を作りその魅力で優秀な教職員を確保する、或いは熊本大学で生きがいを持って仕事をしつつ優秀な教職員になっていただく、のが大切であると考えます。日本には給与より働き甲斐を求める風土がまだ残っているのではないでしょうか。
(3) 国立大学法人である以上全く自由に学費を決められるわけではありません。しかし諸般の事情を勘案して出来るだけ低い学費で運営することも国立大学法人としては忘れるべきでないと思います。

2 医療職員の増員並びに優秀な人材確保のための待遇改善について
(1) 付属病院は大きな部局であり人材も多くおられるところです。又このような問題に関する専門的な情報も蓄積されているところです。従いましてまず付属病院の総力を上げて適切な対処計画を検討されるべきだと思います。その結果を基にして全学的な判断、実行が出てくるのが自然な姿ではないでしょうか。
(2) 上の回答と同じです。
(3) 待遇がほぼ正職員並となったとしても、雇用期間の短さは問題だと思います。何が正職員化を阻む原因となっているのか知りませんので明確な回答は出来ませんが、このような不安定雇用は可能なら避けたいものと考えます。

3 法人化後の諸問題について.
(1) この問題は組合のニュースを見て知っているだけであまり詳しい事情は分かっていません。その限りでの回答となります。人事院勧告を利用して賃金を決めるのは一つの合理的な方法でないかと思います。他に名案を出す実力が今のところわが大学にはないと思うからです。組合のご意見を見ても素晴らしい賃金決定方式が出されているとも思えません。今後はとにかく大学内で徹底的に話し合いそして良い知恵をだす以外、この問題の解決策は無いのではと考えます。
(2) 給与に反映できるような評価をすることは極めて難しいことで、余程慎重に考える必要があると思います。それほど確かでない評価に基づき給与を決めればそれこそ教職員の働く気力を失わせるものとなります。収束していない議論は徹底的に話し合う以外に道は有りません。話し合うことは単純な発想に思えますが大事なことだと考えます。
(3) 「長時間労働、不払い残業の蔓延」とありますが、もしそれが事実なら直ちに改善努力をしなければなりません。まず実情をきっちり調べることが第一歩となります。不具合があればその原因を把握し確実に改善につなげる必要があるでしょう。
(4) 「創意工夫ある運営を阻害する要因である」と本当に結論できるのでしょうか。よく調べ検討する必要ありと思います。

 教職員組合との関係について
 役員会で種々議論をして組合との徹底討論に臨むのは大学としてはごく当然の事と思います。現大学執行部はそのようにされた訳で、特に非難されることではないのではと思います。もちろん徹底した討論とは何も自分の主張を通すことが目的ではなく、最善の結果を得るための行動であるべしと考えています。団体交渉では徹底討論を大いにやりたいと考えます。
 いずれにしましても法人化後二年半しか経っておりません。今後、役員会と組合双方共に経験を積みまた知恵を出し合って熊本大学の労使関係を育てていく必要があるのではないでしょうか。

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