No.43
2007.5.11
熊本大学教職員組合
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教員の勤勉手当の成績区分等の
取扱い(ガイドライン)(案)の問題点
―部局等での検討をしっかりと!―

 人事・労務担当理事は4月27日、「教員の勤勉手当の成績区分等の取扱い(ガイドライン)(案)」(以下、ガイドライン案)を各部局長等に送付しました。これは、教員の勤勉手当支給額の根拠となる成績区分のうち、C「良好(標準)」=成績率100分の71.0の枠を縮小し、B「優秀」=成績率100分の78.5以上86.0未満の枠と、A「特に優秀」=成績率100分の86.0以上の枠を、それぞれ人員分布率25%以上30%以下、5%以上10%以下へと拡大することを骨子としています。その他、勤務成績が良好でない教員や処分を受けた者を対象としたD「良好でない」=成績率100分の63.5〜36.0の枠も新設されています。 

国家公務員の制度の焼き写し、しかも部局での検討期間はわずか実質一週間
 いつもの熊大使用者のやり方の例に漏れず、このガイドライン案も国家公務員の勤勉手当支給制度をそのまま導入しようとするものに過ぎませんが、従来の制度を大きく変更するものには違いありません。
 当然、ガイドライン案は各部局の一般教員によって充分検討され、必要な部分は修正される必要があります。ところが、ガイドライン案が各部局等の長に送付されたのは、4月27日午後遅くになってからであり、人事・労務担当理事は5月14日12時までに部局等の意見を人事課に提出するよう求めています。ゴールデン・ウィークが入ったため、部局等での検討期間はわずか一週間しか保証されていません。5月17日の部局長等連絡調整会議で意見交換し、5月中には最終決定するという拙速なスケジュールです。
 使用者は、労働条件に関わる重大な変更であるにもかかわらず、またも末端の教員組織における検討を軽視して拙速な制度改定を強行しようとしています。組合は、全学意思決定における熊大使用者の非民主的な姿勢に対して、断固抗議します。

問題が多い「成績優秀者等(例示)」文書
 留意すべきは、ガイドライン案に記されている成績区分決定の方法です。制度上の決定権者は学長ですが、「学長は、各部局等の長の推薦等に基づき、個々の教員の成績区分を決定する」と明記されています。また、推薦にあたって各部局等の長は、「過去のA区分又はB区分の成績区分の適用回数、適用時期にとらわれない」ともされています。
 したがって、成績区分の実質的決定を行うのは各部局等の長となります。
 では、各部局等の長はどのような考え方に基づいてA区分・B区分該当教員を学長に推薦するというのでしょうか。この点についてガイドライン案は、「特に高く評価できる」「特に顕著な貢献をした」といった、抽象的な規定を示しているに過ぎません。
 ですから重要なことは、各部局等がそれぞれの組織特性を重視しながら、たとえその仕事ぶりが地味なものであっても、教育活動・組織運営等の基礎を担っている者の負担と努力をも正当に評価する態勢を整えることです。
 これに関して、使用者側はAやB区分を部局で選定する上での判断基準策定の参考資料と称して、「成績優秀者等(例示)」なる文書をガイドライン案に添付し、部局長等に示しています。しかしこの文書は問題の多いものです。
 第一に、教育分野では大学院教育偏重、教養教育軽視の姿勢が顕著です。特に、部局等を越えて実務を担う教養教育への貢献には一切触れられていないのは、大きな問題です。選定・推薦母体が部局等である以上、それを越えた教育活動や組織運営活動は部局長等がよほど留意しない限り見落とされることになり、大きな問題と不公平が生じることになるでしょう。部局等の管理者には、この点への確実な配慮が求められます。
第二に、教育分野では、学位授与や国際学会発表の指導、あるいは教育GPといった、いわば見栄えの良い業績を高く評価しようという方向性が目立ちます。それだけではなく、教育活動を根底から支える日常的継続的な業務の遂行者を正当に評価することが、多くの教職員のモチュべーションを高めるための絶対条件です。
 第三に、やはり教育分野には「担当科目の継続的改善等で学生の授業評価が高い場合」という項目が設けられています。この「学生の授業評価」が「授業改善のためのアンケート」のデータを指すのであれば、アンケート結果は給与等には反映させないという全学的な合意に違反することになります。
 第四に、研究分野において「拠点研究(A、B)、COE、研究大型プロジェクトのリーダー」があげられている点です。拠点研究等はリーダー教授一人で実施されているわけではありません。研究活動の分担はもとより、多忙なリーダーに代わって周囲のスタッフが日常の教育活動や組織運営活動を肩代わりすることによって、維持されている例が少なからず存在します。こうした実態を考慮すれば、リーダー教授であるという理由だけで高く評価しようというのは問題です。

部局長等は部局等における充分な検討と組織合意を形成すべき!
 このように「成績優秀者等(例示)」文書には問題が多く、各部局等がこれに安易に従って基準を定めることがあってはならないと考えます。ところが、5月8日午前の時点で、医学部保健学科・工学部・理学部・教育学部等では部局長等から構成員にガイドライン案の周知すらされてないという状況です。これは大きな問題です。
 地道な努力を続ける多くの教員の活動が正当に評価されるよう、成績区分決定のあり方を一般教員の意見を充分踏まえながら各部局等でしっかりと検討し、組織合意を形成することが、納得できる労働条件と職場環境を築く上で極めて重要になっています。各部局等の長には、この点を充分自覚して任に当たるよう要望します。

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