今回から、センター試験の監督を行う教員について両日とも休日振替を行うようになりました。振替日が取れずに困っている人も多いと思います。このニュースでは労働基準法、労基法に基づく厚生労働省の通知等、及び熊本大学の就業規則に基づき、休日振替の意味、監督業務の入試手当、休日給などの仕組みを紹介し、手当てがいくらになるかを説明します。なお、職員についても入試手当が出されないことを除き基本的に同じです。
まず、前日までに振替日(振替えによって新たに休日となる日のことを言います)が決まっていたかいなかったかで状況はまったく異なります。
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前日(1月19日)までに振替日を申し出た人、及び前日に振替日の指定を受けた人 |
センター試験の日は通常の労働日として処理されます。振替日があなたの休日になります。
センター試験の日は休日労働です。事後に振り替えたという人は最後のQ&Aをご覧ください。もちろんセンター試験の業務は二日間ありますから、一方のみ振替えるということもありえます。
次に、時間外勤務手当の基礎となる時間給について解説します。給与規則第48条には
「基本給の月額、管理職手当、特別都市手当、特殊勤務手当(第26条第1項第2号から第5号までに規定する業務を除く。)、初任給調整手当、義務教育等教員特別手当、安全衛生管理手当及び時間外診療担当手当の月額の合計額に12を乗じ、その額を1日当たりの勤務時間に年間所定労働日数を乗じたもので除して得た額」
とされています。多くの人は基本給を12倍し年間の総所定労働時間で割ったものになります。
入試業務に伴う手当の試算
以下では時間給を3000円とします。また、センター試験の監督業務は一日10時間であるとします。
入試手当 42000円
時間外手当 3000×4×1.25=15000円
計 57000円
使用者側が想定している一番手当の少ないパターンです。
場合2 |
1日のみ22〜26日の期間に振り替えたが、もう一日はほかの期間になった人 |
入試手当 42000円
時間外手当 3000×4×1.25=15000円
労基法に基づく割増賃金 3000×8×0.25=6000円
(Q&Aを参照)
計 63000円
入試手当について疑問のある方、詳しく知りたい方は組合事務所までお尋ねください。
ご意見もお寄せください。 |
入試手当 21000円
時間外手当 3000×2×1.25=7500円
休日給 3000×10×1.35=40500円
計 69000円
一日は休日労働の扱いになります。
場合4 |
1日のみ22〜26日以外の期間に振り替えた人 |
入試手当 21000円
時間外手当 3000×2×1.25=7500円
労基法に基づく割増賃金 3000×8×0.25=6000円
休日給 3000×10×1.35=40500円
計 75000円
入試手当 支給されない
休日給 3000×20×1.35=81000円
計 81000円
Q&A
Q. |
事後に振替日を決めた場合はどうなりますか。 |
A. |
休日労働は行われてしまったのですから、休日を振り替えることはできません。振替日ではなく代休という扱いになります。代休を取った場合、休日給から一日につき8時間分の賃金
3000×8=24000円を引くことができます。
ただし、年休が余るような人が賃金をもらう代わりに代休を取ることは通常考えられません。また代休は労働者が賃金を休みの形でもらうことですから、使用者が労働者に代休を取れと命じることはできません。 |
Q. |
事後に振替日を申し出てしまったのですが。 |
A. |
代休を取れという命令はできないのですから、誤解に基づく申請として撤回を申し出たら如何でしょうか。代休を取ってしまった場合は別ですが。 |
Q. |
振替日に仕事があって出勤したのですが。 |
A. |
休日労働として休日給の申請をしてください。1時間につき3000×1.35=4050円支給されます。ただし、裁量労働制の労使協定により非拘束的業務の場合は休日における施設利用とみなされ休日給は支給されません。休日に実験や学生指導を行う人も多いと思いますがそれと同じ扱いになります。 |
Q. |
振替日は変更できますか。 |
A. |
事後に変更することはできません。振替日は休日ですからこれを再度別の日に振替えるということは形式的には可能ですが、休日振替の対象になる業務は勤務時間等規則第5条で定められており、振替の対象になるとは考えられません。 |
Q. |
振替日を22〜26日の期間に取る場合と相でない場合との違いの理由は何ですか。 |
A. |
労働基準法では1週間の労働時間は40時間以内とされており、それを超える労働時間については25%以上の割増賃金を支給するよう求めています。熊本大学の一週間の起算日は土曜日なので、土曜日(20日)から金曜日(26日)の間の労働時間が40時間以上かどうかが問題になります。この期間以外に振替日を取ると、当然この週の労働時間が40時間を超えます。 |
Q. |
去年の手当額はこの試算より少ないのですが。 |
A. |
賃金不払い残業が発生している可能性があります。不払い賃金請求の時効は2年なので昨年の不払いについては請求が可能です。賃金台帳を取り寄せて調べては如何ですか。 |
Q. |
真面目に振替日を届けた人が不利になるのはおかしい。 |
A. |
その通りです。しかし、振替日を特定する責任は使用者側にあるのです。振替日の届けが無ければ使用者の責任で振替日を決める、そして振替日に行われた拘束的業務についてはきちんと休日給を出すというのが、使用者として当然の対応です。そうすれば場合3〜5は起こりえないことになります。 |
【要注意】
熊本大学での裁量労働制労使協定では、休日の拘束的業務は自己申告することになっています。また、所定労働日に拘束的業務が8時間を超える場合も自己申告することになっています。自己申告がなされない場合、上記の時間外手当・休日給は支給されません。なお、休日の拘束的業務については使用者側が把握するよう改定を求めています。
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