No.32
2008.6.9
熊本大学教職員組合
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パートタイム労働法の改正を踏まえ、
早急に熊大有期雇用職員の待遇見直しを
有期雇用職員の労働条件改善について
団体交渉を行いました
 今年4月からパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が改正されました。パートタイム労働者の劣悪な労働環境が社会問題化したのを受け、通常の労働者との働き方の違いに応じて、待遇面での均衡をとることが明記されたのです。組合は現在の有期雇用職員の労働条件は、この改正パートタイム労働法に反すると考え、使用者側に対し次の4項目の要求書を提出しました。
  1. パートタイム職員に対しボーナスを支給すること
  2. 有期雇用職員、特定有期雇用職員に対する退職金制度を作ること
  3. 有期雇用職員を正職員にするための試験制度を設けること、その際年齢制限を行わないこと
  4. 特定有期雇用職員の正職員化を推進すること
この要求書に基づく団交が5月26日に開催されました。今回のニュースでは団交の報告とともにこの問題についての組合の考えを紹介します。

有期雇用職員の中には正規職員と同等の職務・職責を担っている人もいる
 待遇面での均衡を考える際に、最も重要なのが職務の内容(業務の内容と責任の程度)です。組合は事務系の有期雇用職員の中にも正職員とほぼ同等の職務を行っている人がいることを説明し、使用者側も「一部にはそういう方もおられる」と認めました。さて、パートタイム労働法は通常の労働者との働き方の違いに応じて待遇面の均衡を求めています。しかし、熊大の実態は有期雇用職員だからという理由だけで一律に待遇を切り下げています。結果として、実質的に正職員と同等の職務・職責を担っている職員について、待遇面での均衡が取れていないことになります。現状のシステムのままではパートタイム労働法の改正に対応できないのは明らかです。
 正職員と同等の職務・職責を担っていると感じている方は、何故こんなに待遇が悪いのかと聞いてみてください。改正パートタイム労働法ではそれに対して個々の職員に説明する義務を定めています。もちろん有期雇用職員だからというのでは理由になりません。

相変わらず検討中ばかりの回答
 さて、使用者側は項目2については財源問題を理由に拒否しましたが、他の3項目については検討中とのことでした。パートタイム職員のボーナスについては他大学の動きや人事院勧告をみて対応するとのことですが、いかにもお役人らしい発想です。これでは相変わらず渡り鳥官僚がはばをきかせ
ているとみられて仕方ないでしょう。ただし人事院勧告は大学を対象にしていません。あくまで国家公務員におけるパートタイム職員の実態に対して勧告が出るのですから、大学の実態を踏まえて待遇を考えなくてはなりません。
 有期雇用職員を正職員にするための試験制度については曖昧な回答ではありますが、パートタイム労働法の趣旨を踏まえて検討するとのことでした。使用者側の説明では九州地区国立大学採用試験はキャリア形成を踏まえており年齢制限が設けられているとのことでした。これでは、有期雇用職員の正職員化には基本的に役立ちません。確かに昨年10月改正の雇用対策法でも、キャリア形成のための採用には例外として年齢制限が認められています。しかし、採用に当たって年齢制限をつけることは原則禁止であり、すべての正職員の採用試験がキャリア形成目的だという強弁は許されません。九州地区国立大学採用試験がキャリア形成を目的としているのであれば、熊大独自の採用試験は不可避です。組合はこれを一歩進めて、有期雇用職員を対象とする採用試験を年齢制限なしに実施することを求めています。
 特定有期雇用職員(看護師、診療放射線技師などの医療技術職員)の正職員化については「熟練した特定有期雇用職員の退職は医療現場に様々な影響を与えると認識している。雇用方法・財源確保など様々な方面から検討していく」との回答でした。「5年後雇い止めにならないように努力することを約束してくれないか」との追及に、明言は避けたものの「回答の中にその趣旨は入っている」との表明がありました。
 回答は従来と若干変わってきていますが、今後とも有期雇用職員の雇用安定と待遇改善のために主張していく必要を痛感しました。

有期雇用職員の待遇改善について熊大独自の政策作りを
 回答の中で最も気になるのが「他大学の状況を見て」という理由付けです。静岡などの先進事例(病休の有給化やフルタイム職員の共済加入を実現しています)を指摘しても、多くの大学が実施するまでは自らの決断はしません。結果的に有期雇用職員の待遇改善という点では、何ら独自性を持った政策を作りません。
 使用者は他大学を眺めるのではなく、まず誠意を持って組合の要求に答えるべきです。「他大学の状況を見て」「人事院勧告を見て」というのは、自らの労務管理上の政策立案を放棄するものであり、厳に慎むべきことと考えます。

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