No.21
2006.10.17
熊本大学教職員組合
Tel.:096-342-3529 FAX:096-346-1247
E-mail:ku-kyoso@union.kumamoto-u.ac.jp
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人勧準拠を理由とする
一方的賃下げに違法判決

 
2003年度の人事院勧告は平均2.6%の大幅マイナス勧告でした。ルーテル学院中学・高校でも人勧準拠の理由で賃金切り下げが強行されましたが、組合はそれを違法として減額分の賃金支払いを求める訴訟を起こしました。10月13日、熊本地裁は組合側の主張を認め、ルーテル学院に対し約530万円の支払いを命じました。
 判決の中で亀川裁判長は「マイナス勧告があったからといって、安易にこれに従い、一方的に給与を減額することはできない」と述べています。まさに熊本大学教職員組合が使用者側に対して主張してきたことであり、改めて私たちの主張の正しさが確認されました。今後、2006年度の人勧の扱いや入試手当改善などの組合要求に関する賃金交渉が行われますが、2006年度の勧告内容に限定することなく、給与構造見直しによる不利益の是正を含め総合的な賃金問題として交渉に臨む決意です。
 また,判決では「引き下げは労働契約の不利益変更にほかならず、労働者個別の同意か、やむを得ない合理的な理由が無ければならない」と述べられています。同意していないという意思を明確にするためにも、異議通知書(現在,423名が提出済み)の提出をお願いします
朝日新聞(2006.10.14)
—方的賃下げ「違法」
ルーテル学院教職員訴え認める
熊本地裁
 一方的に賃金を減額されたのは違法だとして、熊本市の私立ルーテル学院中学・高校の教職員組合に加入する39人が、学校法人九州ルーテル学院に減額分の支払いを求めた訴訟の判決が13日、熊本地裁であった。亀川清長裁判長は「法人側は一方的に労働契約の内容を不利益に変更し、違法」として、請求通り総額約530万円の支払いを法人側に命じた。
 判決によると、法人側は03年8月の人事院勧告に沿って、同年12月からの給与引き下げを組合側に通知。組合側は撤回を求めたが引き下げが実施されたため、冬季賞与と04年2月までの給与の減額分を支払うよう求めて提訴した。
 給与について法人側と組合側は99年、安定した水準確保のため「原則として人事院勧告に準ずる」との協約を締結。プラス勧告に基づく給与改定もあったが、亀川裁判長は「マイナス勧告の場合は安易に同視できない。賃金引き下げは、原則、労働者側の同意がなければならない」とした。

熊本日日新聞(2006.10.14)
—方的な給与減額違法
熊本地裁
九州ルーテル 530万円支払い命令
学  院  に
 人事院のマイナス勧告に伴い教職員組合の同意がないまま給与を引き下げたのは違法として、ルーテル学院中学・高校(熊本市)の教職員三十九人が同校を経営する学校法人九同学院州ルーテル学院に減額分の賃金支払いを求めた訴訟の判決が十三日、熊本地裁であった。亀川清長裁判長は「労働者に不利益となる内容の人事院勧告に漫然と従った引き下げは違法」として、同学院に計約五百三十万円の支払いを命じた。
 判決によると、同学院と教職員組合は一九九九(平成十一)年に「給与改定は人事院勧告に準拠することを原則とする」との協約を締結。同学院は二〇〇三年十一月、同年八月の人事院のマイナス勧告に伴い、教職員組合に書面で給与引き下げを通告した。
 組合は引き下げの撤回を申し入れたが、同学院は同年十二月の賞与で引き下げ分を同年四月にさかのぼって計算し、一人当たり約十八−七万円を相殺して支給。十二月以降の三ヶ月分の給与も減額して支給した。
 亀川裁判長は「マイナス勧告があったからといって、安易にこれに従い、一方的に給与を減額することはできない」と指摘。「引き下げは労働契約の不利益変更にほかならず、労働者個別の同意か、やむを得ない合理的な理由がなければならない」と述べた。
 同学院は「理事会などと相談して今後の対応を決めたい」としている。

10月16日、熊本大学での団体交渉拒否(五高記念館任期制問題)事件について、労働委員会での斡旋が行われました。労働委員が個別に組合と使用者側の意見を聞くという形でしたが、使用者側は団体交渉拒否の姿勢を崩しませんでした。次回の斡旋は11月末頃行われる予定であり、そこで斡旋案が示される可能性があります。

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