No.37
2007.3.14
熊本大学教職員組合
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国家公務員の地域手当の異動保障と
広域異動手当は国立大学にはなじまない。
−教員出身以外の役員に対する破格の待遇―
団体交渉報告・その5
 かねてから組合は特別都市手当(地域手当の異動保障)は国立大学の実態にそぐわず廃止すべきであると主張してきました。そして実態にあった異動保障の制度の構築を求めてきました。しかし、使用者側は国家公務員焼き写しの制度に固執するとともに、特別都市手当の増額と広域異動手当の新設を提案してきました。この扱いは下記の3つの理由で国立大学法人にはなじみません。

【1】単なる異動距離によって手当に差がつけられる。
 2007年4月より国家公務員に広域異動手当が導入されます。異動距離が60km以上は3%、300km以上の場合は6%の手当がつけられます。これは基本給月額の一部として取り扱われボーナスにも影響します。これとまったく同じ制度を熊本大学にも導入しようとしています。
 組合は距離によって差がつけられることの合理性を質しましたが、回答は「異動距離が多ければ生活圏が変わるので精神的負担が大きくなるから」というものです。確かに負担は大きいかもしれませんが、3年間にわたって6%(150万円近くになるでしょうか)もの手当を支給する理由とはとても理解できません。

【2】地域指定と各大学での運用に矛盾がある。
 国は地域ごとに民間の賃金水準を調査し、それに応じて地域手当を定めました。熊本大学では人事交流職員を対象に特別都市手当としてその額を支給するようにしています。今回の就業規則変更にはこの額の増加が盛り込まれています。しかし、地域の指定の仕方は各大学の運用と大きな矛盾があります。
 一つは、単に国の官署が無いという理由で地域手当の支給地にあげられなかった地域の大学です。小金井市にある東京学芸大学は、隣接する地域にあわせて手当を支給しています。二つ目は、大学一体の運営から複数のキャンパスで手当に差をつけない方策がとられた大学です。千葉大学は野田市のキャンパスに在勤する職員に対しても千葉市と同額の手当を支給しています。三つ目は、地域手当が大きくなりすぎ、国家公務員と同額の支給を行えない大学です。信州大学では松本・長野が3%の支給地ですが全学一律1.7%が提案されているそうです。東京都の地域手当は最終的に18%になりますが東京芸大では13〜14%が限度とされているそうです。
 大学は第一の問題については解消の方向で就業規則の変更を行うようです。他は放置されたままです。

【3】国立大学間の異動に限定するのは大学の実態に合わない。
 以前から東京の私立大学から転勤してきた教員には手当がつかず、国立大学からなら手当をつけるというやり方でした。国立大学が法人化した今もまったく同様な制度であり、地域手当の増額により矛盾は拡大しています。

 
組合は以上の問題点を指摘した上で、「異動によって賃金が減額する職員について1年目はその全額を2年目はその8割を補償する。ただし一定の上限額を設ける」という扱いを主張しています。国の制度をそのまま大学に持ち込むよりはるかに合理的な方法と考えます。

賃金引下げの不利益を緩和しないまま、異動保障のみを改善していくことは許されない
 今回の就業規則の変更で扶養手当以外の賃金が改善されるのは、地域手当対象地の国の機関から異動してきた職員と60km以上の異動をしてきた職員だけです。殆どの教職員には無縁の改善であり、昨年4月からの賃金上の不利益はまったく放置されたままです。その結果として総務部長は、組合が要求する不利益の緩和措置を拒否したまま、自らの賃金増を提案しているのです。このような提案をおかしいと思わないのは、国家公務員だからそうなるのが当然としか思っていないからです。
 しかし、忘れてはいけません。今後国家公務員の賃金が上がった場合でも私たちの賃金が上がるという保障はありません。地域手当に完全には対応できない大学をみれば良く分かります。また、地域手当に完全に対応できない大学において、異動保障だけ国家公務員並みにするということは考えられません。使用者側が気楽に異動保障の増額を提案できるのは、熊本市が地域手当の支給対象地にならず、人件費が大幅に削減されたからです。まさに一般教職員の賃金を引き下げてそれを原資に自分の賃金を上げようとしているのです。このような提案を組合が受け入れられるはずがありません。

特別都市手当にみる役員厚遇の実態
 さて、役員については国の機関に限らず民間からでも特別都市手当をつける規則になっていました。私立大学から異動してくる教員に対する矛盾は放置したまま、役員に対しては法人化とともに改善していたわけです。実際、幹事は民間からの採用ですが、1年目に特別都市手当12%、2年目にはその8割が支給されました。まさに役員に手厚い熊本大学といえます。
 ところで、理事に特別都市手当がつくのは基本的に事務局長だけです。しかし、法人化前なら彼らは行政職(一)10〜11級のはずです。法人化により理事となり、給与も指定職並みに増えているのに、さらに特別都市手当(異動保障)や広域異動手当が支給されるようになっています。全国の国立大学法人職員の中で法人化によって最も給与面での恩恵を受けているのが、事務局長です。

 このような役員厚遇制度をさらに拡大しようというのが今回の提案です。組合は役員に対する特別都市手当を廃止すること、及び役員に広域異動手当を支給しないことを要求します。

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