声明:団体交渉における熊大使用者の不当労働行為に断固抗議する
2007年度からの賃金改定に関する団体交渉は、3月20日に使用者側によって決裂させられた。
この間4回の団体交渉が行われたが、使用者側は組合の質問にまともに答えようとせず、まったく不誠実な態度に終始した。
組合の要求は、第一に、2006年4月からの国家公務員「給与構造の見直し」を理由とする賃金切り下げについて不利益緩和措置をとること、具体的には勤勉手当の総枠の拡大を行うこと、第二に、賃金上の不利益を放置したまま人事交流職員のみを対象とする異動保障の増額と広域異動手当の導入を行わないことであった。
しかし、使用者側は賃金切り下げによる2007年度の人件費削減効果についてさえ、入試手当等の総額が不確定であることを口実に、具体的な説明を拒絶した。賃金切り下げによる不利益がどれほどの額になるかは、不利益緩和措置を議論するうえで最も基礎となる数字であり、それは入試手当等の額とは無関係である。このような不当な理由で基礎データの提示を拒絶し団体交渉を決裂させるのは昨年以下の対応であり、明らかな不当労働行為にあたる。
賃金切り下げで生じる財源について、昨年度の団体交渉では職員へのインセンティブに使うという方向性を学長自身が示していた。しかし、その具体化のための勤勉手当アップ要求(2006年5月18日 組合要求)を使用者側は10ヶ月間にわたって放置した挙句、2007年3月15日に組合に交付した学長名の文書では、インセンティブに使うという方向性すら合理的根拠を全く示さないまま転換した。昨年度の団体交渉における回答を反故にするものであり、このような重大な方針転換を合理的根拠を一切示さないまま、しかも一片の文書で済ませようとすることは、不当労働行為にあたる。
また、人事交流職員のための異動保障の増額と広域異動手当の導入を、何ら説得ある理由を示さないまま強行した。一部の役職員(事務局長や総務部長を含む)のみを対象とするこのような安易な賃金改善ができるのも、大多数の教職員の賃金が切り下げられ、財源に余剰が出たからに他ならない。組合はこのような使用者側の姿勢を糾弾する。
さらに、このように不誠実な交渉態度に終始しただけではなく、学長は団体交渉に出席すらしなかった。判例においても賃金交渉に社長が出席しないままゼロ回答に終始したことを不当労働行為と断じたものがある(1980年12月大阪特殊精密工業事件での大阪地裁判決など)。また、組合の勤勉手当の総枠拡大要求は昨年度の団体交渉での学長自身の発言を踏まえてのものである。このような経緯を考えれば、学長の欠席自体が不当労働行為にあたる。
組合は学長をはじめとする熊本大学の使用者に対して断固抗議するとともに、労使間の交渉に対応できる最低限の当事者能力、交渉能力を身に付けることを強く求める。そして、今後とも「給与構造の見直し」を理由にした賃金切り下げに対する不利益緩和を粘り強く要求し、ことに、勤勉手当の総枠拡大の実現のため奮闘する決意である。
2007年3月26日 熊本大学教職員組合
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